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『東方仙影譚』第二十九話

どうも作者の炙りサーモンです。この作品は東方projectの二次創作です。パロディやメタ発言、作者の勝手な解釈などが含まれます。それでも大丈夫という方は次に進んでください。

「展開思いつかねぇ」

『相変わらずメタい』

 隣で大きいキメラの姿のまま直立していたルクスが、軍帽のつばを大きな前足の爪で直しながら、感情ゼロの低音ボイスで即座に突っ込んできた。

 おい相棒、そんなゴミを見るような紅い瞳を向けるな。1文字も話が前に進まなくて、作者の頭の燃料が完全に切れてゲシュタルト崩壊を起こしている時のリアルな悲鳴なんだから仕方がないだろ。

 魔理沙がくすくす笑いながら焼き魚を突っつき、優曇華が「また仙の変な病気(メタ発言)が始まったわ……」と遠い目をしている、まさにその時だった。

 パタパタパタパタ……。

 リビングの開いた窓から、何とも場違いで古風な羽音が響き、一羽の鳥が室内に迷い込んできた。

 それは、外の世界の公園とかに普通にいる灰色の一見どこにでもいそうな鳥――。

 だが、その鳥の『瞳』を見た瞬間、俺たちの間に緊張が走った。鳩の目は、普通の黒ではなく、まるでルクスの本性を表すかのように、おそろしく禍々しい深紅の光を妖しく放っていたのだ。

「え、伝書鳩……?」

 俺が呆気に取られていると、その紅い目の伝書鳩は、大きなルクスの軍帽の上に、まるで自分の巣であるかのようにちょこんと生意気に舞い降りた。

『む……。あるじ、これは魔界からの緊急連絡用の伝書鳩なのだ』

 ルクスが軍帽の上の紅い目の鳩を見上げながら、おそろしく神妙な魔王トーンで呟いた。

 魔界の公式連絡用の鳥。ということは、その足にくくりつけられている小さな筒の中には、これからの物語を大きく左右するような、おぞましい魔界の強者からの宣戦布告や重要設定が隠されているに違いない。俺がゴクリと息を呑み、緊迫した空気のなかでルクスが手紙を外そうとした――その瞬間だった。

「これ食えるかな?」

 食卓の隅で湯呑みを置いていた妹紅が、その深紅の目をした魔界の鳩をじっと見つめ、実におそろしく平然とした声で呟いた。おいもこたん! これからガチのシリアスな新章バトルが始まろうかっていう超重要なギミックに向かって、開口一番に「食えるか」どうかで判断するんじゃねぇよ! お前のその野生のサバイバル精神はどうなってんだよ!

「鳩って貴重な食材らしいわよ」

(※鵜呑みにして食べようとしないでください。多分違います)

 隣にいたニートのお姫様(輝夜)が、どこかのネット掲示板で見たような不確かなガセ知識をドヤ顔で被せてきた。お前も乗っかるんじゃないわよ! 永琳さんの飯が美味いからって、不審な魔界の鳥を高級フランス料理のピジョンみたいに扱って食卓に並べようとするな!

「どう捌くんだ?」

 魔理沙が身を乗り出し、顔をニヤニヤさせながらガチの調理手順を確認し始めた。おい魔法使い!!! お前まで当たり前のように食材認定して包丁を構える準備をするんじゃない! 全員で「伝書鳩の調理大喜利」っていう新しいカオスなコントを連鎖させるんじゃねぇよ!

 大騒ぎするリビングの連中を俺の手で必死に押し返し、ルクスが大きな爪でどうにか外した手紙を、俺は奪い取るようにして広げた。だが、その羊皮紙に書かれた文字を見た瞬間、俺の顔は別の意味で引きった。

「えーっと? なんて書いてあるんだ? 字きったねぇ」

『……どれ。ふむ、この字は、ベルフェゴールか。無理矢理書かされたのだろうな』

 ルクスが俺の頭上からデカい顔を近づけ、手紙を覗き込んで紅い瞳を細めた。怠惰の悪魔ベルフェゴール。19話のあのグダグダ戦争の時に「モチベーションの死ぬほど低い同僚」と言われていた、あの寝てばかりの悪魔か。

「これ読める? ルクス」

『……まぁ?』

「読んで」

 ルクスは軍帽を少し直すと、あの十九話の魔王トーンの声で、その汚い文字の羅列を厳かに読み上げ始めた。

『――「憤怒の悪魔サタンと……望月仙がコネクトしたことを感知した。これから、お前らのコアを獲りに行く。一時間後、色欲の悪魔アスモデウスがそっちに着くだろう。覚悟せよ……」』

 リビングの空気が、一瞬にしてガチのシリアスへと凍りついた。

 一時間後。魔界の七大悪魔の一角、色欲の王アスモデウスが、俺とルクスのコアを奪うためにこの永遠亭へと直接カチコミにやってくる。

 二十七話で魂のバグを直し、対等のデビルコネクトを終えたまさにその瞬間を狙って、ついに物語の大決戦の幕が上がろうとしていたのだ。

 あまりの緊迫感に俺がゴクリと唾を呑んだ、その直後。ルクスは手紙の最後に書かれた小さな一文に目を留め、そのままの魔王ボイスで淡々と読み切った。

『……「追記。そこの鳩は食うなり焼くなり煮るなり好きにしろください。アイツら(七大悪魔)の嫌がらせとして、よろしくお願いします」』

「ベルフェゴール、無理矢理手紙書かされたからってなんちゅう嫌がらせしようとしてんだよ!!!」

 俺は思わず、持っていた羊皮紙を床に叩きつけそうになった。

 公式の伝書鳩を、敵への嫌がらせのためだけに「好きにしろください」って食材として敵にプレゼントすんじゃねぇよ! 語尾の日本語もちょっとバグってて丁寧なのか投げやりなのか分かんねぇわ!

 そんな魔界の身内へのせこい嫌がらせの手紙を聞いた瞬間、食卓の隅でずっと包丁を構えてスタンバっていた妹紅が、今日一番の満面の笑みを浮かべて立ち上がった。

「食っていいって!」

 そっちの許可は一瞬で出すんじゃねぇよ!!!

 一時間後に魔界のトップクラスの超大物が俺たちを殺しにやってくるっていうガチの戦争予告をされた直後に、許可が下りたからってウキウキで鳩を捌こうとするな!

 朝一番から不法侵入に怯え、魂の契約を終えた直後に、リビングで魔界からの宣戦布告(ジビエ料理のプレゼント付き)。

 俺と望月ルクスの、幻想郷での新しい戦い(新章・アスモデウス防衛戦)の幕開けは、やっぱりタイトル以上の特大のグダグダさとカオスと共に、あと一時間で、火蓋ひぶたが切られるのだった。

読んでいただきありがとうございました!次回はなるべく早く出しますので、お待ちください。

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