↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
地底に存在する世界    作者: 風鳥 紀乃
地底世界
18/23

学校へ向けて

 さて、お風呂だ。


「どうやってお湯、入れるのかな」


 とりあえずお風呂場へ。やはり、蛇口はない。シャワーや湯船はあるのに。あっ、けど、シャワーには、ホースの部分がなかった。どこから、お湯が流れてくるのか。よく見てみようとしたとたん。


「うわわぁぁー」


 いきなり出てきたお湯に服が濡れる。


「あーあ、びしょびしょ」


 シャワーに触ったとたん、赤い光が浮かびお湯が出てきた。

 これ、シャワーを持てば湯船にも、お湯を入れられるんじゃない?


「よし!」


 すぐ外にあるタオルで軽く足を拭いて、洋服を取りに行く。靴はもう履かなくてもいいや。部屋のなかきれいだし。

 洋服と下着をつかむと、お風呂場へ戻った。



「ふぅー」


 お風呂に入れてよかった。

 ココアを飲んで一服する。

 温かいお湯は疲れた体を癒してくれ、温めてくれた。さすが、マーメイド寮のお風呂だ。入っていると塩の香りが漂い、海にいる気分になれた。

 ただ、お湯を入れるのに、ずっとシャワーを持っていなくてはならないことは大変だったが。


「あー。美味しい」


 ココアは注文するとすぐに、転移されてきた。

 お風呂上がりだから、冷たいやつだ。濃さもサジェス好みでとても美味しい。

 あっという間にそこが見え、コップからなくなった。


「ごちそうさまでした」


 コップを下げベッドに座り、読書タイム。やっぱり、本を読むと落ち着く。

 カワンが持って来た本の読み返し。もう一度読めば、もっとこの世界を知れるかも知れない。一度じゃ分からないところもいくつかあった。

 学校へ行けば図書室があるだろう。本が、この世界のいろんな本が読める。楽しみだ。


「ふぁーあ」


 眠くなってきた。髪ももう乾いてきたし、もう寝ようかな。


「あっ、目覚ましセットしなきゃ」


 確か時計は机の上にあったはず。


「あったあった」


 机の上にしっかり載っていた。森のモチーフのそれは、サジェスの冒険の証だ。明日は学校にこれを着けていこう。


「__ん?」


 青の紙が見える。 


「あっ!!」


 寮の説明書、読むの忘れてた! 今から読むか。いや、寝よう。明日の朝に読めばいいだろう。


「目覚ましは、確かこうして、こうで……」


 裏のボタンを押すと十二のところに針が集まる。そこからネジを回してならしたい時刻にセットするのだ。


「これでいいよね?」


 裏のボタンを放すと、時計は現在の時刻を示した。


「多分、これで大丈夫なはず」


 サジェスは時計をベッドの近くにある椅子の上におく。これで、朝に鳴ったらすぐ音を止められる。


「じゃあ、寝よう」


 電気を消して、目を瞑った。





 トゥルッ、トゥー。トゥルッ、トゥー。



 ん? 鳥の鳴き声?



 サジェスが目を開けると、朝日が窓から注いでいた。


「ふぁー。もう朝か」


 トゥルッ、トゥー。


「ん? 鳥どこ?」


 鳥の鳴き声がするのに、鳥が見えない。

 鳴き声は、椅子の上からする。

 時計だ。鳥の鳴き声は、時計から聞こえてくる。目覚まし時計の音が、鳥の鳴き声だったのだ。


「あ……」


 後ろのボタンを押して、音を止める。

 今日は、学校だ。授業だ!

 時計を手首に押し付けるようにして、身につける。ずっとリュックに入っていたから、着けるのは久しぶりだ。手首に吹き付ける風が気持ちいい。

 立ち上がり、まずは朝ごはん。やっぱり、白ご飯に卵をかけて食べたい。あと、お味噌汁。


「メニューにあるかな」


 こんなに分厚い本である。卵かけご飯とお味噌汁ぐらい、載っていそうだ。


「な、ない」


 そうだ、和食は載ってなかったんだ。白いご飯は載っている。ステーキなどと一緒に食べれるように。けどお味噌汁と醤油は無さそうだ。


「そうだ! 塩とゴマならあるんじゃない? 洋食でも使う調味料だし。そしたら、ごま塩ご飯ができるよ」


 ごま塩ご飯なら、和食と言っても過言じゃない。和食だ。

 メニューを捲(めく)っていると、調味料という欄が出てきた。


「あっ、塩もゴマも書いてある」


 書いてあるなら、朝ごはんは決定だ。あとは飲み物も欲しい。おっ、野菜ジュースがある。これでいっか。


「えっと、ボタンを押して……」


 これで欲しいものを言えばいいんだよね。


「白ご飯、塩とゴマ、あと野菜ジュースを一つ」


 チャリーン。


 音がなって、ランプがついたのもつかの間。すぐに台が青く光、ご飯とジュースが現れた。


「え、もう……」


 いくら簡単だと言っても早かった。

 塩とゴマは、小さい小皿に盛ってあった。自分で混ぜてご飯にかければいいらしい。ゴマの方の小皿に塩を少し入れ、混ぜる。


「これでいいかな」


 できたごま塩を一摘まみ。パラパラとご飯にかけた。


「うん。美味しい」


 懐かしの味。無性にティエラに帰りたくなる。しかし帰れないものは仕方がない。今はこれで我慢しよう。

 朝食が終わりしばらくすると、アンヌとの待ち合わせの時間になった。


「学校でしょ。持ち物ってなんだろう? リュックは持ってくけど、中に何を入れよう?」


 筆記用具はいる。ノートも一応入れていけばいいだろうか?


