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楽園のポストアポカリプス  作者: 平之和移
第2部の1 連邦同盟間戦争編
88/137

第7話 オペレーションコンクエスト


経済同盟へ攻め入る三千連邦軍。その道中、山の方角より砲撃され進軍を停止する。撤退の判断が下る。拳銃警察隊から偵察隊が出された。解放旅団からも一機偵察ヘリが向かう。レモンを乗せて暴れたあのヘリだった。


連邦軍はすぐ陣地を築く。進行ルートを妨害されている以上戦わざるを得ない。一部から迂回案が出たが、舗装された道は予定の道しかない。後の補給で苦労しないためにも、山の制圧は不可避と言えた。


BBはピースサイダー社から支給されたアサルトライフルを眺めていた。いつものアサルトライフル。カラシニコフに似ているらしい。オサムが隣で刀を研ぐ。


「使い心地はどう?」BBがオサムを見ずに言った。


「悪くないね。まだ慣れるのに時間がかかると思う。ハチこそ、そのブレードどうなの」


「いいね。でも、まだどこまで斬れるかは知らない」


「じゃあ今調べたら?」


BBは周囲を見る。連邦兵士によって基地が造られていた。二人は別にすることがなく、確かに暇だ。


「それじゃ、何かで試してみるよ」


立ち、オサムも着いていく。


まずは試しと木材。兵士は快く渡した。腰を動かし、斬ってみる。両断。中々厚かった。それでも斬れる。お次は鉄パイプ。無理とは解る。しかし斬ってみた。両断。二人は顔を見合わせた。


「これよく斬れるね」BBが軽い感想を述べる。


「だね。サムにあげた刀でも、防ぐことはできなさそうだ。弾くことはできるだろうけど」


戦闘法が大きく変わりそうだ。たとえアーマーをつけていたとしても、一刀で斬り捨てられる。いいものを拾った。微笑する。


レモンが来た。ヘリの音。見れば、偵察ヘリが帰還している。どうやら任務が終わったようだ。レモンといえば、目を輝かせている。


「お疲れ様です。あのですね、私ヘリに乗ることになったんです」


「へぇー。前みたいな狙撃?」オサムが返す。


「はい。私、支援に回されるそうです。飯テロをひたすら助けろと。空中から狙撃することになりましたからね。みなさんの指定があればバンバン撃ちますよ」


「扱いが大砲と変わらないね」


「それを言ったらサムさんも兵器扱いですよ」


二人は言い合って、快活に笑う。BBも口角を上げた。




急造の司令部で指揮官が勢揃いしていた。ピースサイダー社からは雫、ハリー、プロペインと草食が出た。


今回の目標は小高い山。同盟はその自然を要塞としており、承知の通り大砲などを配置して武装。上空からの確認だとヘリポート及び戦闘ヘリを複数保有。また対空能力も高い。偵察ヘリも落とされかけたとのこと。


その分成果はあった。まず要塞の中心地となる山が一つ。もう一つ、断崖絶壁の山がある。その山の上にはコンクリート建てのビルがある。要塞と一本の橋で繋がっていて、確認のために接近すると激しい抵抗にあった。ここが司令部もしくはリスポーン地点だと皆が考えた。


そして全く腹立たしいことに、連邦が現在敷いている陣はその司令部と真反対の位置にある。移動も考えた。だか先の通り司令部は断崖の上にある。備えなしではいけない。


そのため、作戦を立てた。


まず、敵の要塞を三つのゾーンに別ける。手前側半分をAゾーン。その奥をBゾーン。そして橋から先をCゾーンにする。連邦軍はまず大砲や航空支援によってAゾーンまで進軍、攻撃。Aゾーンを手に入れる。その後戦車部隊の投入によってBゾーンを攻略。すでに防衛網を突破した、その勢いに乗ってCゾーンを討つ。最後まで力押しの作戦となる。


