76.その肉体は鋼の如く強靭な凶器
「ストーンウォール! スネークボルト!」
開幕一番、デュオは卵の十冠にチャージした土属性魔法の土壁を円錐状に変化させてブルブレイヴに放つ。
と、同時に呪文詠唱で雷属性魔法の雷蛇を地を這うように放ちブルブレイヴを絡め取る。
あわよくば雷による電気ショックを与えれれば儲けものとして。
ウィルはデュオが魔法を放つと同時に間合いを詰めるため駆け寄る。
但し接敵直前に横へと飛び一瞬ブルブレイヴの視界から消え失せるように見せるフェイントを加える。
勿論ただ横へ飛んだだけではフェイントにはならない。デュオが直前に普通のストーンウォールを文字通り壁としてブルブレイヴの視界を遮ると言う援護があってこそだ。
「バスターブレイカー!!」
ブルブレイヴは雷の蛇を左手で払いのけようとするも、雷による電気ショックで一瞬硬直する。
そして無防備に円錐状の土壁をもろに脇腹へと受ける事となった。
ウィルはその一瞬の隙に今持てる最大の剣戦技を放った。
――ガッッ!
だがウィルが放ったバスターブレイカーの手応えは物を斬り裂いた感覚ではなく、分厚に壁を斬りつけたような手応えを感じていた。
見ればブルブレイヴは両腕を交差させてウィルのバスターブレイカーを受け止めていたのだ。
「なっ!? バスターブレイカーを受けて傷一つないだと・・・!?」
ウィルは慌てて距離を取るが、驚いた一瞬を突かれブルブレイヴからの追撃の拳の一撃を逆に受ける羽目になってしまった。
「ぐぅぅっ・・・!」
「フロストレイン!!」
更なる追撃をしようとしたブルブレイヴにデュオが頭上からの氷属性魔法の氷の雨を降らせウィルからの間合いを取らせる。
「げほっ・・・がふっ・・・! ハ・ハイヒール・・・!」
ウィルは応急処置として自分で治癒魔法を唱え傷を癒した。
たった一撃。ブルブレイヴの拳を受けただけで内臓破裂、肋骨の骨折と言った重傷を負っていたのだ。
向こうは無傷、こちら側は瀕死の重傷。あまりにも戦力に差がありすぎたのをウィルはこの一撃で理解してしまう。
「言っておくが無傷じゃないぜ? ほれ、ここんところ血が出てるだろ? 俺に血を流させるなんざ腕がいい証拠だな」
そう言ってブルブレイヴは交差して受け止めた腕を見せる。
確かに僅かばかりに傷がついて血が流れていた。
「そんなの掠り傷じゃねぇか・・・!!」
あまりにも馬鹿にしたブルブレイヴの言葉にウィルは怒りを滲ませる。
だが、ブルブレイヴにはそれだけ言う実力があるのだ。
「ストーンウォールをまともに受けたように見えるけど、それすら傷が無いのはどういう事かしら?」
「おお、あれな。まさか防御用のストーンウォールを変形させて攻撃に使うなんて面白い発想をするじゃねぇか。いいね、ああいうのを望んでたんだよ、俺は。
で、傷が無いって話だけど、まぁあの程度なら俺の鍛え上げた肉体に気合を入れるだけで弾いちゃうぜ。
あ、因みにスネークボルトも同じく気合で弾き返しました」
ならばさっきの雷の蛇による一瞬の硬直は何だったのか。デュオは思わずそう聞き返しそうになった。
ことも何気に言うブルブレイヴにとっては本当にこの程度の攻撃は些細な問題なのだろう。
ブルブレイヴのあまりの出鱈目さにデュオも戸惑いを隠せないでいた。
「おいおい、しっかりしてくれよ。折角俺がここまで出向いたんだ。楽しませてくれよ。
まだThe ChariotやThe Starの力を使ってないんだぜ。せめて使わせるくらい頑張ってくれよ」
つまりブルブレイヴはデュオ達の攻撃を防いだのは勇猛神としての鍛え上げた肉体のみだと言う事だ。
衝撃の事実にデュオ達はこれまで冒険者として生きてきた中で初めて恐怖に捉われそうになった。
確かにまだ一撃を放っただけでまだ攻撃手段はあるのだが、それがこの化け物に通じるのかと言う疑問が拭えない。
