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久しぶりの露店[夜]

スタートダッシュはよかったものの、その後の客足はあまり無くいつも通りといった感じ。

もう日も落ちてきているので…

「さて、もう閉店にするかのう」

「ですね」

ダグさんも閉店準備をしているので、俺も朝の露店は終了である。

「ではなカエデさん、また明日」

「はい、また明日」

家路につくダグさんを見つつ俺は少し時間つぶしをする為にそこら辺をぶらぶら。

夜の露店は日が沈んでから開店だ。



日が沈み、夜の露店を開店である。

もちろん姿は男のモミジにチェンジ

「クロロもよろしくな」

「クルル」

クロロも側に座っている。

宿に戻るかと聞いたけど俺の側がいいらしい。

夜の露店は朝の露店の品揃えとは違う

薬類は無く、全部魔導具類である。

「客が来てくれたらいいけどな」

「クルル」


開店から少し経つが客はこない。

「まっ、こんなものだよな」

「クル」

噴水辺りの露店は繁盛しているようだ。

中央広場は噴水辺りが露店商の主戦場、俺のいる外側は辺境なので客はこない

こうして眺めているのも嫌いではないので気長に待つことにする。

「なんでお兄ちゃんはあそこで決められないのよ」

「悪かったって言ってるだろ」

冒険者らしき2人が何か言い合いながら目の前を歩いている。

会話からして兄妹冒険者かな?

「あっ!あそこ見てみようよ」

「おい!怪しいって!」

兄妹冒険者がこちらに来る。

でも怪しいって…それもそうか、黒いローブにフードを目深にかぶった人物なんて怪しいとしか思わないか

まさか、通行人にはそう見られて客足にも影響しているのかな?

「見せてもらってもいいですか?」

「どうぞ」

妹冒険者は物怖じしない性格のようだ。茶髪の小さめツインテールで可愛い感じのそばかす女性。

「まったく…見せてもらうぞ」

兄冒険者は慎重な性格のようだな、まだ俺を警戒している。茶髪で癖っ毛、背は高く、そばかすが似合う素朴な男性。

「わ〜、全部魔導具ですか?」

「ええ、そうですよ」

妹冒険者は一つ一つ手に取り見ている。

「? 店主これは魔導具ではなく鉄の剣だろ?」

兄冒険者は鉄の剣が気になったようだ。

さて、どういった反応してくれるかな?

