『東方仙影譚』第六話
どうも作者の炙りサーモンです。この作品は東方projectの二次創作です。作者の勝手な解釈などもあります。それでも大丈夫という方は次に進んでください。
――ピピピッ、と静かな部屋に鳥の鳴き声が響く。
輝夜さんに置いていかれてから、どれくらいの時間が経っただろうか。
「……で、俺はこれからどうすればいいわけ?」
ぽつんと畳の真ん中に座り込んだまま、俺は天井を見上げて呟いた。
影からルクスが『きゅ〜う……』と、心なしか同情するように顔を覗かせている。
さすがにこのまま監禁されているわけにもいかない。
意を決して立ち上がり、障子に手をかけた――その、瞬間だった。
――ズガァァァァァンッ!!!!
「うおわっ!?」
突如として、俺の後ろの壁が激しい爆音と共に消し飛んだ。
立ち込める白煙。容赦なく吹き込んでくる竹林の風。
そして、バチバチと火の粉を散らす紅い炎。
ゲホゲホと咳き込みながら振り返ると、煙の向こうに、見覚えのある白髪の少女が立っていた。
「よお。ずいぶんと派手にやられたみたいだな、仙」
ズボンのポケットに手を突っ込み、ニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべている。
――藤原妹紅、その人だった。
あまりに突飛すぎる登場に、俺は呆然とした後、一気に怒りが沸点に達して怒鳴り散らす。
「おい! 普通に玄関から入れや脳筋!!」
「あぁ!? ここは輝夜の屋敷なんだから、どこをどうブチ壊して入ろうが私の勝手だろうが!」
妹紅が凄みながら反論してくる。
なんだその、輝夜への嫌がらせのためなら器物破損も厭わないトンデモ理論は。
「いいわけねぇだろ! 頭のネジぶっ飛んでんのか!? あ!?」
「はい、ぶっ飛んでますけどなにか!?」
自分で認めやがったコイツ。
ええい、ダメだ、不老不死を1000年もやってる連中には常識という概念が通用しない!
「いや、助けに来てもらった恩はある! あるよ!? でもね! 流石にそれはあかん!!」
俺が必死に常識的なツッコミを入れていると、廊下の向こうからドタドタと慌ただしい足音が響いてきた。
「ちょっと、何事ですか!?」
障子を勢いよく開けて飛び込んできたのは、長い耳を揺らした優曇華さんだった。
完全にパニックになっている彼女は、消し飛んだ壁と、そこに堂々と佇む妹紅を見て目を見開いている。
状況を察した優曇華さんの視線が、鋭く俺たちへと向けられた。
マズい、このままだと俺まで共犯扱いで永琳さんに何をされるか分かったもんじゃない!
俺はすかさず、優曇華さんに向けて妹紅を指差した。
「この脳筋が壁ブチ破ってきたんだよ!!」
恩はある。めちゃくちゃある。助けに来てくれたことには感謝してる。
だけど、だけどさぁ! 俺まで一緒に怒られるわけにはいかないんだよ!
そもそも俺、ただ部屋に閉じ込められてただけだし、1ミリも悪くないからね!?
優曇華さんは、冷え切ったゴミを見るかのような目で妹紅を凝視した。
静まり返る部屋に、低く冷たい声が響く。
「――妹紅さん?」
「……あ、いや、これは、その」
さっきまでの威勢はどこへやら、妹紅は黙って壁に空いた穴から、ソロソロと後ずさりして出ようとする……。
だが、逃げられるはずもなかった。
「待ちなさい、弁償です」
「わ、悪かったって! ちょ、引っ張るな! 離せ!」
がしっ、と服の襟を掴まれ、妹紅はズルズルと優曇華さんに引きずられて廊下の奥へと消えていった。あの不死の怪物を、うさ耳が片手で引きずっていく悪夢のような光景。
――いや、強すぎだろ。
ここの連中、どいつもこいつも怪力ばっかなのだろうか?
デコピンで頭蓋骨を割りかけるお姫様に、壁を消し飛ばす脳筋、そしてそれを片手で引きずる元・社畜うさぎ。
ぽつんと一人、また部屋に取り残された俺は、静かに遠い目を下。
……うん、もう常識とか考えるのやめよう。
俺はもう常識を捨てることを決意するのであった。
読んでいただきありがとうございました!次回はなるべく早く出しますので、お待ちください。




