表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界ちっちゃなパン職人、焼けば魔獣が寄ってくる!? 〜みんな私のパンにメロメロです!!〜  作者: ありぽん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

54/65

第54話 ママの豪快な投げと、爪先ちょんの飛躍?

『ママ、凄い!!』


『ママ、面白い!!』


『ママ、もう1回やって!!』


『うん、もう1回!!』


『おいらも投げて欲しいじょ!!』


 よほど楽しかったのか、シー君とクー君は、何のために投げられたのかを、すっかり忘れているのか、ママにもう1度とお願いし始めた。って、いつも投げてもらっているモルーまで、お願いしてどうするの。


「みんな、いまは、ママがどうやって、あたちたちのほうにきてくれたか、おちえてもらうんでちょ」


『あっ、そうだったじょ』


『ん? 何だっけ?』


『面白いし、もう1回しない?』


 しないしない。大体ママたちは忙しいんだから。シー君とクー君の、ゴンおじさんについて調べなくちゃいけないのに。って、考えたら、ママがどうやって、こっちまで進んできたかは、後で教えてもらえば良かったじゃん。


 私としたことが……。びっくりして思わず聞いちゃったよ。


『シー、クー、さっきママがどうやって飛んだか、教えてもらうんだじょ。忘れてたじょ。ここからだと、ママが飛んでこられたのが、何でか分かるんだじょ』


『あっ、そうだった!』


『……もう1回はあとで?』


 クー君、そんなに楽しかったのか……。


「ふふ、遊ぶのは、また今度ね。さぁ、ママが今から教える場所を見てみて」


 ママがもう1度、あの1センチの隙間を指差す。そこを目を細めて、じっと見るモルーたち。分かるかな? 


 う~ん、でも、分かったところで、だよね。1センチの隙間に、どうやって足を付けてジャンプしたんだろう?


『……小さな穴なんだじょ?』


『本当だ、小さな穴がある』


『小さい。シー君とぼくの爪よりも小さな穴』


 あまりにも小さな隙間だから、穴に見えちゃったみたい。影で黒く見えるしね。


「みんな、あなじゃない。あしょこ、ゆかがみえてるんだよ」


『床なんだじょ?』


『ゆか、ゆかなぁに?』


『ゆ~か?』


「ゆ~かじゃない、ゆか。いま、あたちとママがたってるところ。みんなが、あるいてきたところだよ。おうちのなかは、ゆか、おしょとはじめんっていうの」


 この説明で分かるかな? 


『ゆか、じめん。僕たち、地面知ってる。でも、ヒトミがいる場所はゆか。ふ~ん?』


『地面と同じだよね? 何でゆか? 変なのぉ』


『歩くの一緒なのに、おかしいんだじょ。でも、床って言うんだじょ。……この穴、床なんだじょ?』


「うん、あなじゃない、ゆか。だからママは、しょこにあちをちゅいて、じゃんぷちた。ママ、しょう?」


「ええ、そうよ。足をちょんとね。こうよ」


 ママがすぐそばにあった本を重ねて、それからその横に立ったよ。そう、立っただけね。でも、


「こんな感じに、ちょんってしたのよ。分かったかしら」


 って言ったの。


 分かったかしらって、何が? ママは本を重ねて、その横に立っただけでしょう? まだ、何もやっていないのに、分かったかしらって。そんなこと言ったら、またモルーたちが混乱しちゃうよ。


『ちょんじょ?』


『ちょんってなぁに?』


『ちょんってちょん?』


 クー君が爪先で、ちょってお兄ちゃんを突く。


「しょ、ちょんはちょんってしゅる、あっちぇる」


『どう、ちょんってするんだじょ?』


『ちょんちょん』


『ちょーん!!』


「ママ、はやくみしぇてあげて、あたちもみたい」


「ヒトミちゃん、みんなも、ママはもう、ちゃんっとしたわよ」


 え? だってママは本の横に立っただけで、まだ、何もしてないでしょう?


「ママ、まだなにもちてないでしょ?」


『まだ、何もしてないんだじょ。早くみたいじょ!』


『見たい見たい!』


『早く見たい!!』


「だからね、ママはもう、ちょんとしたのよ。本をここに並べてすぐにね。もう、ちょんは終わったの」


「?」


『『『?』』』


 みんな黙っちゃったよ。私もね。そうしたらグルルは溜め息を吐き、パパとエリオットお兄ちゃんは苦笑い、セドリックお兄ちゃんは大笑いし始めたんだ。


『まったく、お前のあれのスピードが、ヒトミやモルーたちに分かるわけがないだろう』


「俺でも、ギリギリ見えるくらいだからな」


「母上は、分かっていてやるんだから」


「ハハハッ!! 大丈夫だぞ。俺も見えるようになったの、数年前だからな!!」


「ゴンおじさんについて調べないといけないんだから、早くヒトミたちに教えてしまえ」


「小さい子たちの、この何とも言えない表情が可愛いのよねぇ。はぁ、調べ事がなかったら、もう少しこの可愛い姿を見ていられるのに。でも、今はゴンおじさんだものね。あなたたち、みんなをこっちに戻して」


 何? どういうこと? パパがモルーを、お兄ちゃんたちがシー君とクー君を、順番にママの方へ投げてくる。うん、ママみたいにキレのある投げ方じゃないけど、みんなママのところまで、ちゃんと投げ戻ってきたよ。


 ただ、それに不満のモルーたち。ママのあのスピードが、やっぱり好きらしい。ほら、ゴンおじさんのことが終われば、またやってもらえるよ。


 と、私がそれを言う前に、モルーたちのあまりの不満顔に、ママは笑いながら、投げて遊ぶことを約束してくれて、なんとかみんな落ちついたんだ。


 そして、すぐに足ちょんを見せてもらう。


「いい? こう、ちょん、としたのよ?」


 ママが、床にそっと、靴の爪先をつける。うん、そうだよね。やっぱりあの隙間にちょんってなると、爪先をつけるって感じだよね。でも、そうなると……。


 1センチの隙間に爪先? 本を踏まないようにするには、本当に先の先しかつけられないよね? それで、あんなにしっかりジャンプできるの? ん?


『爪先なんだじょ?』


『爪先、ちょん?』


『ちょんちょん?』


「いい? さっき、あなたたちが穴って言っていたのは、これよ」


 ママがささっと本を動かし、穴に見える1センチの隙間を作る。そうして、1人ずつ、見せて触らせて、穴じゃないことを説明した。それでモルーたちは、一応納得してくれたんだけど、その後が……。


「ね、ここは穴じゃなく、床が見えている場所で、ママはここに、爪先をちょんとしたのよ」


 靴を脱ぎ、隙間に、ちょんとする真似をするママ。


 そうしてその後の行為で、モルーもシー君もクー君も、余計混乱することになっちゃったんだ。というか、私もね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