「いいえ、それは魔剣ですよ。[鉄の無属性魔剣]なんですよ」

「「えっ!?魔剣!」」

兄妹冒険者そろって驚いた。

「あ、ありえないって!鉄の剣の魔剣なんて!」

「そうだ!しかも無属性なんて見たことも聞いたこともないぞ!」

言っても信じてはくれないようだ。

なら…

「百聞は一見にしかずともいいますし、試してみますか?」

立ち上がりリュックから出すフリでスキルのアイテムボックスから丸太を取り出し、立てた状態で置く。

「わっ、あのリュックってアイテムリュックなんだ」

「試していいのか?」

兄冒険者が試すようだ。

「どうぞ…あっ、魔剣の使い方は?」

「知っている。魔力を通せば発動するんだろ」

兄冒険者は鞘から鉄魔剣を抜く

「……見た目はただの鉄の剣だ。魔力を通すぞ………こ、これは!」

魔力を通すと鉄魔剣の剣身に緑色の光が纏う

「マジで魔剣じゃん」

「……斬ってみるぞ」

兄冒険者は構えをとると丸太に袈裟斬りをする。


ゴトンッ


と斜めに斬られた丸太が地面に落ちた。

「……………なんて斬れ味だ」

「鉄の剣で丸太斬っちゃった」

兄妹冒険者は唖然としている。

「属性魔剣のように火を飛ばしたり、雷を放つ事はできません、無属性魔剣は単純に[斬れ味が増す][強度が増す]の2つの効果があるんです」

兄冒険者は鉄魔剣を見て何か考えている。

「な、なら!その斧も魔剣なの!?」

妹冒険者が興奮気味に迫ってきた。

「ええ、[鉄の無属性斧]ですよ。試してみます?」

「試したい!」

妹冒険者に手渡す。

早速と妹冒険者は鉄魔斧を肩に担ぐような構えを取る。

小柄なのに力強い構えだな。

「えいや!」

妹冒険者も袈裟斬りをする。


ゴトンッ


兄冒険者の時と同様に斜めに斬られた丸太が落ちる。

「 わぁ!すっごい斬れ味!」

妹冒険者は大興奮である。

「店主、疑ってすまなかった。これは確かに魔剣だ、だが低級の部類なのだろう?魔石の交換にどれくらいの費用がかかるんだ?」

兄冒険者は欲しいけどランニングコストが気になっているのかな。

ならばアピールだ。

「確かに低級魔剣ですが必要ありませんよ。それには魔力吸収が付いていますから」

兄妹冒険者は目を丸くし

「ま、魔力吸収がついてるの!?それは中級魔剣からだよね!」

「そうだぞ、俺達を騙す気なのか!?」

疑ってきたな

「騙す気なんてありませんよ。それにわかりませんか?すでに魔力吸収が始まってますよ」

鉄魔剣と鉄魔斧が淡く光っている。

「……………本当だ」

「でもなんで?…低級魔剣なのに……」

兄妹冒険者は理由がわからなそうだ。

「私がそう作りましたから」

「ええっ!?アナタ露店商じゃないの!?」

「ま、魔導具師なのか!しかもかなり凄腕の!」

魔導具師ではないけどね。

「……………でも、お高いですよね?」

妹冒険者がどこかの通販番組の前フリのようなセリフを言ってきた。

「なんと今なら一本金貨15枚!」

「高い!」

「でも魔剣なら安いな!」

「お安い!」の一言はでなかった……通販番組の様にはいかないか

しかし、兄妹冒険は少し遠ざかり兄妹会議をしているようだ。

「ここで使わないでどうするのよ!」

「いや…しかしだな…」

「お兄ちゃんも欲しいんだよね!」

妹冒険者が優勢だ。これなら…

「魔導具師のお兄さん買います!へそくり使います!」

「か、買わせてもらう…確かにここで買わねば後悔しそうだ」

毎度あり。

妹冒険者さんが服に手を入れて革袋を取り出し渡してきた……まだ温かい。

革袋の中には銀貨と金貨が入っている

数えると金貨30枚ピッタリだった。

「確かにいただきました。もし、魔剣が折れたり、調子が悪くなったらいつでも来てください、私は夜にこの場所で露店してますので、お安く直しますよ」

それくらいのアフターサービスは付けよう

「わかったわ!」

「わかった、助かる」

あと宣伝もしておくか…

「こちらサービスの薬水です。妹が作っている物でして、この場所で朝に露店をしていますので、よろしくお願いします」

違う味の薬水を一本づつ3本入った革袋をあげる。

「ありがとう!」

「妹がいるのか…お互いに苦労するな」

妹冒険者からは感謝を

兄冒険者からは同情を頂いた。

兄妹冒険者は上機嫌で去っていった。

魔剣が売れてよかった…自分で考えて作った物が売れると嬉しいよな。


           ×


あれから客はこない

「………そろそろ閉店にするかクロロ」

「クルル」

店じまいの準備をしようとしていると…

「おおっ、モミジ!まだ露店してたか!」

警備隊第4隊長のグレイさんが少し駆け足でこちらに来た。

「いらっしゃいませ、グレイさん。疲れた顔してますね」

「ああ、まあな。お前も妹から聞いてるだろ」

グル廃坑の件かな。

「雲行きが怪しいですか?」

「怪しいどころじゃないな。明後日、冒険者たちと騎士団でダンジョンを鎮静化させる。明日から移動だ」

明後日とは…そこまでの状況なのか

「鎮静化とは?」

「ダンジョンコアに鎮静化の封印術を施してな、魔物の住みやすい環境を作りにくくさせるんだ。壊したりすると自爆する可能性があるからな」

なるほど、この世界のダンジョンコアは自爆するのか

「ダンジョンに入るのは冒険者達が中心、騎士団は溢れ出てくる魔物退治だ」

「なるほど」

大量の魔物を相手するわけか…

「なら、コレならどうでしょうか?使い捨ての魔導具になりますが」

俺は野球ボールサイズのガラス玉を出す

「使い捨ての魔導具だって?どう使うんだ?」

「コレはですね…」

使い方を説明すると

「それはいいな、全部くれ!」

「全部って1つ金貨2枚ですよ。10個ありますから全部で金貨20枚になりますが…」

「問題ない経費で出るからな!」

経費…なんて心強い言葉。

「無事を祈ってます」

「おう!まかせとけ!」

グレイさんは笑いながら去っていく…

「本当に無事でいてくださいよ…奥さんが泣きますから」

あんなにグレイさんの為に頑張っているんですからね。









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