本作戦をコンクエスト作戦と呼称。これは指揮官達のお遊びだ。名前に特段意味はない。先頭は当然のようにピースサイダー社だ。志願ではなく、頼まれた。戦果をあげるという目的とも合致する。文句なく引き受けた。


プロペインと草食は基地の廊下を歩く。草食はいかにも楽しげだ。


「コンクエスト作戦かぁ。やっぱりこういうのはワクワクするよね」


「だな。まさかお前と共感する日が来るとは」


「山の地形だから車は使わず走って登るんだよね。やだなぁ疲れる。プロペインは問題なさそうだけど」


「おいおい、筋肉はあまり持久力がないんだぞ? ボディービルダーは短命と聞くしな」


「え、マジ? じゃあ何で筋トレとかすんの」


「ほどほどは体にいいからな」


「なるほど。ギャンブルと同じか」


「どこをどう解釈したらそうなるんだよ」




会議の後、兵士達は移動。レモンは偵察ヘリ、プロシオンと呼ばれているそれに乗った。山の下、プレイヤー達が開戦を待つ。


はるか後方から轟音。砲弾の飛来する音。着弾。宣戦は告げられた。


「全員突撃!」


先頭の解放旅団、雫が叫ぶ。雄叫びが天を突き地鳴りと共に突撃。次々焚かれるスモーク。味方の支援砲撃はなお続く。


ヘリ部隊が上空より援護。ロケット弾で機銃手を潰していく。レモンも引き金を引く。機銃持ちが倒れる。RPGが発射される。プロシオンはゆらゆらと避ける。


Aゾーンは三分の一が傾斜だ。それを登りきれるか否かで勝敗が別けられる。味方の援護もあり残存する兵は多い。


敵の戦闘ヘリが現れた。上空の味方ヘリはそれらとの戦いに向きを変える。プロシオンの、レモンのもとへも来た。偵察ヘリの武装はミニガン程度だ。それで削りきれるほどヘリは柔らかくない。レモンが大声をあげる。


「私が操縦席を撃ち抜きます! プロシオンさん!」


「正気かレモンちゃん? いいけど掴まれよ!」


正面に攻撃ヘリ。プロシオン機はあえて下に逃げる。追う敵。旋回。レモンが姿を見せた。一発。負けじと撃ち返される。無誘導のロケット弾。プロシオン機は螺旋を描き上へ登る。回避。途中でレモンがもう一発。操縦士を撃ち抜いた。ヘリが回って落ちていく。


「こちらセンチュリー2! プロシオン、助けてくれ! 二機に狙われている!」仲間の攻撃ヘリからだ。


「バカ言え! こっちは偵察ヘリだぞ」


「構いません」叫ぶレモン。「やりましょう」


「あいあい。どこだセンチュリー2」


「お前の下だ!」


ヘリをほぼ垂直に傾けた。レモンは掴まれる物に掴まった。下では味方のヘリが二機に攻撃を受けている。レモンは片手で狙いを定めた。ストックを肩に当てず。


「一発撃ったら下降してください!」


「拾うんだな? 了解よ!」


プロシオンの理解力に助けられ、レモンは発射。一発命中。コッキングのために手を離す。宙に浮く。コッキング。ヘリが上手く下降しレモンを中に入れる。


また九十度近く傾ける。もう一発。命中。敵のヘリは墜ちた。


「プロシオンだ。センチュリー2、あとは自分でやれ」


「助かった。あとは任せてくれ」


さてと偵察ヘリの仕事をする。兵士達はすでにAゾーンの半分まで来ていたようだ。「こちらプロシオン。仲間はAゾーンの半分まで来た。支援砲撃をしてやってくれ」そう言い、彼は経過を観察する。


BBはなお全力疾走。走りながら制圧射撃。物陰へ。敵も隠れるがオサムが手榴弾で炙り出す。爆発。敵が吹っ飛び空中でポリゴンになって消える。草食は頭を出す敵全てを撃ってキルした。プロペインも断続的に射撃している。


