夏の雪 2話 淋
デートおわりに遡る
今日須応朱莉は凛について語っていた。
凛は僕の幼馴染だ。
幼い頃はよく一緒に遊んでいたが、ありがちだが今はそんなに話していないし長らく家に行ってもいない。
昔はよく家で遊んだ。と言ってもほとんどは僕の家だ。
いや少し訂正しよう。彼女とはつい最近話した。それも須応朱莉についてだ。
須応朱莉と付き合うことになったあの「告白」の次の日、帰り道において須応朱莉と別れた後彼女から話しかけてきた。
彼女は
「付き合ったんだ。横井。」
「なんの話?」
「朱莉から聞いたの。」
「そう。朱莉と仲が良かったんだ。ずいぶん久しぶりだな。凛と話すのは。」
「なんで?」
「どうした?」
「どうして朱莉と付き合ったの?」怒りを感じる。
「なんでって、誰から見ても朱莉は優しくて、可愛くて、話しやす,,,」
「ふざけないで!…やっぱり、そういうとこ変わっちゃったね。横井は、朱莉のことを
見ているつもりで、見えていない」
「えっと、もしかして怒ってる?」
「言っておくけど朱莉はもっとずっと…、とにかく明後日デートなんでしょ。朱莉と話せばすぐわかるから。」
そう捨て台詞かのように意味深長な言葉を吐き捨て帰っていってしまった。
彼女の家まで追いかけたが遅かった。
火神家と言う表札が見えた。
「ひがみ…そんな変わった名字だったか。ひがみって僻みみたいでなんかな。いや、人の名前をいじるなんてよくないな。にしても凛のことは昔から『凛』って呼んでたから気がつかなかった。」
昔はもっと仲が良かったのだが。
今日美術館で「凛のいうことは無茶苦茶だった。朱莉は素晴らしい人間じゃないか」
そうぼそっと言ってしまい須応朱莉に
「どうしたの?なんか言った?」
と言われてしまった。
「なぜ凛は朱莉を警戒するようなことを言ったんだ?」
その時、凛から電話がかかってきた。ずいぶんめずらしいことだ。デートのことだろう。そんなに気になるのか。
「どうだった?朱莉とのデート」
「凛はなんであんなこと言ったんだ?朱莉はやっぱり美術館でも丁寧で優しいし可愛いしとにかく良かったよ。裏の顔なんてないじゃないか。」
「そう。もういい。そのままでいれば。」
そのまま電話が切れた。
告白の日 告白前 にて
「ねぇ朱莉。なんでなの。 横井に告白するって。」
「凛。なんでって、うーん?かっこいいからかな。それに優しいし。」
「そんな。やめなよ」
「やめなよって。なんで?」
「…朱莉のためにならない。」
「もしかして、凛って横井くんのこと好きなの?」
「違う。横井なんて、別に…………私はただあなたと丈のために…」
「嫉妬して嘘をついて引き止めようとするのが私と横井くんのためなの?それは誰のためにも、特に凛のためにならない。」
「っ…なんでそんなこと言うの?…本当に違うの。」
「わかるよ。凛。でも私は横井くんのことが好き。それに凛だっていくらでもチャンスはあるわよ。私が成功するかどうかも決まってないんだし。って行っちゃった。『丈』ね。凛ってやっぱり可愛いわね。」




