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聞く人によっては誤解を招きかねないような物言いの国王を眺めた。
王都に到着してから独見した時を除けば、国王との面会はこれが二度目だ。
最初に国王と独見した後、彼がどんな人物か探るために動いたことがあったのだが、ベティナ聖銀城の作業員たちから共通して聞いた話では、意志が強く気難しいということだった。
しかし、私は国王との対面中、彼から気難しいという印象は受けなかった。
私が見た国王は饒舌な人で、思ったより権威的ではない人だった。
おそらく彼らが感じているのは、臣下と一国の国王という関係から生じる距離感ではないだろうか。
だから他人の言葉は忘れ、自分が見て感じたことだけを信じることにした。
国王が馬術試合で相手に勝った騎士に向かって、こちらへ来いと手招きする。
騎士が私たちのいる場所へ近づいてくる最中、彼は茶目っ気のある声で囁いた。
「ならば、ヘカテから授かったものなのだろうな。彼女は元気にしているか?」
「!!」
驚くべき言葉が彼の口から飛び出した。
予想だにしなかった名前が出てきて、私が驚いたことが顔に丸出しになってしまった。
「……それをどうして?」
国王がどうして師匠の名前を知っているのか?
私が魔法使いとして修行していた当時、師匠は大きく席を外したことはなく、ここまで来る時間はなかったはずだ。
いや、そもそも師匠は魔族なので、ここまで来ることもできない。
師匠の名前を親しげに呼ぶところを見ると、会ったことがあるに違いない。
そして私は、国王がかつての勇者パーティの仲間だったという事実を思い出した。
まだ彼が国王の座に就く前、その時に師匠に会ったのではないだろうか。
「うーむ、ヘカテが話していないようだから、それについて私から詳しく教えるのは難しいが……。それでもひとつ教えてやるとすれば、彼女もかつては勇者の仲間だったのだ。以前、聖剣の模造品を作ったことがあるのだが、お前が本当に聖所の剣を抜いていないのであれば、ヘカテが持っていた剣こそが本物の聖剣だったということになるな。」
驚くべきことだった。
師匠のことを他人の口から聞く日が来るなんて。
考えてみれば、私が師匠の過去を尋ねたことがなかったせいでもあるが。
師匠もまた、聞かれもしないことを先に口にするような人ではなかった。
「私が話せるのはここまでだ。いつかヘカテに会うことがあれば、一度聞いてみるといい。そして分かったら、私にも教えてくれ。とにかく秘密の多い友人だったから、私も当時の出来事を詳しく知っているわけではないのだ。この話はここまでにしようか。」
いつの間にか、国王が呼んだ騎士が私たちの前まで来ていた。
そして被っていた兜を脱ぐと、その中からどこか見覚えのある顔が現れた。
「聖銀騎士団長の長男だったな。勝利を祝おう。」
「ありがとうございます、国王陛下。」
どこかで見覚えがあると思ったら、クラドの兄弟だった。