「ハチ、サム」プロペインが鋭く叫ぶ。「なんですか」BBが撃ちながら聞く。


「裏取りできるか。大きく回って、敵の背を突く。この勢いを守りたい」


「判りました。行こうサム」


二人は駆け出した。味方の後ろへ回る。銃弾かが激しく飛び交う。勘で避ける。所々スモークが焚かれ前線を押そうとしている。


二人は山の外周に着いた。まだ走る。急な斜面を滑るように、しかし登っていく。


敵の横につけた。二人は一斉に射撃。オサムはよくヘッドショットした。さらに手榴弾投擲。敵の前線に穴を空けた。感動する暇もなく敵が来る。BBが抜刀。銃弾を防ぐ。後ろからオサムの射撃。キル。


ブレードを仕舞い再度撃つ。まだ敵には完全に知られていないこの裏取り。どんどん押し上げていく。BBがリロードすればオサムが合間なく撃つ。隙がない。横から攻撃される。この銃声の中でも足音を逃さずBBが反撃。キル。


味方の支援砲撃が来た。Aゾーン奥地に鉛の嵐か落ちる。前線を壊した。BB達が開けた戦線へ味方がなだれ込んだ。二人も合流しようとまた走る。


Aゾーン攻撃も終盤に差し掛かる。そこへ空中から泣き言が来た。「こちらレモンです。ハチさん聞こえてますか? 空は不利です。何とか支援お願いします」


「了解。RPGとか拾うよ」


地べたを這いずりRPGを見つける。三つあった。オサムに一つ投げ渡す。空を見た。どれがどのヘリだ。わずかな思考。オサムは空へライフルで発砲。ヘリに着弾。下を見るヘリ。仲間だと認識して空へ戻る者と、飯テロであると攻撃する者に別れた。


BBも意図を把握。賭けだがやるしかない。RPGを撃った。弾頭がヘリへ吸い込まれていく。回避、したが間に合わず着弾。爆発。残骸が円に舞って墜ちる。


「ヘリの人! 今のは敵ですか?」


「こちらプロシオン! やったな、敵だ。BB、オサム、次も同じ感じで頼む。だが外すなよ!」


二人はホッと息をつく暇もない。弾が切れたBBにRPGを投げ渡す。オサムが確認。敵ならば空へ撃つ。これを二回。RPGは弾切れになった。


「こちらオサム。RPG品切れです!」


「よしもういい。攻略に戻ってくれ」


プロシオンに返事する間もなく駆け出す。


Aゾーン攻略終了。次はBゾーンだ。


航空優勢は確立した。支援攻撃はヘリに任せられる。そしてキャタピラの揺るがす音。戦車が投入された。計五台。解放旅団及び飯テロは彼らを盾に進む。


BB達も戦車の後ろへ。頭を出し撃つ。戦車が砲撃の度に揺れる。プロシオンが我が物顔で空を闊歩。レモンの狙撃でより対空能力を削いでいく。


戦車が一台やられた。周りのプレイヤーが吹き飛ぶ。スモークを放ちやり過ごそうとするが、更にRPG。さらに大砲。二台目もやられ、進撃が停止する。


すかさず上空よりヘリの編隊が来た。地上をミニガンで掃射。たまらず、敵は身を隠す。そこへBBとオサムが突撃。プロペインが援護。制圧射撃。草食は頭を出した奴をキルした。


遮蔽物を越え、撃つ。キルを三つ。オサムは足元にスモーク。リロードの暇を稼ぐ。BBの肩を叩いた。彼女は自身の前を指さす。BBも自身の前を。頷きあう。別れて行動しようとのことだ。