 トン、トン


「サジェス。行くのじゃ。支度はどうじゃ?」


 アンヌが迎えに来てしまった。ああ、昨日の夜のうちに支度しておけばよかった。


「ま、まってて。今行く!」


 とりあえず、筆記用具とノートだけでいいか。

 机にあるのをパッとリュックに入れる。


「あっ」


 青い紙がめくれる。寮の説明書だ。読むのすっかり忘れていた。まあ、けど、大丈夫だろう。アンヌもいるし、分からないことがあったら、聞けばいい。


「サジェス?」

「う、うん」


 アンヌの声に、急いでドアを開けた。


「遅いのじゃ」

「ご、ごめんなさい」


 ドアを開けると、アンヌが仁王立ちでたっていた。

 アンヌは遅いって言うけど、ティエラの時よりは早い気がする。家じゃなくて部屋だから、走るほど広くないし……。


「じゃあ、行くのじゃ」

「うん」


 人はあまりいない。もう、学校に行ったのだろうか?


「イエーイ! サジェス、アンヌ、おはよー!」


 下に着いたとたんに聞こえたのは、ハイテンションの声。ミュリアだ。朝からよく、そんなテンションでいられると思う。


「おはようございます。寮母さん」

「お、おはようございます」

「うん! おはよー! サジェス、今日から授業だね! はい! これ、教科書だよ! 」


 ドンと腕に重さがかかる。カウンターの裏に置いてあったみたいだ。それにしても細くて小さな体のミュリアがよく、この重い教科書を持ち上げたと思う。それも軽々と。


「あ、ありがとうございます」


 やっぱり、寮母さんだと思うと緊張してしまう。


「授業の時間割なんだけど、クラスごとに受けるの。私が説明するつもりだったんだけど……アンヌ! サジェスに色々教えてあげてね!」 

「な、なんでわしが!」


 そんなに拒絶することはないと思う。少し傷ついた。もしかして、嫌われてしまったか。


「だって、教えてあげれるでしょ? 同じクラスだし!」

「それは、そうじゃが……」


 アンヌの顔が下がる。


「それに、もう友達になったんでしょ!? 私が説明するより聞きやすいと思うし。よろしくね! アンヌ!」


 アンヌの顔が、真っ赤になっていく。そして、目は世話しなく動き出す。


「ともだち……」


 アンヌの顔がサジェスの方を向いて、パチリと目が合う。


「……あぁ! わかったのじゃ! 教えるのじゃ!」


 どうやら、アンヌに嫌われたのではなく、ただ単に照れていただけらしい。


「ありがとーアンヌ! サジェスも話、しっかり聞くんですよ!」

「は、はい」


 こうやって話す所を見ると、寮母さんだと実感させられる。見た目と違い、しっかりしているようだ。


「サジェス、学校楽しんでね! アンヌもしっかり学んでくるんだよ!」

「はい」


 アンヌは、ミュリアをうっとおしそうに見ると、ドアへ歩き始める。


「行くのじゃ。サジェス」

「うん」


 動くと、教科書の重たさが染みる。リュックには入らないから手持ちだ。


「教科書って全部学校に持ってくの?」


 今日使う分以外は部屋に置いておいてはダメだろうか。


「あっ、そうじゃったの。学校に行けば、ロッカーがあるのじゃ。だから持って行った方があと後楽なのじゃ」


 二人は、話しながら寮を出る。


「うむ。そうじゃ! ちょいと止まるのじゃ」


 サジェスが止まると、アンヌの手から赤い光が出てきた。光はサジェスの教科書を包み込む。まず大きさが小さくなる。一冊が、手のひらくらいの大きさだ。次に重さが軽くなる。腕にかかっていたものが、ふっと軽くなった。

 アンヌは、ふうと息を吐き赤い光は消えていった。


「これでいいのじゃ。リュックにも入るじゃろ?」

「うん。ありがとう」

「べつに、お礼はいいのじゃ」


 サジェスが教科書を全部リュックに入れるのを待って、二人で歩き始める。

 少し歩くと、前から少年が歩いて来た。

 まっすぐに少女達に近づいてくる。


「サジェス? おはよう。迎えに行こうとしたけど要らないみたいだね」


 少年は、カワンだ。サジェスを迎えに来てくれたのだ。

また学校まで行かなかった……。

次こそ行って授業を受けます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。