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光の中で

久々に1日2話を投稿しました!今から読んでくれてうれしいです!これからも宜しくお願い致します!

 レインは右足に激痛を感じながら瞬間移動をした。 ジュリアを抱き抱えながらレインの自宅へと戻っていた。


 『確かにアイツは強かった。奴が現れなかったら長い戦いになっていた』とレインは考えながらソファーに座った。




 ―今から30分前―




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 「おい、レイン。妹の命を頂くぜ」とファルグカスは大声で叫ぶと、野生のチーターが茂みから獲物に狙いを定め、背中を丸めて飛び出すような感じでジュリアを目掛けて走り出した。


 ファルグカスは3年ぶりに会っても相変わらず瞬間移動が苦手なようだった。


 かなり未熟な魔法技術ゆえに、場違いな場所へ移動することが多くて、確率的には4割にも満たない成功率だった。


 ファルグカスは乾いて血走った目をしながら、ジュリアに向かって猛烈な勢いで突進していく。


 ジュリアは痛みがある腰を引いたままの状態で、体をドーム状のバリアを張ってから身を守ると、宙に漂う兄のレインにウインクをして合図を送った。


 レインは瞬間移動をしてジュリアの前に立ちはだかると、さらに大きなドーム状のバリアを張り、レインとジュリアは2重のバリアに包まれた中で、迫り来るファルグカスの突進を防御体制で迎え撃つ事にした。


