表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
4/5

夏の雪 4話 雛

ということで彼女らと話すことになった。


「それで聞きたいことって何?」


嚏常 海月が言う。


「単刀直入にいうと、俺はお前ら美術部員を疑っている。朱莉を殺した犯人として。」


「はぁ?なんで私たちが疑われなきゃならないのよ。イカれてるんじゃないの?」気の強い女性だ。


彼女は先井 砒菜。


他の人物についても話しておこう。


まずこの場にいる美術部員は、凛、先井 砒菜、嚏常 海月で、残りの美術部員は幸井 鈴蘭、御照 紫苑、寝岸 菖蒲、そしてこの中で唯一男性である、鬼怒川 紅だ。


彼らは全員同じクラスで須応朱莉と仲が良かった。


いや仲が良かったように見えただけなのかもしれない。


須応朱莉が言うには「恐」かったそうだから。


「あなたね、調子乗らないで。朱莉とは付き合って1週間かそこらの人間でしょ。私たちの方がはるかに関係性が深いのよ。それで私たちを疑うなんて、なんの根拠があって…」


ちょっと冷静になって欲しいな。 先井 砒菜。


「根拠なら 朱莉は『実は私ね、美術部のみんな……あの7人のことが、最近ちょっとだけ怖いの』って言ってたぞ。」


「えっ?」


一同が驚いたような、図星のような、そんな反応をする。


凛は部屋に入ってからずっと俯き黙っている。先程の言葉をやはり気にしているのだろうか。


「なんだよ。その反応。思い当たることがあるなら言ってくれよ。」


「他に何か聞いてないの?」


嚏常 海月がいう。


「『コンクールが近いからって、ずっと凛の家に集まって、みんなで私の過去の作品やデッサンを『研究する』って言って囲んでるのよ。』って。」


「やっぱり。それのことか。」


「おい、どうしたんだよ。」


全員俯いてこちらを見ようともしない。


凛と同じ状態になってしまった。


そもそも全員変だ。


友達であるはずの須応朱莉の死亡について、少なくとも今日知ったはずなのに泣き腫らしたような状態でもない。


もちろん反応は人それぞれであろうが。


唯一凛だけがメイクが剥がれおそらく泣いたのだろうと考えられる。


しかし友達が死亡したのにちゃんとメイクをするというのは普通の行為なのだろうか。


そもそもいつ死亡の知らせを聞いたのだ。


彼らはいつここに集まったんだ。聞きたいことは山ほどある。


だが聞けない。

「おい、その絵、なんだ?」


凛の部屋の隅に絵画が置いてある。


「………………これは朱莉の画」抽象画か。やはり須応朱莉の好みは抽象画であった。

「なんで凛の家にあるんだよ。」


「朱莉から聞いたんでしょ。研究のこと。それよ。」


「でも先井って確か…」


「えぇ。彫刻をやっているわ。」


「じゃあなんで絵?」


「朱莉の見るべきところは画法じゃないってことよ。」


芸術というのは分野が変わっても究極的には本質は一緒なのかもしれない。


それはおそらく数学だってそうだ。


数学を芸術と呼ぶのは一部の人間からは疑問視されそうだが、それはただ、計算などの非本質的な部分を見ているだけのことだろう。


本質的に数学は芸術だ。


「朱莉の芸術に対するあり方、それがたまらなく素敵だと思った。だからこうして研究していたのだけれど、」


思いとは裏腹に須応朱莉に「恐」がられていたということか。


しかし妙だな。この雰囲気。


明らかに須応朱莉が死亡したという事実に対して、須応朱莉を失ったという感情以外 なにか感じる。


ひょっとしたら彼女らは僕と…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