7話 土下座って毒気が抜かれるな
レビュー&感想を書いてくださった方がいました。
本当に感謝が絶えません。
今後とも宜しくお願いいたします。
侵入者が現れてから4日後―――
「ぜぇぜぇぜぇ。やっと49階層フロアボスか。この『A級冒険者』である俺様を手こずらせやがって」
「4日もかかってしまった…」
早くも廊下に1組の男女が現れた。
1人は、2メートルは超えるであろう巨体と大剣を持ち、重装備の厳つい男だ。
男の身長にも劣らない巨大な大剣は、きっと魔法金属ミスリル製だろう。
しかも何かの魔術が付与されてるらしく、怪しげなオーラを出している。
俺はこの男を『鑑定』してみる。
センド レベル42 A級冒険者
《スキル》
剣術【超】 拳闘術【超】 耐久【伝説級】
《ユニークスキル》
身体組織改変
A級冒険者、なんか強そうな響き。
A級って言う割にレベルが低いのが気になるが、これぐらいが普通なのだろうか。
謎のユニークスキルがあるけど、大したことないだろう。
ま、所詮低レベル冒険者だ。軽くあしらっておこう。
2人目は、センドとは対象的で、小柄でモデル並みのスタイルを誇る20代前半ぐらいに見える美女である。
特に防具を身につけておらず、剣士職ではなさそうだが、この人も《鑑定》してみる。
アシラ レベル39 A級冒険者
《スキル》
精霊術【超】
精霊術?
魔術とどう違うのかよくわからない。
どうしよう。こんな美人に攻撃できない。
「ねえ。あんたら私達の敵か?」
警戒しながら井上が聞く。
「あら。モンスターじゃなくて人間だったのね」
なんか俺達をモンスターだと思ったかのような事を言うアシラ。
このクソ女。ぶっ殺す。
「引き返し願えませんか?私達は争いを望みません」
「無理だ。ここまで来たからにはこのダンジョンを制圧する」
やはり非好戦的なのか、神崎が懇願する。
「それに、これが国のためなのだ」
国のため?国から依頼されてやってるのか?
仕方ない。さっさと片付けよう。
俺は先手必勝。呪文詠唱に入る。
「『全てを灰と化す獄炎よ 竜巻となりて蹂躙せよ』逝ね。『フレア・トルネード』」
炎の竜巻がセンド達を襲う。
不意に放たれた魔術に彼らは避けられるはずも無く…
「ギャーーーッ!あっちちちぃーー!」
攻撃をまともに食らい。センドは気絶した。
「ふっ。なかなかやるわね」
「おんた卑怯すぎるだろ」
センドを盾にして攻撃を防いだアシラに井上が突っ込む。
「だけど次はこっちの番よ!」
そういって不敵に笑いつつ、俺達と距離を取ると。
「『炎の大精霊よ 汝が力を以て愚者を滅ぼ』」
「遅い」
『身体強化』で強化していた井上がアシラに蹴りを入れる。
「うぐッッ」
蹴られた腹を押さえて悔しそうな顔をするアシラ。
そしてトドメと言わんばかりに鈴原が詠唱を開始する。
「『穢れ無き光の矢よ 我が障害を貫かん』食らいなさい。『シャイニング・アロー』」
1つの光の矢が少しのブレもなく、真っ直ぐにアシラを襲う。
「ひ、『光の大精霊よ 汝が』」
アシラの詠唱も間に合わず、矢はそのまま―――
再び盾にされた、センドの腹に突き刺さった。
「ふうー危なかった。早くも死ぬところだった」
「あんた卑怯すぎるわ」
そして反撃とばかりに、
「『雷の大精霊よ 汝が力を以て愚者を滅ぼさん』死んだセンドへの花向けに!」
「いやいや!お前が悪いんだろーー」
彼女の放った精霊術が鈴原に直撃する。
鈴原が絶叫を上げ、気絶する。
「「「井上っ!」」」
急いで神崎が駆け寄り、
「『回復』」
井上を回復する。
「おやおや。ツッコミ入れる余裕があっても逃げる余裕はないのですか?」
「随分情けない姿だな。」
いつの間に意識を取り戻したのか、センドが笑う。
「いつの間に…」
神崎の驚いた声に、
「ふん、俺には水属性魔術しか効かないのさ」
「おい、センド。それを言ってどうする」
「ああっ!自分の弱点言っちまったー」
脳筋はこうだから助かる。
「まあいい。ここでお前らを殺せば。」
そして、センドは大剣を振りかざす。
「おっと危ないですわね」
だが、こればかりはレベルの差。俺達はいとも簡単に避ける。
俺は井上を抱えているが、高ステータスのおかげで楽だった。
標的を失った大剣は、地面に突き刺さり――
――床を凍らせた。
「床が凍ってる!?」
神崎が叫ぶ。
剣が刺さった床は、そこを中心に広い範囲を凍てつかせていた。
大剣に施された付与
「チェッ!避けられたか。でもこれで終わりだ」
俺達は廊下の端に追い詰められていた。
氷があるのと、動けない井上を抱えいるせいで逃げられない。
センドは、床に刺さった剣を抜くと、今度はで突きの体制を取る。
「俺達は最深部に行かせてもらう。死ねえ!」
そうやって、俺達を強靭な刃が――
―――襲うことはなかった。
ズルッ――
「えっ!?痛ってえー!」
凍った床で見事な程の滑りを見せたのだった。
その場にいた(気絶した井上を除いた)皆が思った。
馬鹿だ。馬鹿としか表現の方法がない。
重い重い沈黙の後―――
「『全てを灰と化す獄炎よ 竜ま』」
「も、申し訳ございませんでした」
美女が、性格は極悪でも魅惑の美女が3回転半捻り土下座を繰り出した―――
次回、主人公ガチギレからの無双!
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