表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界ちっちゃなパン職人、焼けば魔獣が寄ってくる!? 〜みんな私のパンにメロメロです!!〜  作者: ありぽん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

53/65

第53話 子魔獣は楽しいけどグルルは引く、ママの腕力

『ここなんだじょ?』


『なになに?』


『どこう?』


 少し黙ったままだったモルーとシー君とクー君が、ママが指差した場所へ行こうとする。


「ああ、待って。モルーは飛んでいけるけど、シー君とクー君は……そうね。エリオットがシー君を、セドリックがクー君を、その場で抱っこしてあげて。そこからなら、しっかり見えるわ」


「分かった」


「あいよ!」


「セドリック、せめて普通に返事をしなさい。あいよ、だなんて、リアちゃんたちが真似するようのなったらどうするの」


「へ~い」


『『『へ~い』』』


「セドリック!!」


「分かったよ」


 まったく、ママじゃないけど。モルーたちに変な言葉使い教えないでよ、セドリックお兄ちゃん。シー君とクー君は、これからどうなるか、まだ分からないけど。私とグルルとモルーは、時々洞窟へ帰るんだよ? 


 それで、もしもモルーが変なこと言ったら、シエラとマーゴお婆ちゃんに怒られるのは、モルーなんだからね。


 シエラとお婆ちゃんは、こういうことに厳しいの。グルルがモルーに、汚い言葉遣いを教えた時なんか、グルルは2人に吹っ飛ばされた後、1日どころか3日間、お説教され続けて。モルーも半日だったけど、やっぱりずっと怒られていたんだから。


 パンが作れることが分かったから、もう少し試してみて。それからパンの数が揃ったら、持っていく予定なんだ。それで、みんなでゆっくりしたいと思ってるのに。その時ずっと、お説教コースなんて、そんなの嫌じゃない。短い時間を、みんなと楽しく過ごしたいもん。


「シー君、クー君、これから2人が本を踏まないように、シー君はエリオットの方へ、クー君はセドリックの方へ投げるわ。ちゃんと2人のところへ投げるから、シー君とクー君は暴れずに、静かにしていてね。できるかしら?」


『投げる?』


『ぼくたち?』


「そうよ、こんな風にね。モルー」


『はいなんだじょ!』


「あなた、投げるわよ!」


「ああ」


「モルー、抵抗しないで、そのまま投げられてね」


『はいなんだじょ!!』


「それ!!」


 そう言って、パパの方へモルーを投げるママ。結構な勢いで投げられたから、かなりのスピードでクルクル回りながら、パパの方へ飛んでいくモルー。そんなモルーを見もしないで、本を見たまま、しっかりキャッチするパパ。


 投げるとは、どういうことか!! って怒る人もいるかもしれないけど。魔獣たちは、これが大好き。

 ここへ来て友達になった魔獣が、時々遊びに来るんだけど。ママの仕事や用事がない日に遊びにくると、どの遊びよりも優先して、ママに投げてもらって遊ぶくらいなんだ。


『シー、クー、こうなんだじょ。動かずに、投げられたままでいるんだじょ。怖くないから、大丈夫なんだじょ。それよりもとっても楽しいんだじょ!!』


『わぁ!! 凄い凄い!!』


『面白そう!!』


『じっとしてれば良いんだね!』


『動かないで、ビューン!!』


『そうなんだじょ!!』


 ママが飛ばせるのは……グルルよりちょっと小さい魔獣まで。うん、なんていうかな。小さめのオスライオンくらいまで? 凄いよね。それくらい大きな魔獣を、簡単に投げるんだよ? 


 初めて見た時、驚きすぎて固まってしまった私。でもママに、これくらいの普通よって言われて、さらにビックリして。

 ただその後、ママ以外に、そんなことをしている人を見たことがなくて。本当? って、ちょっと思っていたんだ。


 だけど、パパ曰く。ママには妹がいて、妹さんも投げられるけど、ママほど完璧に投げられず、別の方へ飛ばしちゃうから、安全を考えるならママに投げてもらえ。って言ってたから、たぶん本当なんだとも思う。


「それじゃあ、シー君とクー君、同時に投げましょうか。さぁ、抱っこするわよ」


 ママがそう言いながら、シー君とクー君を抱える。ママ、それは抱っこじゃなくて、抱えるだからね?


「それじゃあいくわよ~……それ!!」


 2回転し、その勢いのまま、シー君とクー君をお兄ちゃんたちの方へ投げたママ。


『ふにょおぉぉぉ』


『ふにゃあぁぁぁ』


 モルーの時ほどスピードは出ていないけれど、やっぱりかなりの速さで、横回転しながら、楽しそうな声を上げて、飛んで行ったシー君とクー君。そんな2人を、お兄ちゃんたちはバッチリキャッチ。


『ふわわわわ!! 凄い凄い!!』


『楽しい!! ゴンおじさんみたい!!』


 うん、楽しかったみたいで何より。あっ、グルルが嫌そうな顔でままを見てる。まぁ、グルルは、良い思い出ないもんね。


 実はママ、1度だけ、グルルを投げたことがあるんだ。


 ママはね、私たちがここへ来る前まで、丸太とか岩とか、大きく重い物で、投げる練習をしていたらしいの。


 そうしたら、グルルが来たから、魔獣を想定して投げてみたいって、グルルに投げさせてくれってお願いしてきてね。


 グルルは最初、魔獣の死体でやれば良いだろう、と言ったんだ。だけどママは、生きている魔獣で試さないと、何かあった時に対処できないでしょう、って言ってきて。


 何かあった時? 魔獣を投げる何かってなんだ? と思った私。それは私だけじゃなく、グルルも同じで。理由を聞いても、やっぱりグルルは断ったんだ。でも結局、ママの勢いに負けて、投げられることを了解することになって。


 そうして、いざ投げられてみると……。ママは、1メートルだけだったけど、グルルを飛ばせたの。

 さっき、小さめのオスライオンくらいって言ったのは、完璧に投げられる大きさで、何気にグルルも、ちょっとだけ投げられたんだ。


 それで、投げられたグルルは、かなり驚いて。というか、恐怖を感じたらしく。ママがいないところで、3日くらいずっと、あれはおかしいって言っていて。


 それからママが投げているところを見ると、嫌そうな顔で、ママを見るようになっちゃったんだよ。


『どう考えてもおかしいだろう……』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