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異世界ちっちゃなパン職人、焼けば魔獣が寄ってくる!? 〜みんな私のパンにメロメロです!!〜  作者: ありぽん


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第59話 真夜中の休息と、突然の緊張感

「……ん?」


 ふと、夜中に目を覚ました私。魔力を流すと光る石があって、魔力加減を調節することで、明るくしたり暗くしたりできるんだけど。セバスチャンさんが良い具合に調節してくれて、真夜中でも、部屋の中がちゃんと確認できるくらいの、灯りにしてくれているからね。

 

 私はベッドから、モルーとシー君とクー君を確認したよ。気づいたら寝ていたから、しっかりとは分からないけど、絶対に私よりは、モルーたちは起きていただろうから、どうしたかなって思ってね。


 まぁ、そうしたら、一応3人は、寝てはいたんだけど……。モルーは片足をカゴから出して、グワグワとイビキをかきながら寝ていて。

 シー君はへそ天寝で、どうやったらそうなるのか、下半身だけカゴから出ている状態で寝ていて。クー君はその逆で、へそ天、上半身をカゴから出した状態で寝ていたんだ。


 寝相が悪いのか、それとも話しているうちに、そのままの格好で、私みたいに寝落ちしたのか、それは分からないけど。よくその格好で寝られるな、と思いながら、私は3人をカゴに入れ直してあげることに。


 滑り落ちるようにベッドから降りると、1人ずつしっかりと、カゴの中に戻して、ブランケットの余っている部分を、体にかけてあげる。ブランケットの大きさが、かなり大きいんだ。だから敷きながらかけることもできるんだよ。


 そうして、みんなを寝直してあげてから、水時計を確認しに行けば、時間は深夜2時ちょっと過ぎだった。


 さっきグルルのベッドを見たけど、帰ってきた様子はないから。たぶんまだ、ゴンおじさんについて調べてるんだと思う。


 こればかりは、なるべく早く、ゴンおじさんの正体を把握しないといけないからね。問題が大きくなって、悲しい結末になるなんて嫌だし。


 まぁ、私としては、そのゴンおじさんに、会ってみたい気持ちもあるんだけど。だって、シー君とクー君、他の魔獣たちを守ってくれる、優しい魔獣なんでしょう? 

 もしかしたらグルルやモルー、シエラらマーゴおばあちゃん、他のみんなみたいに、仲良くなれる魔獣かもしれないじゃない。


 明日は、私も調べるのを手伝おうかな? そんなことを考えながら、少し水を飲もうと、用意してあったコップに手をかけた時だった。カチャッと音がして、ドアがそっと開き、グルルが入ってきたんだ。


「グルル?」


『ん? 何だ、起きていたのか?』


「ううん、いまちょっと、おきたところ」


『そうか』


「もどってきたってことは、ごんおじしゃんがだれか、わかったの?」


『いや、まだ調べている最中だ。ちょっと休憩がてら、お前たちの様子を見に来た』


「しょか。あっ!! ぐるる、てーぶるのところで、しゅわってまってて!」


 グルルにテーブルの前に座ってもらうと、私は、私たちの部屋に、常時置いてあるお皿を、何とか背伸びして棚から取り出し。それをテーブルに置いたら、今度はマジックバッグから、お店通りで買ってもらったクッキーを取り出し、お皿に乗せたよ。


「おなか、しゅいてるでしょ。ほんとは、ぱんがいいけど、しょれだともるーが、おきるでちょ? だからくっきーでごめんね」


『いや、何か食べたいと思っていたところだ。ありがとう』


 と、グルルがそう言った瞬間、


『ぐ~』


『ぐるるる』


『ぐるきゅう』


 モルー、シー君、クー君のお腹がなったんだ。思わず3人を見る私とグルル。パンじゃなくても、もしかして気づくのか?


『はぁ、早く食べてしまった方が良さそうだ』


「う、うん。しょのほがいいかも。おみじゅ、よいしゅるね」


 急いで水飲み用のお椀を用意して、そこに水を注ぐ。はぁ、早く魔法が使えるようになりたいよ。こういう時に魔法が使えれば、余計な時間をかけなくて良いからね。


 バクバクと2枚ずつ、一気にクッキーを食べていくグルル。グルル専用クッキーっていうか、私の顔よりも大きいサイズのクッキーを売っていてね。


 まぁ、それでもグルルには小さいけれど、私たちサイズのクッキーよりは食べ応えがあるからって。ママがかなりの枚数を買ってくれて、それをマジックバックにしまってあるんだ。今出してあげたのは10枚。


『うむ、やはりあの店のクッキーは美味いな。今度は別の味も買ってもらおう。……が、そうだな。ずっと買ってもらうばかりというのもな。確か人間たちは、魔獣を倒してそれをどこかへ持っていくと、お金というものが手に入り、それで買い物が出来ると言っていたはず。ならば、その辺の森や山で魔獣を狩ってきて、それをお金に変えてもらうか』


「たぶん、ぱぱたち、しょれでいいっていうとおもう。でも、あたちがもうしゅこちおおきくなったら、ぱぱやままにたのまなくても、あたちたちだけで、かいものできるよになるかも」


『ん? どういうことだ』


「えちょ、ぼけんしゃぎるどっていうのがあって……」


 と、私が冒険者ギルドについて、話そうとした時だったよ。バッ!! とグルルが顔を上げて、窓の方を見たんだ。それからすぐに窓へ近づき外を見たあと、


『すぐ戻る!!』


 と言って、部屋から出て行っちゃったんだ。突然のことに、何も言えなかった私。でも、グルルの様子から、何かがあったのは間違いないからね。


 私は急いでクローゼットを開け、とりあえずの洋服を取り出す。もしかしたら、何かがあって、外に出るかも。今の寝巻きすがたでも動きやすいけど、ちょっとね。

 それに、もしもライラたちが部屋に来るような、何かが起きているなら。ライラたちが来るまでに、少しくらい自分で着替える時間があるだろうし。


 それからいつでもモルーたちを、起こせるようにしておかないと。みんなで避難なんてなったら……。いつまで起きてたか知らないけど、起きてくれるかな?


 ちなみに、何かあった時用の、非常用荷物に関しては、街に来た頃の5倍くらいに増えているから、何も問題ないよ。しかもほとんど、マジックバッグに入れっぱなしだしね。


 私はとりあえずの支度を整えると、イスをズルズル引っ張り窓まで移動。それからヨジヨジとイスを上り、窓から外を見る。


 いつも通りの景色。ただ、私には何が起こったか分からないけど、グルルが慌てる何かが起きたのは確か。一体何が起きているのか。ドキドキしながら、私はグルルを待ったよ。


 そうして数分後……。


『全員起きろ!!』


 そう言いながら、グルルが部屋に入って来たんだ。

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