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楽園のポストアポカリプス  作者: 平之和移
第2部の1 連邦同盟間戦争編
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第13話 大祖国作戦


アライランスライン、廃墟街前、連邦軍陣地。全兵士が初期装備で作戦開始を待つ。無線すらない。


「これより!」ハリーも初期装備。叫ぶ。「大祖国作戦を開始する! 決戦兵器第一号を破壊し、まんぷくテロリストを送り届ける! そのために、我々はひたすら走る! 第一号を弾切れにするために! 準備はいいか!」


応! と兵士達の雄叫び。すでに同盟軍は彼らの包囲にかかっている。時間との勝負。


「行くぞ! 大祖国作戦、フェーズ1!」


丘の上を見上げる。そこから先は地雷原だ。


「よーい」


全員が走る用意をする。


「走れ!」


狂い叫び、兵士が全て駆け出した。丘を超える。廃墟が、決戦兵器資本主義が見える。まだ撃ってこない。


走る。道中味方の足元が爆破。地雷だ。


「構わん、突っ込め!」


ハリーはなおも走る。他の者も何も構わない。


資本主義より砲火。誰も怖気づかない。弾着。プレイヤーが吹き飛ぶ。走る。さらに砲撃。風を切る砲弾。プレイヤーがどんどんとデス。まだ走る。距離もある。まだ遠い。


さらに激しい砲撃。地面が抉られ、砂漠の上で兵士達は倒れる。ハリーもやられたが、リスポーン。ベッドから飛び起きる。


「走れ! まだ走るんだ!」


兵士達は合間なく丘を超え走る。ほとんどリスキルと同じ様相。しかし走る。デスする。


資本主義は想定以上の過剰な砲火によりその身を揺らした。溶けた鉛筆ならこうなるだろう。


丘が砲弾により形が変わる。それより先を撃ち、ベッドルームに直撃。構うものか。第二ベッドルームがあるのだから。


五分経過。丘だったものを超えさらに進む。未だ攻撃は止まない。兵士達に絶望が湧いてきた。


「諦めるな!」ハリーの激励が走る。「撃ち終わらない砲はない! 走れ!」


喉を破るほどの叫声。兵士達も感化され、駆ける。


その時、資本主義が大きく揺れる。一部が崩落し始めた。「こちらBB」無線が来た。キャッチしたのはプロシオンと後方の司令部。「資本主義を支えている柱を発見。共産主義を用いて破壊しました」


「よし! よし! よし!」司令部の雫に興奮が昇る。「プロシオン!」


「はいはい。壁が崩れて砲撃に乱れありでさぁ」


「皆に伝えて。まだ走れって」


「あいあい……兵士諸君! まだ走れ!」


プロシオンが拡声器を使って下の兵士達に叫びかける。自分達が走った結果が視界にあった。それが何よりもの希望になる。足を速める。


廃墟街にかなり近付いた。地雷も増え出す。定石の配置だ。撤去の意味合いも含め、わざと踏み抜く。砲撃は続く。揺れも大きくなる。向こうもやけっぱちだ。


そして、先までの大砲災害は静かになっていく。小雨に落ち着いたところ。


「こちらプロシオン。砲撃が緩み始めた!」


「よし」ガッツポーズ。雫は力を込めた。「作戦をフェーズ2に移行。砲撃部隊突撃開始!」


走るプレイヤーを追うように、自走砲、ロケット砲、大砲が運ばれる。装甲車等の車両が全車突撃。包囲されて潰されても、デスして後方に逃げればいいだけだ。半ばヤケクソ。


走る車両は、対戦者地雷を踏みぬこうと投入された。重量も多くしている。よって、爆散する。


資本主義の砲撃が完全に止む。代わりに連邦軍が攻撃開始。地面を抉りとり、壁を支える柱を狙う。さらには梅、桜の支援砲撃。柱に直撃。また崩落する。なおも攻撃続行。柱を折っていく。


見かねて決戦兵器達がこちらに来た。共産主義、帝国主義の軍団だ。


「決戦兵器第三号確認!」プロシオンの報告。「対空戦車、出番だ!」


言われた対空戦車が前へ。滅茶苦茶に撃つ帝国主義に一斉砲火。プロペラをへし折った。


「決戦兵器第三号撃破! 繰り返す、第三号撃破!」


プロシオンの報告は拡声器を通して伝えられる。兵士、歓喜。さらに走った。残るは共産主義のみ。あれのミニガンを受け倒れていく。まるで草原の草花。


戦車がロングレンジから共産主義を狙う。撃つ。戦車並の装甲がないため一発で爆散する。


「司令部、共産主義も撃破しているぞ!」


プロシオンの報告に司令部は沸き立つ。雫が彼に聞く。


「壁は?」


「穴が空いた!」


「よぉし! 作戦をフェーズ3に移行! まんぷくテロリストを突入! 護衛して! 全力で!」


ヘリを全機投入。まんぷくテロリストのバンが走り出す。バイクは車に縛り付けられた。


「飛ばすぞ。ちゃんと掴まれ!」


プロペインが宣言通り飛ばした。周りには盾となる装甲車、空にはヘリ。速度最大で突っ切る。


「ハチ、サム、これからそっちに行く。資本主義に穴が空いているだろう? そこで待て!」


「了解です」BBが答えた。


共産主義の一機が止めようと来た。空からロケット弾。着弾し爆発。ただ装甲車を一つやられる。さらにもう一機来た。レモンが二発撃つ。フロントガラスを割りパイロットをキル。


