暗雲と晴天
翌朝
朝の露店でダグさんと話をしていると
ダグさんは朝一番に騎士団や冒険者たちが王都の外に出発するのを見たようだ。
「なるほどのう…グル廃坑がダンジョン化しておったとはのう、話からすると活性化しておるようだのう」
この世界で活性化は、ラノベでよくあるスタンピードに似ているものらしい
ダンジョンが活性化しだすと、ダンジョン内に住んでいる魔物達に過剰に力を与えるという
力を与えられた魔物達は増殖し、増殖した魔物は外に出始める。
活性化が最大に達すると増えた魔物は一斉に外に出るらしい。
「ワシらにできる事は鎮静化成功を祈るだけよのう」
「そうですね」
魔物の討伐は冒険者と騎士団の仕事である。
露店商の俺が出る膜ではないと思う
よく読んだラノベでは、いの一番に乗り込んでいたりしたが
俺はそういうタイプではないのだ。
ここは冒険者にとっては名を挙げるチャンスであり、稼ぎ時なのだ。
チート持ちだからと何でもやっていいとは限らないと思っている。
しかし、火の粉が降り掛かってくるなら全力以上に払うけど。
「お嬢さん、久しぶりだね」
俺に声を掛けてきたのは
少し前に目を治す薬[龍眼薬]を渡した老紳士だった。
「あ、お久しぶりです。龍眼薬はどうでした?」
「ああ、お嬢さんのお陰で視界の靄がすっかり晴れたよ、ありがとう感謝するぞ」
なるほど、龍眼薬は自分の目を治す為に使ったのか…治ってよかった。
「それはよかったです!紳士様」
「紳士様とは、私の名は……いや、紳士様でよいか、面白い呼ばれ方だ。ハッハッハ!」
つい「紳士様」と呼んでしまったが気に入ってくれたようだ。
「報酬の方だがな、もう少し待っていてくれ。いま集めている所だからな」
「はぁ?わかりました」
集めてる?何をだ?
「ところでお嬢さん、冒険者や騎士団が騒がしいようだが何か知らないかね?」
「あ、それですか、実は……」
老紳士にグル廃坑の件を話すと…
「なるほど、ワシにまで話がこないと言う事は騎士団だけで片付ける気か……」
老紳士が歩き出す
「どちらに?紳士様」
「もちろん決まっておる。グル廃坑だ」
少し老紳士は振り返り
「貴族の力は民の為に振るう!ただそれだけだ」
老紳士は城門の方へ歩いていった。
やっぱり貴族だったのか……でもさっきの言葉からして悪い貴族ではなさそうだ。
「あの方が行けば、もう安心だのう……」
ぽつりとダグさんが呟く
「そうなんですか?」
「ああ、あの方なら暗雲も晴天に変えてくれるからのう」
そんな凄い老紳士だったのか………