さらに神秘界の騎士としての力を使えばどうなるのかすら予想がつかないのだ。
このまま戦闘を続けるべきか、又は一端退却するべきか――
「ダイヤモンドミスト!」
そんな迷っているデュオ達を覆い隠すように氷属性魔法による霧が放たれ辺り一面が真っ白に染まった。
「お、おおっ!? なんだこりゃ!?」
流石にブルブレイヴもこれには驚きデュオ達を見失う。
「フルラージシールド・アイギス!」
続けざまに何やら戦技を放ったらしいが、霧に覆われた中ではブルブレイヴには何をされたのかは判断が付かない。
ただ歴戦の強者らしく、すぐさま立ち直りブルブレイヴは拳を腰だめに構え空に放つ。
その一撃は拳圧だけで発生した霧が吹き飛ばされる。
無論狙いはデュオ達が居た場所だ。
だが先程の戦技は盾戦技らしく、デュオ達が居た場所の前に巨大な盾が鎮座しており霧を吹き飛ばした拳圧はその盾の前に阻まれていた。
「ありゃ、逃げられたか? う~ん、他に協力者はいなそうだったんだけどなぁ・・・」
Judgementの『審判』にあった反応も2人だと聞いていたのでそれは間違いないはずだ。
もしかしたらまた別の要因で新たに1人増えたのかもしれない。
ブルブレイヴはその事を確かめるのと、逃げたデュオ達を追うために携帯念話でJudgementに連絡を取ろうとして――やめた。
Judgementの『審判』ならデュオ達の行方が直ぐに追えるのだが、それではすぐ終わってしまい面白くないと思ったからだ。
どうせなら狩りの様に獲物を追い詰めていくのもまた一興。
あっさり終えるよりも窮鼠猫を噛むように追いつめられたデュオ達が火事場の馬鹿力を発揮しブルブレイヴの予想を超えてくれることを願ったのだ。
「さぁて、何処に逃げたのかな、子ネズミちゃん」
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「ダイヤモンドミスト!」
辺り一面が真っ白に染まり、デュオ達は戸惑う。
ブルブレイヴに歯が立たない状態でまさかのブルブレイヴの増援が来たのではと疑ったからだ。
普通に考えればブルブレイヴの増援はJudgementしか居ない上、デュオ達の姿を隠すような事はしないのだが、今のデュオ達はそれには気づかない。
「フルラージシールド・アイギス!」
そして霧の中で放たれた巨大な盾でブルブレイヴからの追撃に備えた第三者はデュオ達の前に現れた。
「こっちですわ。今の内に逃げますわよ」
突然現れた第三者はこの場からの離脱を宣言し、霧の中を誘導していく。
デュオ達は躊躇うことなくその第三者へ付いて行き一度ブルブレイヴの前から撤退する事にした。
ブルブレイヴの追撃を警戒しながら戦闘区域から離れ、安全を確保したところで3人は一息を付いた。
「ありがとう。助かったわ、ローズマリー」
そう、デュオ達をあの場から助けたのは日曜都市へ共に潜入した七王神の1人、戦女神ローズマリーだった。
こうしてデュオ達を助けたと言う事はローズマリーは日曜創造神の記憶改竄の影響下に無いのではと思ったのだが――
「何処のどなたかは知りませんが、貴女方は馬鹿ですの? あのブルブレイヴ様に戦いを挑むなんて死ににいくようなものですわよ!?」
発せられた言葉はデュオ達を批難するものだった。しかもデュオ達の事を知らないようでもあった。
こうしてデュオ達を助けたのもローズマリーのただのお節介だったのだ。
「あー、えーと、そんなフルブレイヴからマリーは助けてくれたんだよな? ブルブレイヴに逆らってまで」
「ああ、そうですわ。わたくし何てことをしでかしてしまったのかしら・・・! 咄嗟のこととは言え、見ず知らずの方を助けるためにブルブレイヴ様に盾突くだなんて」
