↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
48/50

『東方仙影譚』第四十八話

うわぁ、もう四十八話かぁ

 深い眠りの底で、俺は夢を見た。

 一寸の先も見えないくらいの暗闇をずっと歩き続ける夢。どこまで歩いても足元は真っ暗で、ゴールなんてどこにも無い。ただ、その暗闇の向こうから、誰かの呼ぶ声が遠くの方でずっと聞こえていた。……だけど、その声は分厚い『ふた』でもされているようで、こもってしまってよく聞こえなかった。それだけ。変な夢だ。

 

 そんな暗闇の世界から、俺の意識はじわじわと光の差す現実へと浮上していった。

 ゆっくりとまぶたを開ける。過呼吸の息苦しさも、激しい頭痛や吐き気も、眠っている間に綺麗に引いてくれたらしい。

 

 目が覚めると見慣れたいつもの部屋だった。

 居候生活の数日間、俺がずっと使わせてもらっていた永遠亭のあの客間だ。

 ふと視線を左右に巡らせてみるけれど、枕元にも、和室の隅にも、誰の姿も無い。周りには誰もいない。

 今思うと、俺のことを気遣ってくれたのだろう。

 目が覚めた瞬間、またみんなに泣きそうな顔で囲まれていたら、俺の歪んだプライドはまた逃げ出したくなっちまってたはずだ。だからあいつらは、俺の心が落ち着くまで、一人で静かに頭を整理できるように、あえて誰もこの部屋に入らずにそっとしておいてくれたんだ。

 

 静かな部屋の畳の上で、俺は布団から起き上がり、自分の胸にそっと手を当てた。

 外の世界で親に殴られて傷ついた右の頬は、永琳さんの医療のおかげか、もう不思議なくらいに痛みが消え去っていた。心臓のバグだらけのパニックも、すっかり綺麗に収まっている。

 あぁ、完全にいつもの元気な俺に戻ったわ。

 

 そう確信した瞬間、俺は静まり返る客間のど真ん中で、思いっきり両手を床(畳)へと突き、あっちの世界の有名な一発ギャグ芸人のポーズをバシィィィンと決めて、喉がちぎれんばかりの大音量で地球の裏側に向かって絶叫した。

「……。ブラジルの人ー! 聞こえますかあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!」

(※頭おかしくなった?)

 おい作者!!! 注釈で「頭おかしくなった?」とかメタい冷静なツッコミを入れてんじゃねぇよ!

 おかしくなってねぇわ! 40話から数日間もガチの超重厚ダークシリアスな闇(家出・暴力・馬乗り連打・感覚麻痺・孤独の夢)に心を縛られ続けてた反動が、最高の安堵感と共に、ここで一気に一発ギャグとして大爆発しちまっただけなんだよ! これぞ『東方仙影譚』の看板である【グダグダのメタボケ日常コメディ】の完全復活の開幕宣言なんだよ!

 実の父親に殴られ、傷ついた心を相棒のイカれた優しさに救われて、静かな部屋の中で地球の裏側へ全力で生存報告ギャグをぶっ放す俺。

 俺と望月ルクスの物語は、やっぱりタイトル以上の大渋滞とシリアス即死カオスと共に、これ以上ないほどお騒がせな大音量の奇声と共に、俺たちの本当のホーム(永遠亭)での、いつものグダグダ日常へと、秒速で帰ってくるのだった。

なんか、急に思いついた

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。