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ソウルズ!麒麟覚醒篇  作者: オレンジタイフーン


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23/28

#53


 

緊迫した空気を打ち破るように…凛とした清らかな声が辺りに響き渡った。

 

 

 

『その血に塗れた汚らわしい指を一本足りとも…その方々に触れさせは致しません。

 

まずは…私が相手をして差し上げます。

 

さぁ…かかってらっしゃいませ!』

 

 

猛々しく…リンが気合いと共に大声で言い放ち…構えると妖魔は嘲り笑い出した!

 

 

 

 

『フフフ…ククククッ…ヌァアッ……ハッハッハーッ!!』

 

 

 

妖魔は眼光鋭く…吐きすてる。

 

 

 

『念神体のそれも、か弱そうな女ふぜいが…先程から随分な口をきいてくれるじゃないか。

 

キサマ如きに…何が出来ると言うのだ。

 

死に損ないの能力者の坊やが、辛うじて意識を保っているから存在しているだけの弱々しい雑魚に構っている暇など無いんだよッ!』 

 

 

妖魔が…その言葉と同時にリンに仕掛けた。

 

 

素早く突き出した拳と共に衝撃波が巻き起こる!

 

 

 

《ダンッ!!

 

……ヴァォォォ…ッ!!》

 

 

 

空気の壁を貫く音ともに押し寄せた衝撃波のみで…かなりの威力のある攻撃となっていた。

 

 

 

貫かれた空気の壁が白い円環の雲を作り上げていた。 

 

 

リンは…くの字になって真後ろに吹き飛ばされた!

 

 

しかし…すぐさま反転し、体勢を立て直すと…再び、構えるのであった。

 

 

 

妖魔は…リンの目論見に気付いていた。

 

 

 

『よくやる…よくやるよ! 

そんなに坊やを信頼してるのか?』

 

 

妖魔は腕組みをして…ふてぶてしく笑い飛ばす。

 

 

 

『キサマの目的が時間稼ぎだと言う事は見え見えなんだよォッ…!』

 

 

 

さも忌々しそうに続ける。 

 

 

『あの坊やが戻って来たトコで…どうなる訳でも無いが、そこのクソガキと連携攻撃をされたら…流石に少しヤバイからな。

 

…それもオレの見込み違いだったようだがな。

 

ウヌゥ…しかし、万が一の事も考えて…今のうちに葬ってやろうと思ってな…

 

……ククククッ…ハッハッハッハッ~!!』

 

 

 

妖魔は…一足飛びで、構えているリンに近付くと右手で腹を思い切り殴り付けた!

 

 

虚をつかれた攻撃と圧倒的な速度のパンチを避けられるハズも無かったのである。

 

 

リンの両足は地面から離れて浮き上がってしまう。  

 

再度…くの字に折れ曲がったリンの身体とガクリとしなだれる頭を、妖魔は鷲掴みにするみたいにして左手で首根っこを掴まえた。

 

 

リンの首からはギチギチと音を立てて…きつく掴み上げられる。

 

 

絞め殺すようにして妖魔が持ち上げると…空いている右腕を振り上げて、幾度と無く…殴りつけるのであった。

 

 

 

妖魔の放つ…強烈な正拳と裏拳が交互にビンタのように繰り返されていた。

 

 

リンも抵抗して…手足をバタつかせるものの何ら意味の無い結果となってしまうのだった。

 

 

その光景は、まさにサンドバッグを殴り続けるボクサーのようであった!

 

 

 

美しいリンの顔が見るも無惨に腫れ上がる。

 

 

『ファッハッハッハッハッハッ~!

 

永遠の命を持つキサマら…ソウルズとは言え殴り続けられれば、多少の痛みを感じるのだろう?

 

今さら時間稼ぎをした所で…どうなる訳でもあるまいに。

 

まぁいいか…腹ごなしにはちょうど良いぜ。

 

苦痛に耐えきれなくなったら泣いて許しを乞い願っても良いのだぞ!

 

まぁ…オレが飽きるまでは止めないけどなぁ……

 

アッハッハッハッ~!』


 

 

しかし…妖魔はすぐに殴り続けるのに飽きたのか、それとも面白い事でも思い付いたかのように含み笑いをする。

 

 

気味の悪い笑みを浮かべ…今度は伸ばした爪でリンの肌を切り裂き始めるのであった。

 

 

 

肌を裂く…烈火の如き、熱い痛みが全身を駆け抜けていく。

 

 

 

 

リンは…妖魔の爪で身体中に無数の切り傷がつけられて、真紅のマントを纏ったように血塗れになっていたのであった。

 

 

 

切り裂かれた着物の中からは…パックリと開かれた痛々しい燃えるような赤い傷口と美しい白い素肌が見えていた。

 

 

 

何かに惚けるようにリンを見つめている妖魔。

 

 

 

『その血も…身体も…全てがオーラで出来ている。  

だから…だからさ…痛くなんてないよなァッ!』

 

 

妖魔は伸ばした爪でザスザスとアイスピックで氷を砕くみたいに何度も、何度もリンの肉を貫き始めた。

 

 

五センチにも満たない直径の小さな穴が身体中のそこかしこに空けられていく。 

 

その様子はワイン樽に次々と穴を空けたみたいに熱い鮮血がドクドクと吹き出してくる。

 

 

地面に出来たばかりの鮮血の池には…月が真紅に染め上げられて映し出されていた!

 

 

 

リンが他の人間と違う点と言えば…いつまでも止めどなく…際限無く鮮血が溢れだし、その真っ赤な鮮血が身体中をしとどに濡らしていく事であった。

 

 

 

それまでは『クッ』とか『ウッ』とか『ンンッ』などと…口を真一文字に固く結び、必死に痛みに耐え…我慢をして、低く呻き声を上げていただけだったのだが………。

 

 

 

身体中を妖魔の爪に幾度となく貫かれるのは…流石に限界を超え、耐え切れずに大声を上げて痛みと戦っているのだった。

 

 

その苦痛に喘ぐ…悲鳴の数と身体中に空けられていく穴の数は同じであった。

 

 

 

無力感に…うちひしがれるリンは己の不甲斐なさに情けなくなり、頬を哀しみの気持ちが…ツッ~ッと伝わって、こぼれ落ちていくのであった!

 

 

 

 

『そこまでよ!

 

いい加減にしなさい!』

 

 

 

 

その声とともに反撃の狼煙は上げられた。

 

 

 

諦めかけていたリンに希望をもたらす福音となるのであろうか?

 

 


 

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