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駆ける、駆ける、駆ける。
天狐の名にふさわしく、天を駆ける。
「飛ぶって言ってなかったか?」
「荷物は黙ってて!」
今の状況、僕の首にイツキが必死につかまって宙ぶらりん状態。したはマグマの河、煮えたぎっております。そして僕はマグマの流れていない崖に向かってスキル―天駆―を使用中。
天駆は天狐特有のスキルです。天狼族はまた別の名前のスキルみたいだから天狐特有であってる……はず。
ていうかこれ獲得してなかったら死んでたよね、天駆って大狐にならなきゃ獲得できないんだよ?
スキルは魔力使わないから魔力切れしてても何とかなった。てもこれ熟練度が必要でさ。
「あ゛っ」
「あ?っ!?」
油断すると失敗するんだよ。
「おちるぅぅぅぅぁ!?」
「うっさい!」
すぐにまたスキル発動、足場作成、あらよっと。
天駆について説明するとまああれだ、空中というか足元になんか足場のような歪みができてその上を登る?みたいな感覚。もともとはお勤めをする場所で自由に動き回るためのものなんだよね。で、失敗すると足場を踏み抜いて落ちるわけだよ。イメージするなら体重ぎりぎりの強度の氷の上を歩いてます?ガラスとかいうやつでもいいよ。熟練度が上がるとこの足場が強化されたり広く長くなったりするわけだね。
「ぃよぉぉいっしょっと」
「到着到着。お疲れさん」
最後の足場からようやく岩場に到着。イツキまじ重い!
しかし通ってきた道は全てマグマにのまれてしまっている。続く先では黒い煙が上がっているから森にまで達して火事になっているのかもしれない……ん?森?
「ねえイツキ?緑龍様の現在地って……『あっつぅぅぅい!?』あっ」
「あそこ……だな」
黒い煙の上がる森の方向から緑龍様の叫び声がここまで聞こえてきた。どんだけ熱かったのかな?というか熱いですんでしまう緑龍様まじ緑龍様。
黒い煙が上がっていた辺りから膨大な量の植物が上空に伸び龍を形成しだす。あ、尻尾焦げてる。
そのまま一度あたりを見回し、首を振った。まだ衝撃が抜けていないようだ。
「こっちからアリーは見えるが向こうから俺たちは見えてないみたいだな」
「呼びかけられない?」
「さっきからやってんだけどな、どうも繋がりにくい」
意思の回路というと幻想世界が関係してる?……黒龍様も動揺しているだろうからそれの影響かな?
そうなると緑龍様が正気づくか、僕らがあっちに行くかしなきゃダメかな。いつまでもここにいるのも危険だろうし。
「うーん」と悩んでいたがそろそろ余裕がなくなってきた。相変わらずマグマはあふれているし何より赤龍さまの熱がここまで広がっている。つまり山自体が溶け始めた。
「悩んでいる余裕ないか。イツキ、つかまって」
「なんかこっちに来てから常にカツカツだな」
相性悪いから仕方ないね。
イツキにとっては完全に弱点だし僕にとっては本来対極の属性だし。たまたま風の適性も強くて緩和されたから取りやすかったってだけだもんなぁ。
目的地までの距離と荷物の重さ、僕の熟練度を考慮してギリギリまで足場の強化をはかり一気に駆け上った。空間がゆがんでいるだけで本来足場なんてないのに駆け上るとダダダダッて音がして面白い。さっきはいろいろギリギリで余裕なかったもんね。
「イツキー、緑龍様に呼びかけしてるー?」
「ああ、ずっとしてるぞ?」
「じゃあそのまま続けてて、んで、受け止めてあげてねー?」
「は?はぁぁぁぁ!?」
緑龍様の近くまで来た時、イツキを下に落とし(叫んでいたのは無視する)て緑龍様の頭上に一気に飛び上がる。距離よぉし、狙いよぉし、ついでに魔力もちょっと回復!
「僕に狂うなって強要したんだから神竜様だって狂うなんて許さないよっ?」
属性を象徴する尻尾に魔力を集中させ、僕は緑龍様の頭に一気に振り下ろした。
ドゴォってすごい音がしたよ?緑龍様は気を失って落ちていく。したはマグマ、このままじゃ緑龍様が焼死しちゃう!?ってところでヒーロー登場。もちろんイツキのことね?
マグマの通っていない森から幾重にも重ねられた蔦が伸びてきて緑龍様を優しくキャッチ、そのまま安全なところに下ろすという早業、植物が存在する場所ならここまで万能とか、さすが契約者。




