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悩みと可憐な騎士

夜の露店営業中。


夜の中央広場は人が少なめで、こんな端っこの露店では売り上げは期待できない気がする。

だけど今日はそれがありがたいな。

なぜならば老紳士からの報酬をどう使おうか考えたいからだ。

「う〜ん、いざレアな素材が手に入るともったいなくて使いたくなくなるよな」

ゲームで言うのなら[エリクサー症候群]とか言われてたっけ…

「死蔵するのも、もったいないよな…絶対に」

革袋から[緑龍の鱗]を1枚取り出して見る。

緑に細かいラメが入ったような手のひら大の鱗はまるで宝石のようだ。

緑龍は風を操る龍のようで、龍の格では下級に位置するらしい。

下級とはいえ、4級以上冒険達が束になってやっと討伐できるくらいの強さらしいな。

スキルを検索するとそう説明された。

「………なんか最近、スキルの説明が詳しくなってきている気がするな」

気のせいか……?

「風を操るか……ならこの鱗や爪にもそれなりの力があるわけか……」

なんとなく作りたい物のアイデアが浮かんできた。

売り物ではなく、遠い所まで素材採取に行けるような物を作ろうかな。

「スキル検索フル稼働だ」

スキルをフル稼働させて作りたい物の設計図を組み立てていく……

「クロロはもし空を歩けたら嬉しいかな?」

「クル?………クルッ!」

いきなりの俺の質問にわけが分からないようだったクロロだったが、少し考えてから嬉しそうに返事をした。

「そっか……ならばその方向で進めてみるかな」

客が来ない事をいいことに設計図製作に打ち込んでいくのだった。


           ×


「あの…見させてもらってもいいですか?」

設計図製作に没頭していて気がつかなかった。

お客が来ていたらしい…

「どうぞ、ご覧になってください。魔導具の説明は木札に書かれていますから」

お客を見て少し驚いた。

綺麗な眉辺りで切りそろえた前髪に腰辺りまで伸びたストレートロングの金髪、まだ少し幼さを感じる顔立ちに優しさを感じさせる空色の瞳。

着ている鎧は立派な銀の鎧で、いかにも騎士ですという感じの剣を腰に下げている。

綺麗というよりは可憐という言葉の方が似合う美少女だ。

「う〜〜…ん」

可憐騎士さんは何か探しているような感じだな。

「何かお探しですか?」

「あ、その…何か鍛練になる魔導具はないかと思いまして」

鈴の音みたいに綺麗な声から鍛練という言葉が出るとは……

「肉体的でも魔力的でもいいので鍛えられたらと思っているんです」

「なるほど……」

力にはなってあげたいが無いんだよな、鍛練系の魔導具。

………いや、あの練習で作ったやつならばいけるかな?

「鍛練になるかはわかりませんが、こちらの[鈍魔の腕輪]などはいかがでしょうか?」

鈍色の少し装飾された腕輪を可憐騎士さんに見せる。

「こちらの腕輪は[魔力を重くする]という効果がある腕輪でして」

「魔力を重く…ですか?」

これは湿地帯で採取した[鈍鉄石]から作った腕輪。

[鈍鉄石]は魔力を少しだけ重くするという特性をもっていた。

[鈍鉄石]を製錬し[鈍鉄]にしたらその特性が爆上がりしていた。

その[鈍鉄]から[鈍魔の腕輪]を作った。

ではなぜ作ったのかというと…

装飾の練習用として作ったら、そんな効果がついていただけだった。

「……腕にはめてみてもいいですか?」

「どうぞ」

俺から腕輪を受け取った可憐騎士さんは迷いなく腕輪をはめた。

「!?………これは!身体を巡る魔力がいきなり重く……何ですか!?この遅さと重さ……くっ!」

身体に力を込めるように少し態勢を低くする可憐騎士さん。

かなり魔力が重くなっているようだな……

俺ははめてみたが、まるで変化がなかった…本当にチートな身体だよ。

「これ…買わせてください」

「よろしいのですか?」

魔力が重くなるだけで鍛練になるのかと心配になってしまうが…

「はい、身体に魔力を循環させるいい鍛練になりそうですから」

身体に魔力を循環…そんな鍛練があるのか。

「そうですか…でしたら金貨5枚となります」

可憐騎士さんから金貨を受け取る。

ついでに宣伝もしておくかな。

「こちらはおまけになりますが朝の露店で妹が売っております[チョコバー]です、おやつに最適ですのでお試しください」

普通のチョコバーと他の味2つを入れた袋を渡す。

「あ、ありがとうございます……わぁ、甘くていい香りがしますね」

袋を少し開け香りを嗅ぎ笑顔になる可憐騎士さん……う〜む、可愛い笑顔だ。

「失礼いたします」

「ありがとうございました」

去っていく可憐騎士さん。

「……どこかで見たことある気がするんだけどな……思い出せないな」

思い出せないということは大したことではないのだろう。


俺は思考を切り替えて設計図製作にとりかかるのだった。


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