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僕が休んでいる間、イセカイジンが赤龍様と修行を始めた。イツキは持ってきた種を使ってなにかゴソゴソしている。なにしてるんだろう?
「ん?品種改良だよ、品種改良。よく考えたら種から一気に成長収穫ができるわけだからな、イメージに近いもん同士の花で受粉させて繰り返せばいつか旨い米が出きっだろ」
「気の長い話だねぇ」
「気が短いから能力で一気にやってんだよ」
いやほんとうに気が短かったら諦めてると思う……。
イセカイジンのコメへのこだわりってわかんないや。それともイツキが特殊なのか?
「他にも欲しいもんはたくさんあるけどな。やっぱそれなりに調理された飯も食いてぇし。塩以外の調味料はだいたい植物が原料だから上手くいけば作れるだろ」
「ふ~ん?」
鼻歌歌いながら5~6種類くらいの植物を改良しているイツキから興味をなくし、イセカイジンと赤龍さまの訓練を観察してみる。
…………んー?
赤龍様が小規模の火球を数個作り出してイセカイジンは…………相殺の訓練?全く出来てないけど。
っていうか魔法の展開が遅い。契約者として魔力量はあるし属性も火一色だから相性だって抜群のはずなのに火の精霊が懐いてない?むしろそっぽを向いていて過剰な魔力で無理やり動かしてるみたいな?
『なんですその命令のような魔法展開は!精霊に嫌われたいのですか!』
「そんなこと言ったって!あたしは教えられたとおりに――」
うん、なんか揉め始めた。関わりたくないから見るのをやめよう。
隣のイツキも赤龍さまたちの言い合いが始まったと同時にあからさまに作業に集中し始めた。考えることは皆いっしょか。
僕のふわふわ毛並みで遊ぶ精霊を見ながら魔力残量を確かめる――うん、だいぶ回復してきた。
これなら小規模位の効果なら訓練できるだろう。マグマ付近の熱いやつはムリだろうからそのへんの小石を対象にしてサラマンダーに働きかける。
そうそう、それそれ。あ、君はそっちじゃなくてもうちょい右の……うん、それ。それ砕いて欲しいんだよね、火じゃないよ氷。どう?え?魔力不足?もう少し回復しなきゃダメ?うーん。
「何一人ブツブツ言ってんだ?あ、狐だから一匹か」
「精霊と交渉中ー。属性持てばもう少しスムーズなんだけどね。潜在能力の状態だからさぁ」
「何がどう違うのかわかんねぇ」
「んーと、簡単に言うと熟練度?仲の良さ的な?」
『属性持ち』はその場ですぐに魔法が使えて、『潜在能力』は使えるけど挨拶から始めましょう?どっちもない場合は交渉すら出来ませんって感じかな?まあ精霊の見えていないニンゲンにはあんまり関係ないかも?
「挨拶する相手が見えないんじゃぁねぇ?」
「まあそうだよな、挨拶は相手の目を見てしましょうってやつだな」
うんうんと頷きあってその話は終わる。
後は何が聞きたい?って言おうとしたところで問題が起きた。
「きゃぁぁっ!」
イセカイジンの悲鳴が聞こえたと思ったら目の前に炎が迫っていた。な、何を言っているかわからないかもしれないが「お前余裕だな!?」
余裕などあるわけがないのだよ!
とっさに障壁を展開するが防ぎきれない!?
「『盾』!っ、持たねぇ、ウルイ!」
「『障壁』……シルフ……ダメだ、『助けて!』」
イツキの作った盾、僕の張った障壁を全て燃やし尽くし、最後に苦し紛れではなった魔法も完全に壊されたところでようやく炎がやんだ。あとちょっとでも続いていたら僕らは丸焼けだっただろう。なんて恐ろしい!
「あっぶねぇってぎゃー!!?」
「どうしたの!?って……あーあー」
イツキが丹精込めて改良していた植物たちは見事に灰となっていた。真っ白に燃え尽きてたよ、うん。
「俺の半月の結晶が……がっくり」
「うんまだ余裕あるみたいだね」
「生きてるだけマシって状況だしな、だいたいアリーにちょっとは預けてあるし。それを増やせばなんとかなる……別れてからの改良分が燃え尽きただけさ……」
黄昏れてるなぁ。で?こうなった原因はっと?
『はぁ……ほんとうに情けないですね。まだ坊やたちの方がマシですよ』
「あたしはっ」
『あなたはこの世界の生き物ではない、そのことをもっとよく考えることです』
なんかまだ揉めてた。僕らって完全にとばっちり?
「俺らとばっちりで燃やされそうになったのか?」
「みたいだねぇ」
「ため息しか出ないな…………あれ?お前なんか大きくなってないか?っつーか尻尾が確実に増えてんな」
「え?」
…………ぇえ!?ほんとだ、増えてる!なんでだ!?あれか?あの苦し紛れか!?
器の問題があったから死にひんして無理やり広がった?でも何処にも不調はないし……
「まっいっか」
「いいのか?」
「成長しちゃったもんは仕方ないね、小さくはなれないんだし」
せいぜいバランスが崩れないよう調整するだけだ。
自分の姿を見ることは出来ないけど大体青年期?僕は今3歳だから……2年早いな。これが経験値による補正ってやつなのかな?なんか便利って言うより不便、急に成長しても違和感しかないよ。
『さあ戦いますよ!』
――はい?