「どうもあたし達の事を分かってて助けてくれたみたいじゃないわね」
頭を抱えているローズマリーの姿を見てデュオは彼女も日曜創造神の記憶改竄を受けている事を確認した。
「今この日曜都市でブルブレイヴ様に戦いを挑む方は居ないのでどのような方々か好奇心で覗いてみたのですが・・・貴女方の姿を見て、何故だか分からないのですが助けなければと思ってしまったのです。
今となっては盛大に後悔していますわ・・・」
どうやらただのお節介だけではなく、ローズマリーの中の何かが動いたらしい。
記憶を改竄されても魂に刻まれた仲間の絆がデュオ達を助けろと訴えかけたのか。
ともあれデュオ達はローズマリーのお蔭で窮地を脱する事が出来た。
「とは言え、このまま逃げ回ってって訳にもいかないよなぁ・・・」
「そうね。Judgementの『審判』があれば一発で見つかるだろうし、ブルブレイヴも直ぐに連絡を取ってあたし達の居場所に駆けつけるわね」
「かと言って今のままじゃブルブレイヴとの再戦は確実に負けちまう」
「何か手を打たないと詰んじゃうわね」
ブルブレイヴに歯が立たなかったにも拘らず、デュオ達は諦めずにその対抗手段を得るべく考察していく。
その様子を見ていたローズマリーは思わず呆れてしまう。
「貴女方・・・まだブルブレイヴ様と戦うつもりでいますの? 全く歯が立たなかったと言うのに」
「全く、と言うのは訂正してもらいたいなぁ。確かに極限まで鍛え上げられた肉体は厄介だが、全く通じなかったわけじゃないしな」
「あたしもあれが全力の魔法じゃないし。あたしがやったのはあくまでウィルの援護だけだしね」
確かに何をしても通じなそうなブルブレイヴの前に恐怖に捉われそうになったが、一度引いた今は何とか冷静さを保つことが出来た。
そしてその冷えた頭で考えるのは、何をしても通じないのなら何をやってもいいだろうと言う無茶苦茶さと、ここで諦めたら全てが終わり無駄になると言う後には引けないなら前のめりで行こうと言うものだった。
「ローズマリーも一緒にブルブレイヴと戦うんだから対抗する手段を考えてよ」
「何故にわたくしがブルブレイヴ様と戦う事になりますのっ!? と言うか、何故わたくしの名を知っていますの!?」
「はっはっはっ、もう俺らに関わった時点でマリーもブルブレイヴに敵認定されてるぞ。諦めな。
名前に関しちゃ今更だな。マリーは覚えてないだろうけど、俺らは仲間なんだぜ」
ローズマリーはデュオ達の言葉に眩暈した。咄嗟のこととは言え、助けるべきじゃなかったと。
だが、ウィルのセリフには引っかかるものがあった。ローズマリーがデュオ達の仲間だと言う事に。
ローズマリーの記憶によれば長年日曜都市で冒険者として活動しているが、デュオ達と一緒に居たことは無いはず。
ローズマリーは『審判の標』に所属しているが、デュオ達の事を見かけた事すらない。
仮に所属ギルドが違っていてもデュオ達程の腕なら噂くらいは聞いているはずだ。
なのに何故か一切の情報が無いのだ。
それは今日1日で嫌と言うほどの違和感を覚えていたことに繋がる。
「・・・仲間かどうかは置いておくとしまして、ブルブレイヴ様には釈明させていただきますわ。わたくしは敵ではありませんと。
その為には貴女方と行動を共にさせて頂きます。その方がブルブレイヴ様に直ぐにでも会う事が出来そうですので」
「これってツンデレって言うんだよな?」
「そうね。ツンデレね」
なんだかんだ言いつつもローズマリーがデュオ達と行動を共にすると言ったのは、2人の事が心配だと言うのに他ならない。
「な、何を言っておりますの!? 貴女方は立派な反逆者なのですわよ!?」
顔を赤くしつつもローズマリーはデュオ達が心配だと言うのは否定しない。
ローズマリーと言う戦力が増えたことは喜ばしいものの、ブルブレイヴを撃破すると言う具体的はプランは未だ見出せないでいる。