 ファルグカスはレインの手前10メートル程の距離から、両手で誘導砲の魔法を作り出して、突進のパワーと合わせ、全力でレイン達に向けて投げた。


 誘導砲の魔法は強い。中級者レベルの攻撃力がある魔法だった。


 バリアを破るには十分な力が秘められていた。


 誘導砲には狙った標的に対して認識する力がある。 つまりジュリアの顔が誘導砲にインプットされた状態で放たれる事になる。


 二重バリアからレインだけが飛び出してきた。


 「お兄ちゃん!」とジュリアは声を挙げて、レインに、すぐにバリアの中に戻るように訴えた。


 「心配するな。任せろ」と レインは声を荒げて返事をした。

 おそらく勝算があるのだろう。レインの作戦は予想がつかない。


 レインの戦術を理解するには彼の性格を受け入れなければならない。


 レインはファルグカスに「ルカミト」という変術の魔法を掛けた。

 ファルグカスはジュリアそのものの姿に変幻していた。ファルグカス本人は変幻したことに全く気付いていない。


 レインは畳み掛けるようにファルグカスに向かって「フォム」を唱えた。


 魔法「フォム」は追尾波動砲で、精度の高い命中率で相手に被弾する魔法だ。

 ファルグカスの誘導砲が勢いだとすると「フォム」は華麗という言葉が相応しい例えになる。


 レインはファルグカスが放った誘導砲にも魔法を掛けていた。


 コントロール・トラブルに陥った誘導砲は飛ぶ勢いを失い始めた。


 目標の対象を失った誘導砲は、ジュリアに変化したファルグカスに気付き、ファルグガスに標準を定めて向きを変えた。


 意思を持ったような誘導砲はユータンをして、ファルグカスに迫りゆく。


 戸惑うファルグカスは走るのを一旦止めて、後ろに飛んで逃げ出した。


 ファルグカスは自ら放った誘導砲とレインが掛けた魔法「フォム」に追い掛けられていた。


 ファルグカスは汗だくになって焦っていた。


 宙を飛んだり、地面に着地してから、円を描くように高速で逃げ惑いながら、「フォム」と誘導砲との追いかけっこをしていた。


 レインはジュリアを立たせてから、ジュリアが座る椅子を手に持ち、倉庫の真ん中に移動させた。


 椅子の回りをファルグカスは走り回っていた。


 レインはジュリアから縄と目隠しを受けとると、魔法でファルグカスに付けて椅子に無理やり座らせた。

 目隠しと縛られた状態のファルグカスは逃げようともがいていたが、フォムと誘導砲を一気に全身に浴びて気絶してしまった。

 なんともあっけない幕切れだった。


 ファルグカスは、顔はジュリアそのものだが、体型と骨格は明らかに違っていた。


 デカイ体型にジュリアの顔のお面が付いているといった感じだ。


 レインはジュリアに近づくと優しく頭を撫でて抱きしめた。


 「もう心配はいらない。明後日の手術の事だけを考えるようにしなさい」とレインはジュリアの耳元で安心させるように言った。


 「お兄ちゃん、助けてくれてありがとう」とジュリアは甘えた声を出して言った。


 慌ててレインは自分の背後にジュリアを隠すと振り向いた。


 「なかなかの美しい光景だったね」肩まで掛かる金髪と、赤い瞳、黒いコートを着た男が、気を失っているファルグカスの横に立ってレインに言った。


 「盗み見はいけないな。プライバシーの侵害だよ。あんたは誰だ?」とレインはコートの男に投げやりに言った。


 「悪いが、お前たちの命を頂きに来た」と男はファルグカスの心臓に手をやると、ファルグカスは体を震わせて力なく地面に倒れてしまった。

 男はファルグカスの背中に両手をかざすと、ファルグカスは消えてしまった。


 「奴に何をした?」とレインは男の様子を見ながら言った。


「ファルグカスは死んだ。君にとっても都合が良いだろう?邪魔だから外に出したよ」と男は外に指を差して言った。


 「お前は殺し屋だな」


 「どうかな? そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない」


 「悪いが俺を倒す事は出来ないよ」とレインは肩を竦めて目を閉じた。


 「俺は腕には自信があるんだ」と男は拳をレインに向けて言った。


 「まったく呆れる。皆、同じ事しか言えないみたいだな。もっと言葉を駆使して何か胸に響くように言えないものかね」


 「死に逝く者に、気の聞いたことを言ってどうするんだ?」


 「少なくとも気休めにはなるだろうね」


 「安らぎは死を受け入れた時に味わえよ」


 「ちゃんと人の話を聞いていたのか?安らぎはいらない。気休めが欲しいと言ったんだよ。貴様に必要なのは礼儀と己を省みる事だな」とレインは男に無感情で話した。


 「侮辱するのか?」と男は眉をつり上げて言った。


 「既に貴様は自分で自分を侮辱しているよ。後悔は俺と会ったことで生まれるはずだ。ところで、俺と口喧嘩をしに来たのか?」とレインはウンザリしながら言った。


 「お前みたいな奴は目障りなんだ」と男は言ってからゲラゲラと笑い出した。


 「誰に雇われた?」


 「それを言ってどうするんだ?」


 「雇った奴を静かにさせてやるのさ」


 「なるほど」


 「と言うことは、雇い主が居るんだな?」


 「……」


 「話は尽きたようだな。お手並み拝見といくか」とレインは言った後に、ジュリアに向かって「腰の具合が持つなら、今すぐ、お兄ちゃんの家に行け」と囁いた。


 「そうしたいけど、助太刀したい」とジュリアはあくまでも、サポートをする立場を理解して欲しくてレインに言った。


 「ジュリアも魔法で応戦してくれたら助かるけど練習不足は否めない。できる範囲で良いからね」とレインは優しくジュリアに言って笑いかけた。


 「うん」とジュリアも微笑んで頷いた。


 男は空中に浮かび、笑いながらレインに向かっていった。


 レインも宙に浮かび上がり、男に向かって高速で飛んでいった。


 男は魔法で右手にレーザー剣を出すとレインに斬り掛かってきた。


 レインも魔法でレーザー剣を出すと応戦した。


 レーザー剣は確かな腕と剣術の技法がないと成り立たない部類の武器だ。


 魔法界ではレーザー剣術の大会が行われるほど人気があって浸透していた。


 最近では実力のある者だけしか滅多にレーザー剣による戦いは行われていないのが実状で、古くは決闘による戦いで多く使用されていたと文献に残っていた。

 魔法が進化する度にレーザー剣による戦いは次第に廃れていった。

 レインと謎の男の戦いある意味貴重と言っても過言ではなかった。


 レインと謎の男は激しいレーザー剣の応酬を繰り返していた。


 お互いに一歩も引かない剣術の戦いぶりを見ていたジュリアでさえも、固唾を飲んで見守っていた。


 お互いに魔法を使わずして、レーザー剣による野性味溢れた戦いは見応えがあった。


 レインが男の左頬を切りつけた。鮮血が迸る。男は慌てて頬を手で押さえたところをレインは男の右肩から胸に掛けて切りつけた。

 傷は致命傷とまではいかないが、男の顔に流れている冷や汗を見れば、それなりの手応えは確かに有ったと見えた。


 レインは眉間にシワを寄せていたが、悲しい瞳をして男の目を殴り付けた。


 男は後ろによろめいた後に、空中で回転しながら屈むと、レインの右足にレーザー剣を切りつけた。


 レインの顔が苦痛で歪んだが、弱味を見せるわけにはいかず、すぐに元の表情に戻した。 レインの右足から血が流れ落ちていた。


 「お兄ちゃん!!」と思わずジュリアは声を出した。


 「大丈夫。かすり傷だ」とレインは余裕で言ったが実際はかなり深い傷を追っていた。


「これはどうだい?」とレインは言った後に、レーザー剣を消して、拳による素早い連打を男に浴びせた。


 男はダウン寸前だった。レインは左目だけを狙って連続でパンチを出し続けていたので、男の左瞼は、みるみるうちに晴れ上がっていった。



 レインの正確で確かなパンチにより、勝ったと思われた時、男はレインにしがみついてきた。


 「離せ!!」とレインは振りほどこうとした。


 「みちずれにしてやる」と男は悲痛な笑顔を浮かべてレインに強く密着していく。


 「お兄ちゃん!!」とジュリアは椅子を浮かばせて男にぶつけた。男は椅子を蹴り飛ばすと、さすがに顔色が変わったジュリアは、宙に浮かび体当たりをしようとした。



 倉庫に真っ白な光が溢れたのでレインとジュリアは目を閉じて顔を背けた。



 倉庫の右側の天井から閃光が広がってきた。

 光の中から、1人、また誰かか現れた。


 「誰だ?」とレインは手で瞼を覆いながら言った。

 「お前、ジャンか!?」と謎の男はレインから離れて光の男に向かって叫んだ。


 「そうだ。レイン、ジュリア、挨拶をしたいところだが、申し訳ないが、気をつけろ!」とジャン・ジェイラヴはレインに怒鳴るように言うと、大きな波動砲を作り倉庫の真ん中の床に向かって勢いよく投げ落とした。


 ヤバイと感じたレインはジュリアの傍に移動して、抱きしめてから瞬間移動をして消えた。


 レインと戦っていた謎の男はジャン・ジェイラヴを睨み付けていたが間一髪、その場から姿を消した。

その間の時間は僅か3秒のことだった。


 ジャン・ジェイラヴが投げ放った波動砲が床にぶつかると、大きな衝撃と爆発をして屋根が吹き飛び、倉庫全体が火の海へと化していった。



 ジャンは爆発の寸前に消え去り行方を眩ませた。





つづく


ありがとうございました♪どうなるのか、作者もハラハラドキドキです。

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