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「ルシアン卿に興味があるのかな? 男から見てもなかなかの男前だ。実力も申し分ないしな。」
「いいえ。」
首を横に振り、慌てて否定した。
だが、すぐに「しまった」と思った。
あまりにもきっぱりと言い切ってしまったのだ。
慌てて、言い訳ともつかない言い訳を口にした。
「騎士団長殿によく似ていらっしゃるな、と思いまして。」
「ははは、そりゃあ騎士団長の息子だからな、彼の若い頃にはよく似ている。」
その時、ルシアンが私を見て言った。
「父から勇者様のお話は伺っております。」
騎士団長という人は剣に対して並々ならぬ情熱を持っているようだったが、私のことを何と話したのだろうか。
「そして、クラドと共にここまで来られたとも伺いました。」
「ええ。ここまで来るのに、彼には随分と助けられました。」
「私の弟が勇者様のお役に立てたのであれば何よりです。先日、父の件で我が家へ立ち寄られた際、そのままお帰りになったと聞きました。おもてなしもできず失礼をしてしまったようですので、今度は私が正式に勇者様をご招待したいと思うのですが、いかがでしょうか?」
「私を、ですか?」
私を、なぜ?
アルケン家には先日行ったばかりなのに。
おもてなしなんて言われると気まずい。
お茶とお菓子をいただいただけで十分なのに 。
「ええ。勇者様にお話ししたいこともありますので。」
気乗りしなかったので、遠回しに言った。
「今、ここでお話しくださっても構いませんが。」
「では、少々二人きりでお話しさせていただけますか。」
二人きりで?
今、国王陛下もいらっしゃるのに?
ルシアンの言葉に、私は国王を見た。
今の状況が非常に興味深いといった目で、こちらを見ていた。
「ははは、若い男女が話をするのに、私が邪魔をしているのではないかな。私は気にしなくていいぞ。」
気にするなと言われても、気にせずにはいられない。
国王に席を外してほしいなどと言えるはずもなかった。
「では、少し歩きましょうか?」
「ぜひ。」




