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開拓村:広場

ゴブリンが現れたが、忙しくなったくらいで特に変化はない

「今日はなんの話かお前聞いてるか?」

「さぁ、何も聞いてないが」


 久しぶりの全員集合ということで広場に集められている。自分たちだけでなく隣でそう話している人たちもなぜ集められたのかあまり分からないようだ。


「まぁ、おおかたゴブリンの話か何かよね」


 ゴブリンの集団が現れて2週間が経ち、一部の人たちはその捜索、討伐に駆り出されている。そのため、それ関係の話であることは自分たちにも想像がついた。


「よーし、集まったな」


 あたりを見廻しながらそうパリッセさんが声をかけた。隣にはボルトラーミさんとその補佐役のフゼルさんがいる。さらには主計係の女性と確か大工の棟梁的存在だったはずの人が立っている。ゴブリンの話とすると少し妙な取り合わせのように感じる。ただ、感じたところで自分たちは話が始まるのを聞くしかない。


「討伐の方ですが、結論から言うと進みが芳しくありません」


 脳筋のボルトラーミさんに代わってフゼルさんが話し始めた。ボルトラーミさんは隣で頷くだけである。


「思ったよりもこのあたりの地形は隠れるところが豊富でホブは一匹しか仕留められていません」


 そこでいったん言葉を止めて続ける。


「痕跡からするに例の集団以外にもかなりの数がいそうですね」


 周囲から少しため息が漏れる。ただ、漏れるには漏れるがそのため息に悲壮感や恐怖は含まれていそうにない。


「いやいや、まぁそれは討伐組の帰ってくる時の様子からだいたい……」


 前列の一人が誰に言うでもなくそう言い放った。


「あとは、砦の兵士からの情報として2つ先の尾根で比較的大型の魔物の確認数が少し増えているそうです」

「ちなみに、どんな?」

「トロールはもちろん、オウルベアあたりも出ているらしいです」

「なるほど」


 周囲の人の問いかけにオウルベアという言葉が出てきた。ファンタジーもので確かフクロウと熊をかけあわせたものだっただろうか。トロールよりも強いのだろうか。とんと分からないが、ほとんど何もできない自分としてはその言葉に対しては不安が募るだけである。


「多少見張りは強化せんといかな」

「ああ、さっさと堀に水も張りたいな」

「仕事が増えそうねぇ」


 だが、周囲の反応は労力がかかるだけで、特段大したことではないかの言いようである。


「というか、パリッセよ。話ってのはそんだけか?なら別に全員集めんでも……」


 自分たちにとっては重大事件に聞こえたが、立ち上がって質問した男の口ぶりからするとどうやらそうでもないらしい。


「ああ、問題はだな……」


 そういうと主計係の女の人に視線を送り、話の先を促した。


「で、見張りを強化するのに防壁の外に建物はもちろん、背の高い農作物もなしにしようということに……」

「今外に建て始めたばっかの建物は?」

「まだ基礎部分だけなので、そこまで視界を遮らないので、壊さなくてもいいかと」


 周囲が少しざわつき始める。


「で、国からも冬が明け次第備蓄物資を運び始めたい、ということで倉庫を作らないといけないのですが……」


 そこで一呼吸置いた後に続けた。


「村の外に建物を今は作れません。それで話し合った結果、この広場を潰して倉庫を建てることにしました」


 魔物の話など比較にならないほどに、周囲のざわつきはさらに大きくなる。魔物の話よりも大きな話などないと思っていた自分たちにはざわつきの原因がよく分からない。ポカンと口を開けて成り行きを見守るばかりである。


「ここ潰すのか」

「でかい作業場がなくなるね」

「遊び場がなくなって子供たちもかわいそうじゃて」

「会合はどこでやるのよ」


 老若男女問わず落胆と不安が続出し始めた。しかし、会合は教会で行えばいいのではないか。全員が毎週参加というわけではない礼拝でも確かに満席に近い状態だが、詰め込めば入れないわけではないだろう。そのことをポロリと口に出してみたところ、隣の人が囁くように言ってくれた。


「魔物がいる地域に暮らしている限り血なまぐさい話も出るでしょ?神様の前でそういう話はちょっとね」


 なるほど、そういうものなのかと思うしかなかった。


「まぁまぁ落ち着いてくれ。仕方がないだろ。作業場や会合は増水期じゃなきゃ河原でええし、最悪村の外だ」


 少しざわつきが収まったところでパリッセさんがゆっくり見廻しながらそう言った。


「いやまぁな……」

「そりゃ……」


 周囲も言って仕方ない不満なのは分かっていたようで、みな頭をかきかき黙り始めた。


「ってことで、みんな分かってるだろうが、作業量が増える。で、その割り振りだが……」


 その言葉を合図に大工の棟梁役が説明を始める。細かいことは理解できないが作業量が増えることだけは理解できる。こんどは周囲の人たちも自分たちの表情が一致している。大変になりそうである。まさかこの時は、このまま年が暮れていくことになるとは思ってもみなかった。


もうちょっと投稿間隔短くするのと、1話あたりの進展を早めにするようにします……

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