走る。オサムは撃ちながら走り当てていく。BBはただ走る。射撃を避け反撃。避けるのが面倒になり抜刀。銃弾を斬り進む。立ち止まる。口でマガジンを抜き左手の小指でポーチをいじりリロード。片手にブレード、片手にライフル。突き通していく。


敵の弾丸は通さず、しかし己の弾は当てていく。反動がバカにならないが、制圧は上手くいく。敵は一発も当てられずやられた。


敵方は引き始める。好機を逃すまいと戦車を速度を上げる。Bゾーンは難なく攻略した。


目標はCゾーンのみ。空から新たなるプロペラの音。敵の援軍ヘリが来た。


構わず突撃。しかし橋で止められる。あまりにも砲撃が激しい。Cゾーンの山もそこそこ広く、砲撃陣地がある。BBもオサムも、流石に近付けない。


だが止まるワケにはいかない。一台の戦車が行動。砲撃しつつ前進。影に隠れて兵士達が撃つ。空からの攻撃は期待できそうにない。


RPGが集中して撃ち込まれた。戦車大破。炎上。橋の上で廃車になる。これ以上戦車は送れない。プロペインは無線で戦車の撤退を進言。司令部は承諾し戦車を引っ込め始める。


空をどうにかすべきか。プロペインは考える。航空優勢を取り戻せたら勝てるかもしれない。


そんな考えを砲撃がねじ伏せる。次々と来る砲撃の前に一時退かざるを得ない。兵士達は悪態を吐きつつ退く。だがその中に、なお諦めない者がいた。


解放旅団、雫は叫ぶ。


「わたし達が活路を開くわ! だから退かないで!」


「どうするつもりだ!」プロペインも叫び返す。


「突撃する! 皆スモーク投げて! 行くよ!」


返事さえ聞かず、解放旅団は全員走り出す。戦車を乗り越え、横を通り、無限とさえ思える橋へ挑む。大量のスモーク。走りながらの射撃。そして何より人の数。敵に恐怖を呼ばせた。


「皆続け! 我々も行くぞ!」


拳察隊も行った。叫んだ。狂気の如く。飯テロもお互いを見て、走り出す。他の連邦兵士も勇気を見出した。地を蹴る。走る。


橋に人の暴風ができた。前方の者は元よりデスするつもりでいる。走る。走る。一部の者は転び橋から転落。橋ごと落とそうとするがもう遅い。解放旅団が橋を突破した。銃剣と肉体の突風で踏み潰していく。


解放旅団はビルには目もくれず砲撃陣地へ。反撃を許さぬ突進。雫は敵を押し倒し馬乗り。銃剣で突いた。喉を引き裂いた。キル。


飯テロと拳警隊がビル内に侵入。草食が挨拶として六人キル。BBとオサムは銃を捨て刃物で斬り捨てる。


後続の拳警隊が次々部屋をクリアにして言った。室内戦においてはプロ並だ。彼らは地下へ地下へ進んだ。


……その後、最深部まで到達し、ベッドを破壊。不審な壁を蹴り飛ばし、その奥の階段を登り外へ。制圧されていて、けれどBBはなお敵を探した。ヘリはあらかた墜ちていた。


「こちらプロシオン。Cゾーン制圧を確認。コンクエスト作戦、成功。繰り返してやろう。コンクエスト作戦、成功!」


実感がないのか、人々は人々を見ただけだった。ビル内の兵士が出て、現状を確認した。


歓声があがった。


思えば電撃戦だった。BBは収まらない叫び声にため息を吐きつつ思う。


「今回のMVPは解放旅団の人達だね」


オサムがそう言った。当の彼らは雫を胴上げしている。BBも認める。そこには彼らへの尊敬があった。


ヘリが陸に降りた。煙を吹いているのも多い。プロシオンからレモンが降りる。仲間が迎える。


「まだ、続きそうです」


呟く。レモンの言う通り、早期に援軍が来た。おそらく、別の基地があるのだろう。


兵士達に休みはない。

すみません遅れました

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