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オークと偽物攻略 決着

~~~~SIDE アンネ


 あー、あれ、どっちがわたしか分かってないわね。

 私は内心そう心の中で呟いた。戦闘開始時のグォークの言葉ではないが、乱戦だったのだし、この状況で間違った方を攻撃してしまえば、戦闘のバランスが崩れてしまうことも分かっているから余計に悩むのだろう。


 しかも、ここにボスがいるということは、グォークはいま二体のオーク相手に大立ち回りをしているということだ。最初にちらっと見た感じ武器性能はこっちの方が上そうだけど、2対1となるとどれだけ持つか分からないからその焦りもあるに違いない。……まぁ、あいつならさらっと勝っちゃいそうな気もするけど。


 とにかく、ボス的には……そして、私的にも勝ちたいし、手助けが欲しいんだけど……正直、どうするのがいいのか、思いつかないのよね。もう一回登るのはめんどくさいけど、今回は諦めようかしら。


 幸い、試練の内容は分かったのだ。一旦ここで私が倒れても対策をしっかりすれば突破は可能なはず。


「ボス、私ごと、偽物を攻撃しなさい」


「な、何を言うのですか姉御殿!」


「言ったでしょ。私たちは挨拶がてらモグモグされる種族なのよ。私がここでリタイアしても、迎えに来てくれればいいのよ」


 そう言っても、ボスは硬直して動いていない。どうやら、私を攻撃するというのに拒否感があるようだ。

 ……これは、私が動いた方が早そうね。そう思って自身の現状を確認する。

 羽根と腕、割とひどい状態ではあるけど、何とか体は動く。まぁ、それも、集中すれば何とか動ける、といったくらいの重症、魔法は使えないこともないけれど、反動でバランスを崩して突っ伏す可能性が高い。


 その魔法も、重力や着火、とかの簡単な魔法がせいぜいといったところだろう。

 一方で、私の偽物は、身体の外傷は火傷が一番デカい。逆に言えば、喉以外の損傷は大したことが無い。ただ、そのダメージがデカすぎて私と同様に直立が出来なくなっているようだ。それでも、五体は無事。仮に手の届く位置まで近づかれれば、格闘戦で負けかねない。


 なら、多少無茶でも遠距離の魔法を使うしかないだろう。


 そこでふと、私はグォークと戦った記憶を思い出していた。体が満足に動かない中、2発魔法を使うのは無理かもしれない。なら、グォークがよくやっているように、牽制で何かを投げるべきかもしれない。


 幸い、調味料セットは私も持っている。羽根に剣が当たって墜落した時に盛大にぶちまけたので近場に残っている袋は一つだけだけど、この際だ、偽物に投げつけることにした。

 力なく投げたその投擲だったが、幸いギリギリ相手の目の前に落ち、中身を飛び散らせた。


 とはいえ、偽者の反応を見るにそれほど目や鼻に訴える物はないようで、どうやら胡椒じゃ無かったらしい。まぁ、最低限相手の注意は引けたので良しとして、”着火”の魔法を放った。


 偽物が、冗談みたいな爆発に巻き込まれて爆散した。ついでに言えば私も爆風に巻き込まれて支えにしていた柱から飛ばされて後方に吹っ飛んだ。


「姉御殿ーーーーーーー!!!!」


 私が薄れゆく意識の中最後に聞いたのは、そんなボスの悲痛な声だった。


 


~~~~SIDE グォーク

 俺の偽物が俺の目の前で崩れ落ちる。


 よし、一体を討伐することができた。あとは偽ボスを攻略するだけだ。


 俺はボスに対峙する。その次の瞬間、俺の横を通り過ぎた影が、偽ボスと鍔ぜりをを始めた。


「ボス!?アンネはどうした!?」


 ボスは俺に向かって困ったように笑いかけた。


「姉御殿は……、少なくとも護衛の必要はないと判断しました。姉御殿も主殿も自らの偽物を自らの手で討たれたのです、ならば、我も自分の偽物を倒したく思います」


 そう言うと、ボスは剣を一閃、冷気が迸ると、2対1の状況に警戒して動けていなかった偽ボスの手が凍り付いた。

 慌てる偽ボスに向かって、ボスが剣を一閃、剣が首の半ばまで切り裂き、その身を凍てつかせる。それでも追いすがろうとするのが流石はオークの生命力といった所だが、その動きは鈍く、返すボスの追撃を妨げることは出来なかった。反対側からも首を断ち切られ、ボスの偽物は力なく倒れ伏した。


「何とかなったか……って、リストさん!?」


 戦いが終わってあたりを見回して、リストが偽リストと談笑していたので驚いてしまった。


「あぁ、終わりましたか」


「いやいや、それよりも何で談笑してるんだよ!?」


 それを聞いて、二人のリストは顔を見合わせると、一人が姿を変えながら俺たちを見て来た。姿が変わると、まるでマネキン的な姿に変化する。


『まさか戦闘して全員生存するとは思わなかったよ。いや、まあ、こっちに対応できない武器が二つもあるとは思わなったけど』


 ……ん?ちょっと待て。


「今さっき、戦闘して、って言ったか?まさか、だけど戦闘しなくても突破できた、のか?」


「確か、この部屋に入る前には、”自らに相対した時いかにするか”と書いてありましたな」


 対峙した時の対処法……そこには、戦闘でどうにかしろ、という記述は……ない。


『まぁ、そう言う事。ここの部屋の僕たちは、相手が戦う気が無ければそもそも戦闘にならないんだよね』


 その言葉に脱力した俺たちに、マネキンは微笑んだ雰囲気を出しながらいつの間にかできた階段を指さした。


『それじゃあ、次はボス部屋だから頑張ってね』


 俺はその一言に、茫然と頽れたのだった。

【速報】アンネちゃん、粉塵爆発を使い出す。【悲報】


 なお、アンネちゃんが投げたのは砂糖の袋。粉塵爆発と言ってもそれほど大規模なものではなく、威力的には小動物にやけどを負わせられるかどうかくらい。でも、既に手負いの偽アンネちゃんには大ダメージだった。

 なんか以前、雷の化身みたいなやつに砂糖投げつけてあわや大爆発するリスクを冒した主人公がいた気がするけど粉塵爆発に思い至らなかったんだよ。多分。

 あの時爆発しなかったのは粘り気の差、一度雷撃を受けたせいで、道具袋の砂糖は上手いこと水あめみたいな感じになっていたものが多かったため、ぶちまけても爆発するには密度が足りなかった……ということにしておこう。


 せっかくなのでネット小説大賞に応募しようと思います。応援してくれるとうれしいです。

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