老紳士と報酬
日は落ちてしまったが王都の城門まで戻ってこれた。
夜なので男のモミジに姿を変えておく
クロロから降りて歩いていると
横をガラガラと紅に塗られ、綺羅びやかな装飾を施した馬車か通り過ぎていく…
「高そうな馬車……どこの馬車だ?」
「あー…あれは歓楽街で一番人気の[ランファ]って店の馬車だぜ」
俺の独り言を聞いたのか隣を歩いていた農家風のおじさんが教えてくれた。
「あそこはすべてが極上らしいけどよ、アホみたいに高えぞ」
「教えてくれてありがとうございます。ですがそんなお金はありませんよ」
「だよな〜…一度は行ってみてえよ」
そうボヤきながらおじさんは歩いて行った。
「歓楽街ね……興味なしと」
前世の頃からそういった場所に興味はなかったので、これからも関わる事はないだろうな。
「宿に帰るか…」
今日の夜の露店は無しにして宿に帰ることにした。
×
「ここの王国はエルフとの仲は悪くないのう」
翌朝、朝の露店でダグさんにそれとなくエルフのことを聞いてみた。
「そうなんですね。でもこの王都でエルフを見たことないのですが」
「エルフはのどういう訳か人の住む場所に来ると鼻水やくしゃみが止まらん者がいるらしくてのう、あまり来たがらんらしいのう」
……それってアレルギーか?
人の住む場所にある何かしらにアレルギー反応を起こしているのかな?
「少ないがエルフ達と取引している商人もいるからのう」
なるほど、でもここの王国はってことは…
「エルフを嫌っている国もあるのですか?」
「そうだのう…北にある帝国はエルフと獣人嫌いで有名での、あそこは人族至上主義だからのう」
嫌な主義だ……行きたいとは思わない国だな。
まったく客のこない朝の露店でダグさんと会話していると…
「おはよう、お嬢さん」
貴族の老紳士が革袋を持って訪れた。
「これは紳士様、いらっしゃいませ」
「待たせて悪かったな、今日は[龍眼薬]の報酬を持ってきたのだ」
そういえば目の薬の代金まだ貰ってなかったっけ……忘れてた。
「金貨も考えたが、お嬢さんにはこちらの方が喜ぶと思ってな、集めるのに時間がかかってしまった」
革袋を手渡されたので中身を見てみると……
「え!?こんなによろしいのですか!?」
中には[魔石[大]が3つ、[緑龍の鱗]10枚、[緑龍の爪]2つ、[魔法銀のインゴット]1本が入っていた。
王都でも売っていないようなレア度の高い素材だ。
「勿論だ。本当なら家にも招待したいくらいだが、お嬢さんはそういった事は嫌であろう?」
「お気づかいありがとうございます。素材とても嬉しいです」
やはりこの老紳士は分別ができる貴族のようだな。
「はっはっは!喜んでもらえてよかった。ならばついでに商品も見させてもらえるかな?」
「どうぞ、ご覧になってください。新商品も入りましたのでご説明いたしますね」
沼で手に入れた素材で作った商品を紹介していく
「こちらは[薬水[アクピーチ味]となります。お味見いかがでしょうか?」
新味薬水をお猪口に入れて差し出す
「いただこう………むっ!何と甘酸っぱくて香り良い薬水か!10本買わせてもらおう!」
いきなり10本とは…流石は貴族老紳士様だな。
老紳士は小さな魔法鞄を腰に付けていたようで、薬水をその鞄に入れた。
「こちらはチョコバーの新味[ミルクダケチョコバー]となります」
ミルクダケをチョコバーに混ぜたらミルクチョコのようになったので作ってみた。
味見をどうぞ。
「どれ……これは!なめらかで優しい甘さ…宮廷のデザートでもこれ程の美味しい甘味は味わったことのない………10個いただこう」
ありがとうございます。
「ぬっ、そうだった。この後に用があったのだったな、もっと品を見たかったが失礼するよ。お嬢さん」
「はい、ありがとうございました。紳士様」
もっと見てもらいたかったな。
いい客になりそうだったのに…残念。
老紳士は颯爽と去っていった。
「何と言うか…色々とすごい方ですね」
「ほっほ、そうだのう。あの方が目を光らせとるから、悪徳貴族は大っぴらに悪さができんからのう」
なるほど、貴族の良心て感じの老紳士貴族なのか……でも深くは関わりたくはないな。
報酬として渡された革袋の中をあらためて見て思う……
「この素材がアレばかなりいい物が作れそうだけど、何作ろうかな……」




