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燃やされそうになったことを愚痴っていたらいきなり戦いましょうと言われた。意味がわからない。
『あら?話を聞いていなかったのですか?』
「むしろこの状況でなんで話を聞いていると思った?」
大切な食料候補たちを燃やされたイツキがややキレ気味に灰を指さしながら反論を開始する。
『仕方ありません、もう一度説明しましょう』
「話聞けよ!」
『ヒナタの戦い方がなっていないことはわかっていましたが精霊との関係すら最悪なのです。そこで同じく神竜の契約者であるあなた達にお手本を見せてもらいなさいということになりました』
赤龍様って結構まともな方だと思ってたけどやっぱり神竜様のうちの一体なんだなぁ……傍若無人すぎるよ。
「つまり僕らが赤龍様と戦うと?」
『理解が早くて助かりますね、あなたも属性を得たようですし試すのにも調度よいでしょう?』
「…………ふむ」
「う、ウルイ?まさか受け「お断りします」だよねー」
『理由は?』
「簡単です。さっきの攻撃で僕もイツキも魔力切れです。すっからかんです。戦えません」
『…………』
「ついでに言えばイツキは植物属性で火に弱いです。なのに媒体すら先ほど燃やされました。つまり武器すらありません。僕らは自殺行為はしない主義なんです」
『ならば回復を待ってからでも「大体そこのイセカイジンのためにリスクを追う義理が僕らには欠片もない」……』
「あ~、俺はちょっとは……やっぱないな」
余計なことは言わんでよろしい。君は趣味と実益を兼ねた研究作業に勤しんでいなさい。
そもそもここには僕の属性を増やしに来たのであってイセカイジンに会いに来たわけでも赤龍様に会いに来たわけでもない。あくまでも火のマナが豊富で訓練しやすいから来ただけだ。目的を果たした以上長居する理由はないし、それどころか器が成長したのだからさっさと次の属性を増やしに行きたい。今はまだ暖かいで済む季節だが暑くなってからだと砂漠はきついのだ。
『では協力する気はないということですね?』
「義理も義務もそれどころか好意の一欠片さえないよ」
「バッサリ言うなぁ」
「ちょ、ちょっと!こぉんな美少女が困っているのに放置するわけ!?」
『雌に優しくする義理はないですね』
「俺、守備範囲は成人以上だから」
「そもそも種族違うし。僕らの美意識でいうと君って……」
「そこでだまんないで!?」
いやだってねぇ?別種族とはいえ雌は雌、美人とか不細工とかにはうるさそうだし。
「別種族かぁ、お前らの基準ってどうなってんだ?」
「毛並み」
『属性』
「「」」
なぜそこで黙る?
「……毛並み……」
「先生!?なんで目をそらすの!?」
「いやだってお前……今髪プリンじゃん?染めてたからすげえ傷んでるし」
「反論できない!」
「んで……属性……」
『我らは魔力の根源、突き詰めたらマナの集まりでしかない存在。ひかれるのは同じ属性のマナの集まりというのは当然のことでしょう?』
「イツキが緑龍様に溺愛されちゃってるのも同じ理由だよね」
「つまり顔でも性格でもなく属性一択?」
『性別も重要ですよ?』
「そこは大前提だろ」
あれ、何の話をしていたんだっけ?好み?
話が大幅にずれているが僕にとっては好都合だからほっとこ。火属性の雌コンビは恋ばなに移動したので僕らはそのまま退場することにした。
ところがだ、いざ退場しようとした瞬間、僕ら全員に悲鳴が聞こえた。
『――――!』
体にかかるとてつもない負荷、仮契約のイツキはふらつくだけで済んだがヒノミヤは一瞬で昏倒した。僕は仮にも天狐、それも身体だけはさっき大狐になった。立っていることは出来ないが意識ははっきりしている。いや、今僕が意識を失えば全滅する。
『……黄龍?』
ぼそり、悲鳴が聞こえた後微動だにしなかった赤龍様が呟く。訝しげに、信じられないというように。
だがそれがあくまでも表面上だ。なぜなら契約者がその圧に耐え切れずに昏倒している。僕らが受けた衝撃は悲鳴を上げた黄龍様のものではなく、その悲鳴を聞いた契約相手の神竜様のものなのだから。
そう考えれば考えるだけ今この場にいることがどれほど恐ろしいことか。せめてイツキだけは何としてでも守らなきゃ。僕らはともかくイツキは死んじゃうんだから。
周りの気温がどんどん熱くなる、赤龍様を中心にコポッ、コポッと音を立てて地面がマグマに変わり始めた。赤龍様は呟いた後空を見上げたままやはり動かない。僕らのことなど見えていない。
とうとう昏倒していたヒノミヤがマグマに飲まれた。じゅうじゅう音を立てて沈んでいく。
「――――火宮!」
「彼女は大丈夫。…………いや音立ててるから服は大丈夫じゃないだろうけど。契約者である彼女自身は赤龍様の領域で傷つくことはないから」
「あ゛?火宮は大丈夫だが服は大丈夫じゃな……い?…………」
「彼女のことを思うなら僕らは手を出さないほうがいいと思う」
「…………あ~、そう、だな。うん男の俺達はまずいな」
ある意味マグマに飲まれてくれてよかったよ、完全に隠れるもん。
赤龍様のいる火口から離れ坂を登る、後ろからマグマが迫ってくるからいくらきつくても全力疾走を続けるしかない。
「なあこれって絶望的じゃねぇか?」
このままいけばどうなるのか、気づいたイツキが絶望の声を上げた。
そう、このまま登りきれば後は――。
「イツキ、僕につかまって!一か八か、飛ぶよ」




