宿と新商品開発
「お姉ちゃーーん!お帰りなさい!」
宿の店先でベルちゃんの体当りのおかえりなさいを受けた。
「ベルちゃん、ただいま」
「えへへ…」
ベルちゃんの頭を撫でる。
こうして撫でるのも久しぶりな気がするな。
「あっ!そうりゅうさんだ!」
ベルちゃんは後にいたクロロに気がつき駆け寄っていく
「カエデさん、戻ってきたんですね。無事でよかったわ」
「はい、無事に採取してきましたよ。ベロアさん」
宿からベルちゃんの母親で宿屋の店主のベロアさんが出てきた。
「宿に泊っている人からカエデさんが帰って来てるって聞いてね、ベルったら店先でまってたんです」
「そうなんですか、嬉しいです」
ベルちゃんはいい子だ。
できるならそのまま育ってほしいな。
「あの走竜はカエデさんのですか?」
「え、ええ、懐かれてしまいまして買うことにしました」
ベルちゃんがぺたぺた触っているがクロロは特に気にしていないようだ。
むしろ触らせてあげている感じである。
「走竜に懐かれるなんて凄いですね。走竜はめったにそこまで人に懐かないのに」
「はは…」
そんなに珍しいことなのか…
そうだ、聞いてみないと
「走竜を休められる場所ありますか?」
「ええ、ありますよ。宿の裏側に1つだけ、追加で銀貨1枚になりますがいいですか?」
「お願いします」
とりあえずは金貨2枚渡す
「 あと10日は泊まりますのでよろしくお願いします」
「ふふ…ありがとうございます」
クロロを宿屋の裏側に移動させる。
ベルちゃんはもう少し触りたかったようだが、ベロアさんに連行されていった。
宿の裏側には狭いが藁が厚めに敷き詰められた騎獣場があった。
「どう?寝心地いい?」
「クル〜」
藁に寝転がるクロロは満足そうだ。
「ご飯はこれなんてどう?シャゲナ」
アイテムボックスから、川で獲得した鮭っぽい魚を出す。
後で調べてみたら[シャゲナ]という名前だとわかった。骨が薬の材料になるようだ。
「オスとメス両方召し上がれ」
「クルル!」
大きめの平皿にオス・メス2匹のシャゲナを置く
それにクロロも喜んでいる。
「じゃ、クロロ。また明日」
「クルル〜」
宿に入り軽く食事を食べて、いつもの部屋に入る。
「さて、新商品開発といきますか」
今の露店の商品は液体ばかりなので、固形の携帯食を作ろうと思う
そこで目をつけた採取品は
[カカナの種]苦味のある種、香りよし、わずかに筋力を上昇させる効果あり。
[アマの実]甘い樹の実。とにかく甘い、香りよし、わずかに集中力を上げる。
「苦味と甘みの組み合わせといえばアレしかない」
そうチョコである。
さらに食感に
[カリの種]カリの木の種、食べるとわずかに身体の働きを助ける。
アーモンド代わりにこれを加える。
早速、調合開始。
[カカナの種]と[アマの実]をスキルを使い滑らかになるまで混ぜ合わせる。
そこに砕いた[モンドの実]を投入。
更に混ぜたあとに整形、固形して…
「チョコバーの完成!」
どこをどう見てもチョコバーである。
「味見……… ! チョコだ…チョコバーだ」
スキル恐るべしだ。
「これに加えて」
[フユ鉱石]熱を通しにくい性質がある。
[ビーノ鉱石]加工しやすい、耐久性は低い。
この2つを融合、加工すれば…
「よし、[耐熱箔]の出来上がり」
[耐熱箔]の見た目はただのアルミ箔
熱を通しにくいコレでチョコバーを包めば溶ける心配が低くなる。
「新しい商品の完成だ」
問題は[フユ鉱石]の数があまりないので大量生産ができない所かな。
「 次はリンスだな」
リンスの材料は前々からあったのだが忘れていた。
水にクエン酸、精油があれば作れる。
ここはスキルがおすすめする組み合わせで作ってみる。
「金色のリンスができた…」
ガラス瓶に入ったリンスは金色に輝いていた。
スキルがいい仕事をしたようだ。
他にも色々と作る。
ヘルル廃坑で採取した[ミルクダケ]で薬水を作ったり
平原で採取した[ピリリ草]と[ビリッホッパー]を使い、なかなか良い物も作る。
「消耗品はこのくらいにして次だ」
グル廃坑が怪しい感じなので武器を作ろうかと思う。
俺の武器ではなくランクの低い冒険者の為の武器。
「魔剣は属性魔石を使った時点でもう手を出せない値段になるよな」
属性魔石は高い…なら属性を付けなければ
「無属性の魔剣を作ればいいのか」
材料は一番安い[魔石[極小]で、武器は中古で買った武器を使えば…
「でも[魔石[極小]だと持続時間が足りないか」
低級の魔剣は魔力切れして、その度に魔石を交換しないといけないらしい
中級から魔剣は周囲から魔力を吸収する性質が付くようだ。
「 あ…なら、低級にもその機能を付ければいいのか」
スキルを検索して可能なのか調べてみると………可能なようだ。
値段は少し高めにしないといけないけれど、コストを考えたらそっちの方がいいだろう
「作ってみるか…」
アイテムボックスから中古の鉄の剣を取り出す
その剣を加工し直して新品の鉄の剣にする。
[魔石[極小]も取り出し、スキルで加工
「正十二面体…これが魔力吸収を発動させる条件なのか」
スキルが無ければ、こんな小さい魔石を加工するなんて無理だ。
魔力吸収が付いた魔剣の高い理由がわかった気がした。
加工した魔石を鉄の剣の鍔に入れ込む。
剣の柄から剣先まで魔力回路を入れ込むと…
「無属性魔剣の完成…案外あっけなくできた」
スキルがあったからだろうけれど
「値段…どうするかな」
原価は銀貨6枚くらい…
あの高級店で売っていた宝石がたくさん付いた魔剣は金貨300枚だった気がする。
なら中級は金貨150枚くらいになるのか?
低級は更にその半分で金貨75枚になるか……低級の冒険者じゃ買えないよな。
「ん~~…金貨15枚!そうしよう!」
安すぎる気はする…でも低級冒険者には高い
「………売れるかな?」
そう思いつつも、槍と斧の[無属性魔槍]と[無属性魔斧]を作った。
魔剣は明日の夜の露店で売り出そう。