資本主義から機関銃の雨嵐。味方からの砲撃が柱に直撃。また崩れ始める。土煙が車を襲う。


煙を抜けると、瓦礫の山。その上に二人のプレイヤー。BBとオサムだ。バンは無理やり瓦礫を超え、そばで止める。


「乗れ!」


二人は乗車。すぐ発進する。


「こちらプロペイン。サムハチの回収に成功。これよりアライランスラインの先に行く!」


「やったわ! 作戦成功! 置き土産よ、あの壁をぶっ壊しましょう!」


残された全戦力による総攻撃。資本主義の下部に命中。柱が壊れ、倒壊。もうすでに、兵器としても壁としても、役立たずのゴミになった。


「こちらプロシオン。資本主義の完全崩壊を確認。アライランスラインに穴をぶち開けたぞ!」


「作戦成功! すぐに撤退準備! まんぷくテロリスト、あとは任せたわ。中で暴れ回ってちょうだい!」


「了解! またあとでな」


プロペインは気軽に返事をし、先へ進む。大祖国作戦、成功。


BBとオサムは窓から体を出し、後ろを見る。壁は全て崩れた。まだ一日しか経っていないのが、どうも不思議だ。夕焼けが、砂を赤くする。


「二人共お疲れ」


優しい声色で草食が言う。オサムが答える。


「わたし達、何もしてないですけどね」


「サム、それはあたし達への当てつけだよ。こっちは文字通り何もしてないしね。ねぇプロペイン?」


「だな。しかし、今回の戦いはポストアポカリプスの戦史に残るだろうな」


「どうして? ただ素っ裸で走っただけじゃん。いやすごいことだけど」


「そこだ、草食。突撃され続ければそれだけ弾は枯渇する。強固な守りがあってもな。敵の失敗は歩兵を置かなかったことかね。そうすればまだやれた」


「ふーんなるほど。レモン、どういうこと?」


草食は理解しようとせず聞く。レモンは呆れつつ、教師の如く答える。


「ようは、脳死突撃は大きな効果ありということです。リスポーン地点を完全に潰せないのでは、プレイヤーは延々と復活する。リス位置を潰せないなら攻勢側が有利です」


「……ただ突っ込めばいいなら、作戦も何もなくない?」


「そうなりますね。初期装備にナイフがありますから、脳死突撃を無視することもできないです」


「え、何そのクソゲー。じゃああたし銃持つ意味ないじゃん」


「いやいや、それは極論ですよ。遠くからキルできる武器は常に有用です」


言われた草食は安心したと言って背にもたれる。これからまんぷくテロリストは、経済同盟の領土を荒らし回る。補給なし。現地調査だ。


BBはひと休みいれるべく寝ようとした。そして、何か音を聞く。外を見る。地中からコンクリートがせりあがってきた。地下へ通ずる通路か。車が出てきた。


「プロペインさん、敵の増援です」


「何っ?」


オサムはすぐ銃座へ移る。複数の車両が通路から出て攻めてきた。


「このまま逃がすと思うかァッ! 飯テロォ!」


「オールドスランガーズ……」BBは口を噛む。


サイレンで聞いたあの女の声だった。車から大量の銃が出て、撃ってくる。オサムが応戦。草食が窓から銃を出す。レモンも後部座席より。BBは左の窓から。右はバイクが括りつけられていて狙えない。


マズルフラッシュ。草食が六人キル。レモンが狙える範囲の敵を撃ち抜いた。オサムは弾幕を張る。BBも可能な限り撃つ。


だが前方にも敵が現れる。囲まれた。プロペインが離れようとハンドルを切るが追いつかれる。


草食が前を撃つ。キルできなかった者は、車内に打ち込んだ弾を跳弾させ当てる。前方の敵を撃滅。


後ろからバイクが一台走り抜ける。オサムは他にもかかりきりだ。だが一台を炎上させた。バイクの敵は車の右についた。そして飛び乗ってくる。オサムは気付くも鉤爪で邪魔される。武器としての鉤爪だ。


「サム!」


BBが扉を開け車上へ。そこには仮面の少年がいた。


「ハチ公ォ!」


オサムを無視して攻めてくる。BBは揺れる車上で立てない。そのまま少年に押し倒された。地面に落ちる。オサムはすぐ少年を撃つ。跳んで避けられた。そして彼らとバンの間を車が埋める。BBは孤立した。


