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『東方仙影譚』第十話

どうも作者の炙りサーモンです。この作品は東方projectの二次創作です。パロディやメタ発言、作者の勝手な解釈などが含まれます。それでも大丈夫という方は次に進んでください。

占い師を名乗った、因幡てゐと藤原妹紅。

 どちらかが本物で、どちらかが村を脅かす嘘つきの人狼――あるいは、場をかき乱す狂人枠だ。

 和室の空気がピリリと引き締まる。ゲームのセオリーを熟知している俺は、腕を組んで二人に鋭い視線を向けた。素人のような中途半端な動きをすれば、一瞬で月の頭脳たちの餌食になる。

 

「よし、じゃあ二人の占い結果を聞こうか。まずはてゐ、誰を占った?」

 「はーい、私はうどんげを占って『人間(市民)』でした〜。本物だよ、信じていいよ?」

 てゐがひらひらと軽やかに手を振りながら、いかにも怪しい、しかし人狼ゲームの序盤としては王道すぎる結果を出す。真偽は不明だが、あいつの飄々とした態度は相変わらず底が知れない。

 「オッケー。じゃあ次、妹紅。お前は誰を占っ――」

 俺が確認を促そうとすると、妹紅は急にすっと真面目な顔になり、これ以上ないほど悲痛な表情で自分の胸に手を当てて、静かに、しかし力強く言い放った。

 「……仙、私は悲しいよ。この国(永遠亭)は乱れています!!」

――和室が、音を失ったように一瞬で静まり返る。

 

 肩の上のルクスが『きゅ、きゅ、きゅ~う……?』と、あまりの空気の冷たさと理不尽な重圧に怯えて、俺の髪の毛の隙間にスルスルと身を隠した。おい、相棒まで現実逃避するな。

 俺はこめかみをピキピキと震わせながら、目の前の白髪少女に思いっきり強めのツッコミを入れた。

 「いや藤原書記ぃぃぃぃぃ!!!! 苗字が同じだからって外の世界の生徒会アニメのネタ仕込んでくんじゃねぇよ!!! 乱れてんのはお前の頭のネジだろ!!!」

 「なんだよ藤原書記って! 私は大真面目だ! 最初の夜のとき、輝夜が人狼のカードをめくってニヤニヤしてたんだから、この屋敷の治安は乱れきってるだろ!」

 妹紅が腕を組んで、フンスと豪快に鼻を鳴らす。

 「それ占いじゃなくてただの目撃情報じゃねぇか!! 夜のターンはちゃんと目ぇ閉じてろよ!!」

 俺の至極真っ当なツッコミによって、妹紅の致命的な「ルール違反」が、全参加者の前で白日の下に晒された。

 すると、ゲームマスターである永琳さんが、冷え切った慈愛のない笑みを浮かべながら、手元のカルテにペンをサラサラと走らせる。

 「あら、夜のターンに目を開けていたのね、妹紅? ゲーム中の不正行為は……即、処刑(吊り)の対象よ」

 「っ、あ、いや、これはその、反射で目が開いちゃったというか」

 さっきまでドヤ顔で熱弁していた妹紅の顔が、一瞬で真っ青になり、冷や汗を流し始める。不死身の脳筋とはいえ、永遠亭のナンバー2を敵に回すのは本能的にやばいと悟ったらしい。

 「うふふ、当然の報いね。不届き者は最初から排除しておくに限るわ。さあ優曇華、ルール違反のクズ人間はつまみ出しなさい」

 輝夜さんが勝ち誇ったような、実に嫌味な笑みで、愛弟子へと命令を下す。

 「了解しました! 妹紅さん、おとなしくお引き取りを!」

 「待て! 悪かったってば! ちょ、うどんげ袖を引っ張るな! 衣服が破れる! 離せぇー!!」

 がしっ、と先ほどを上回る力強い音を立てて、うどんげの波長操作が妹紅の首根っこを捉える。妹紅は本日二度目となるズルズルとした連行によって、和室の廊下の奥へと引きずられて消えていった。

 ガチャン、と重く閉まる障子の音。

 ……おい。俺たちの議論を、完全に放置して去っていったぞ、あの脳筋。

 

 人狼ゲーム開始早々、まともな推理も駆け引きも始まらないまま、最初の脱落者(物理)が退場した。

 肩の上のルクスと二人、またしても静まり返った部屋に取り残された俺は、頭痛を抑えるように深く、深ーい、ため息をつくのだった。

 

 「……さて」

 気を取り直すように、俺は残されたメンバーを見渡す。

 永遠亭の主・輝夜。最高頭脳・永琳。精神感応を操るうどんげ。そして、未だに何を考えているか分からない詐欺師・てゐ。

 「妹紅が自爆したわけだけど、残ったてゐの占い結果は『うどんげ=市民』。ここからどう広げるかだ」

 俺がそう呟くと、てゐはケラケラと小さく笑い、意味深な赤い目を細めた。

 「ねぇ、仙くん。妹紅ちゃんはあんな退場をしたけれど、彼女が言っていた『輝夜がニヤニヤしていた』って目撃情報、あれが本当だったらどうする?」

 「……は?」

 「だって、お姫様が本当に人狼だったら、私怨であなたを消そうとした最初の行動とも辻褄が合うでしょ?」

 てゐの言葉に、輝夜の眉がピクリと動いた。

 「ちょっと、因幡てゐ。あなた、私を嵌めようって言うの?」

 「さあ、どうかな〜?」

 不穏な空気が再び立ち込める。市民の俺に飛び火する前に、この場の主導権を握り続けなければ――俺の命は本当にない。

読んでいただきありがとうございました!次回はなるべく早く出しますので、お待ちください

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