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夏の雪 3話 輪

デート2日後の夜 20:00頃 

須応朱莉の両親から須応朱莉が今日の9:00頃「ちょっと散歩してくる。」と言って、家を出てからまだ家に帰っていないと言うことを知らされた。


須応朱莉の両親は町内会などからだろうか我が家を特定して乗り込んできた。


「一昨日あなたと出かけていたそうだから何か知らないかなと思って。」


「一昨日17:30ごろまで一緒に美術館前の公園にいて、18:30頃に帰宅して、そこから20:00くらいまでメッセージでやり取りをしていました。今日もおはようくらいしかやりとりしていないはずです。」


「そう。ありがとう。どこにいるのかしら。普段はこんな時間に連絡も取れず家に帰ってこないなんてことないのだけれど。」


須応朱莉の母親は少し怒っているような焦っているような気がする。


当然だ。


娘の一人がいきなり交際関係を築き、その3日後二人で夜まで出かけ、さらにその2日後連絡が取れなくなってしまった。


客観的に見てその交際相手が何か知っているのではないかと思うのは当然だろう。


「まだ20:00ですよね。そんなに心配しなくても。」


「そうは言ってもね、20:00までなんの予定もないはずなのに。私に予定を教えなかったことなんてこの間のあなたとの美術館行きくらいなのよ。」


嫌味だ。いやもちろん真実を追求したいが故の言葉に違いないが。


にしても須応朱莉はずいぶん親に従順というか。


「とにかく。何かわかったら教えてください。」


「美術部の人たちに話を聞いてみた方が…」途中で我が家を出ていってしまった。


そして今つまりデート3日後 


「朱莉が…死んだ?」両親と20:00のニュースを見ていると山で遺体が発見され衣

服や所持品などの情報から遺体は須応朱莉であると見られているという速報が流れてき

た。


「そんな…」いや正直わかっていたのだ。


昨日の須応朱莉の両親との我が家での会話後、今日まで連絡を取ろうと試みたが返信はなかった。


須応朱莉の両親の話によればかなりの異常事態であろうことがわかる。


そして今朝散歩中に須応朱莉の両親が慌ただしく車に乗りどこかへ出かける様子も見ていた。


おそらく遺体の身元確認に呼ばれたのだろう。須応朱莉の両親は須応朱莉の捜索届を警察に提出していたそうだから。


「あんなに明るくて優しくて丁寧で親切で人の心のうちに寄り添っているような朱莉がなぜ」

心も体も震えてしまう。


心は今まで感じたこともない感情が溢れる。目から涙が出ている。警察によると死因は現在調査中とのことだ。


「死んだ…ってなんだよそれ。」


自殺か他殺かは不明らしい。遺体の腐食が進み検死に時間がかかるらしい。だから死因、死亡推定時刻も不明だそうだ。


と言っても2日以内であることは明らかだが。

「朱莉が自殺なんて…そんなことありえない。一体誰に…ひょっとして、朱莉が言っていた美術部の」


いや客観的に見てその可能性はかなり低い。


そもそも須応朱莉が知人に殺されたのかどうかだって不明なのだ。それに自殺かもしれない。客観的に見てそう思うのが普通だ。


しかし可能性としてないということはない。それに須応朱莉は7人の美術部特に凛について「恐れていた」と言える。


「ごめん。ちょっと凛の家に行ってくる。すぐ帰る。」


そう言い家を慌ただしく出ていく。凛の家に来た。


火神家という表札が見える。火の神 相変わらず神秘的な名前だ。


凛の家は2階建ての庭がある1軒家だ。


凛の部屋は1階だ。2階にあることが多いだろうが。そのせいで凛がカーテンをしっかり閉めていないと、カーテンの隙間から部屋が見えてしまう。


年頃の女性の部屋を覗くというのはよくない行為であるそう思い今まで覗いたことはない。


「でも今回は緊急事態だ。」と部屋を覗く。


するとどうだろか。なんと部屋に3人の人間がいる。


何やら激しく議論しているらしい。凛に視線に気づかれてしまった。




「そんなに引っ張るなよ」凛に腕を引かれ、凛の家の廊下で立ち止まる。


「あなたは誰?」


「何を言ってるんだ。俺は横井丈。お前の幼馴染だろ。」


そういうと凛はどこか残念そうに言った。


「…そう。じ…横井。なんで私の部屋を覗いていたの?」


「朱莉の件。もう知ってる?」


「ええ。今彼らとちょうど話していたところ。で、なんで私の部屋を覗いていたの?」


「朱莉が俺とのデートの日、お前ら美術部員のことで意味深長なことを言っていたんだよ。」


「…そう。それで?」


「特に凛について、だから凛が何か知らないかと思って。」


「そう。結局私の部屋を覗いた理由にはならない気がするけど。いいわ。彼らとの話に参加して頂戴。」


「言っておくけど俺はお前らのことを疑っているからな。」


「…何言ってるの…私たちが朱莉を?そんなわけないじゃない。」よく見ると、メイクが少し剥がれている。泣いたのだろうか。気持ちが悪い。


「どうだか。朱莉がなんて言ってたか知ってるか。『実は私ね、美術部のみんな……あの7人のことが、最近ちょっとだけ怖いの』だって。『特に凛は、私が他の男の子と話してるだけで、すごく冷たい目で見てくるの。特に横井くんと話していると。もしかしたらあの中の誰かに…な、なんてね』とも言ってたぞ。」


「そんな…」どうやらひどく効いたらしい。


「凛。もしかしてあいつらに俺と朱莉が付き合ってるなんて言ってないよな。」


「さっき言ったわ。でも朱莉が亡くなったなんて知るまでは言わなかった。横井はなんで朱莉が亡くなったって知ってるの?」


「そりゃ、ニュースで。そういえばお前らおかしいぞ。俺は速報を聞いてからすぐにお前のうちまで行った。なのになんで俺のうちよりずっと凛の家まで遠いはずのあいつらが集まってるんだ?」


「私たちは朱莉のご両親から聞いたの。生前仲が良かったからって。横井は違うのね。」どこか安心したような物言いだ。


「なっ。」その時凛の部屋から声が聞こえた。


「ねぇ。凛どうしたの?」


「海月、うん、ちょっと。」


「って、横井 丈…なんで?」


「横井が朱莉の件で私たちに聞きたいことがあるらしいの。」

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