少年は鉤爪を鳴らす。BBは高周波ブレードを抜く。周りに誰もいない。一騎討ちだ。


「刀は」BBが鋭い目で睨む。「サムの手にある」


「今はお前が獲物だ」少年は声変わりを果たしていない声で語る。「総隊長を狙ったお前を討つ」


実際、狙われたのはBBのほうだが。


少年は空中へ跳ぶ。振り下ろし。BBはステップで回避。少年がBBへ向けて鉤爪を振り回す。ショットガンを抜き撃つ。斜めにステップして避けられた。少年の渾身なる突き。BBは手を狙い斬撃。少年は回避、なぎ払い。対するBBは突き乱舞。両手の鉤爪が鉄火の防御で唸る。もう一度、BBが射撃。直前で少年は回避。BBが迫り振り下ろし。爪で弾かれる。構わず斬るがまた弾かれた。決して爪で受けようとしない。BBはショットガンを収めた。


BBは首を狙うと見せかけて足を斬る。少年は跳び、頭上からの突きを狙う。BBも跳ぶ。空中で交錯。弾き合う。衝撃で互いに離れる。二人揃って突進。BBの突き。少年は左手で弾き右手で斬る。BBは肉を切らせて骨を断つつもりだ。攻撃を受け、上段から振り下ろす。少年の右腕を断った。少年は下がり回復剤を打った。BBも同じく。少年は右手のみで攻めに転じる。


少年は爪を横に振るう。ブレードで爪を斬り落とさんとする。すぐ爪を引く。BBへ蹴り。ブレードの柄頭を蹴られた。その勢いのまま上段へ移行。だが振り下ろさない。溜めた。焦った少年は攻撃。その寸前でBBの刃が下ろされる。胴体を斬った。体を二つに切断した。


「クソ……また……負けた……」


少年はそう言い残し、デス。ポリゴンとなり消えた。


BBは完全に置いてけぼりを食らった。バンの進行方向に歩きながら、通信する。


「BBです。そっちは?」


「追手は片付けた。そっちに行ってる」


プロペインの返答にBBはようやく安堵した。


しばらくして、バンが戻ってきた。括りつけられたバイクを降ろし、BBが乗り、発進した。ようやくやれることがやれる。五人は知らぬ荒野へ駆け出した。




経済同盟。オールドスランガーズ本拠地。ファームシティ付近にあった本拠地よりも、比べられぬほど巨大だった。ただプレイヤーズの要塞には及ばない。会議室で、幹部達が頭を抱えていた。


何十人かいる四天王が報告を聞いて呆然。総隊長たるねこはいない。お上から呼び出されている。副隊長とメガネの男は小声で喋る。


「どうします、これ」メガネの顔は青い。


「いや、本当にどうしよう。今回、ネタ抜きでガチったじゃん。オルスラのプライド捨てて本気になったじゃん。マジだったじゃん。だのに負けたんだけど。これマジ?」


「あ、あの。どうするか聞いてるんですけど」


「どうするって、いやいや。資本主義がぶっ壊されるとか思わんやん。まんぷくテロリストがどうこうできない兵器なのに。何で? 何で? 何で?」


「でも、ほら、畳返し作戦は今の所成功ですよ。連邦を押し返していますし」


「でも飯テロがこっちに来たら意味ないじゃん。あいつらプレイヤーズもどうにかできたんだよ? あとさ、もう金ないんだけど。決戦兵器に全部ぶっ込んじゃったんだけど。どうするのこれ。ほんとどうすんのこれ」


「あの、みなさん」


思考ストップ中の副隊長はもう無視した。メガネは全員に問いかける。


「どうします? これから」


「負けたかどうかは俺が決めることにするよ」


「乱丸さん現実逃避しないでください」


「ククク酷いやられようだな。まぁ事実だからしょうがないけど」


「タフーさんも現実を見てください」


「ほんとはオルスラも飯テロに勝ちたかったんでしょ? 死ねよ」


「すでに瀕死ですよ朕さん」


「マァァァイネェェェェェム!」


「うるさいですね……オニワさんは相変わらず」


「ムッ、敗北か」


「副隊長もしっかりしてください」


四天王も、ふざける他なかった。メガネはため息を吐き、自分がまとめあげることにした。


「過ぎたことはどうしようもありません。侵入してきた飯テロをどうにかキルしましょう。どうせ上は我々に押し付けるでしょうしね。それにウォーターメロンもうるさい。今、同盟で最大戦力は我々です。クローム社ではなく。だから我々がやる。いいですね?」


「理由はもちろん、お分かりですね?」「そういうのいいから」


グダグダだか、彼らのやることは決まった。

怒らないでくださいね。元ネタを読んだことないのにネタにするのってバカみたいじゃないですか。エアプによる忌憚のない自虐ってやつっス。

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