『東方仙影譚』第十四話
どうも作者の炙りサーモンです。この作品は東方projectの二次創作です。パロディやメタ発言、作者の勝手な解釈などが含まれます。それでも大丈夫という方は次に進んでください。
主が倒れたその瞬間、170センチの巨体に覚醒したルクスは、静かにその鋭い瞳を紅く光らせた。
衣服のネクタイで必死に止血し、死の恐怖に震えながらも、最後まで生きることを諦めなかった主――仙。
冷たい地面に崩れ落ちた主を守るように、ルクスは霊夢の前に立ちはだかり、地響きのような咆哮をあげた。
いやつーかなんで俺死んだみたいに言われてんの?なんだよこの台本!おい作者ァ!(※ナレーションは仙がただいまやっています。なぜルクス目線なのに仙がなにが起きていたかわかる理由は後々作りますのでお待ちください)
『――ギィィィィィアアアアアッッ!!!!』
キツネの野生と、ドラゴンの恐るべき威厳が混ざり合った、大気を震わせる叫び。
「くっ、なんなのこの化け物……っ! 霊符『夢想封印』!!」
驚愕に顔を歪めた博麗霊夢が、容赦なく七色の強烈な光弾をルクスに向けて撃ち放つ。直撃すれば、周囲の竹林ごと跡形もなく消し飛ぶほどの恐ろしい破壊力だ。
だが、真の姿となったルクスは、その場から一歩も動かなかった。
避けることすら、しなかった。
――ドガガガガガガァァァンッ!!!!
無数の光弾がルクスの巨体を捉え、凄まじい熱量と大爆発が夜の竹林を白く染め上げる。
強烈な爆風が吹き荒れ、周囲の竹が何本もなぎ倒されていった。
「やったかしら……」
霊夢が煙の向こうを睨みつける。
しかし、立ち込める白煙がうっすらと晴れていくと、そこには傷一つないルクスの姿が堂々と佇んでいた。
ルクスは避けていなかったのではない。避ける必要がなかったのだ。
よく見ると、ルクスの漆黒の肉体全体に、硬質な『ドラゴンの鱗』が瞬時に鎧のように展開されていた。
夜の闇の中で、黄色で縁取られた深緑のひし形模様の腰巻きが風に揺れる。
霊夢の放った最強の一撃を正面から浴びながらも、ルクスは完全な『無傷』のまま、ただ冷徹に巫女を見下ろしていた。
「嘘……っ! 私の夢想封印を、まともに喰らって無傷だなんて……!」
霊夢の完璧な顔が、さらなる戦慄に染まる。
「博麗の巫女……我が主にこれ以上の無礼を働くならば、容赦はしません」
ルクスは静かにそう呟いた。
しかし、今の主は腕から大量の血を流し、意識を失って命の危機に瀕している。このままこの理不尽な巫女と戦い続けても、主の命が縮まるだけで全く無益だ。
そう判断したルクスは、鋭い瞳を怪しく光らせると、次の瞬間、自身の体全体を爆発的な強い光で発光させた。
「っ!? まぶし……っ!」
夜の暗闇を引き裂くような目くらましの閃光に、霊夢が思わず腕で目を覆って顔を背ける。
そのわずかな隙を、ルクスは見逃さなかった。
ルクスはすばやい動きで冷たい地面に屈むと、気絶している仙の体を、傷口を刺激しないよう細心の注意を払いながら大きな左腕で小脇に抱え上げた。
そして、霊夢が体勢を立て直すよりも早く、地面を力強く蹴り上げて、全速力で永遠亭に向かって竹林を駆け抜けた。
――どれくらいの時間が経っただろうか。
次に俺が目を覚ました時、視界に飛び込んできたのは、見覚えのある立派な和室の天井だった。
「……ぁ、う……」
喉がカラカラに乾いていて、上手く声が出ない。
自分の体に意識を向けると、あの頭が狂いそうだった激痛は、永琳さんの薬のおかげか、ずいぶんと和らいでいた。
そっと視線を落とすと、俺の左腕には、これでもかというくらいガチガチに白い包帯が綺麗に巻き付けられている。
「お、気がついたか! 仙!」
枕元から、聞き覚えのあるハスキーな声が聞こえた。
ゆっくりと流れる首を動かすと、そこには本気で心配そうな顔をした妹紅が座っていた。その奥には、少し気まずそうに目を泳がせている輝夜さんと、呆れ顔でカルテを持った永琳さんの姿もある。
いつの間にか、俺は永遠亭の布団の上に戻ってきていた。
「よかった……。うどんげが竹林の入り口で、お前を抱えたデカい影の化け物からお前を受け取ったって聞いて、肝が冷えたぜ」
妹紅がホッとしたように息を吐き出す。
妹紅の視線の先――俺の布団のすぐ横には、170センチの巨体のまま、静かに直立して俺を見守っているルクスがいた。
鋭い瞳、大きな翼と尻尾、そして黄色で縁取られた深緑のひし形模様の腰巻き。
いつもならすぐに影に引っ込むはずの相棒が、俺が目を覚ますまで、一歩もその場を動かずにずっと護衛してくれていたらしい。
俺と目が合うと、その刃物のように鋭かったはずの瞳が、少しだけ優しく細められたような気がした。
「……ありがとな、ルクス。俺のために、そんなおっきくなってまで……」
掠れた声で俺がお礼を言うと、170センチのルクスは嬉しそうに、けれど静かに、ドラゴンの大きな羽をパタパタと揺らした。その姿には、普段の犬っぽさとは違う、本物の騎士のような頼もしさがあった。
紅白の死神に襲われ、本物の死の恐怖を味わったけれど、俺とルクスの絆は、この残酷な経験を経てさらに強く、深く結ばれたのだった。
読んでいただきありがとうございました!次回はなるべく早く出しますので、お待ちください。