そんな中、周囲が騒がしいのに気が付いた。
「ねぇねぇ、向こうでブルブレイヴ様が戦っているって!」
「ほんとか!? うわぁ見て見てぇな!」
「ダメよ! ブルブレイヴ様の邪魔をしちゃうわ」
「え~、いいだろ~。ブルブレイヴ様が負けるなんてありえねぇよ」
「そうだ! そうだ!」
「それでもダメよ! 不死身の勇者様のお話もあるんだから万一の事があったらどうするのよ!」
「「「ぶーぶー!」」」
見れば子供たちがデュオ達が逃げてきた方向を向いて騒いでいた。
男の子2人と女の子1人がそちらへ行こうとし、もう1人の利発的な女の子がそれを阻止している。
見れば子供たちだけではなく、街の騒動に衛兵も駆け巡っていた。
どうやらデュオ達の戦闘は街中で噂になっているようだ。
元々Judgementの『審判』の捌きにより日曜都市全体で2人の神秘界の騎士が出張るようなことはほぼ無くなっている事を考えれば、今のような騒ぎはあっという間に広がるだろう。久々に現れた日曜創造神の敵対者として。
「不死身の勇者様?」
だがデュオが気になったのは子供たちの会話の中にあった「不意地味の勇者様」だった。
「確か子供たちに語られる一種の戒めのおとぎ話ですわ」
そう言ってローズマリーが語った内容は、居たって平凡な英雄譚だった。だがその結末はハッピーエンドではなくバッドエンドである。
あるところにどんなに傷ついても死なない勇者が居たそうだ。
心の臓を貫いても、首を斬りおとしても、火で炙ろうとも勇者は死なない。
勇者は世界中を旅し、魔物を次々屠り窮していた村を助けていく。
そしてついには魔王の最強の配下である邪悪竜すら倒すのだ。
だがそんな勇者にも唯一の弱点があった。
それは勇者が持つ勇者の剣。それが勇者を殺すことのできる唯一の弱点だった。
すっかり自分に敵は無いと驕った勇者は生き残った魔王の配下に勇者の剣を奪われ殺されてしまう。
これはどんなに強くても驕ってはいけない、また威張り散らしてもいけないと言う子供たちに戒めを込めたおとぎ話だと言う。
この話自体はデュオ達も薄っすら覚えていた。
覚えていたと言うのは弊害があるかもしれない。何故なら日曜創造神の記憶改竄の中に刷り込まれていたものだから。
そしてデュオはこのおとぎ話を聞いてブルブレイヴの攻略法を見つけ出した。
「そうよ、どうして本物の武器が飾られているのかと思ったらブルブレイヴの対抗手段の為なのね」
「は? 何の事だ?」
「ほら、あの銅像の事よ。あの勇者の像や戦士の像の!」
「ああ、あれか。って、そう言う事か!」
何を言っているのかと首を傾げていたウィルは勇者の像の事を言われ、デュオが何を言わんとしていたのかを理解する。
すなわち不死身の勇者のおとぎ話に出てくる勇者がブルブレイヴで、勇者を殺した勇者の剣が各銅像に飾られている武器なのだ。
つまり各銅像の武器があればブルブレイヴを倒すことが出来る。
「あの、盛り上がっているところ申し訳ないのですが、あまりにも露骨すぎませんか?
これ見よがしにここにブルブレイヴ様を倒す手段があるぞ、と言うのは」
だがローズマリーはそのあまりにも分かりやす過ぎる導きにこれは罠ではないかと異を唱えた。
そもそも自分を倒す手段を用意すること自体がおかしいのだ。罠だと疑うのは当然だ。
「いや、それは無いな。あのブルブレイヴの性格だと楽しむ為に自分を倒す手段を敢えて用意しているんだろ。
向こうが用意した手段に縋らなければならないのは屈辱だがな」
「楽しむって・・・下手をすれば自分が倒されてしまうのにですか?」
「その倒されるかもしれないってのも程よい緊張感を生むためのスパイスなんだろう。
もし本気で俺達を倒すつもりがあったんなら最初から全力で神秘界の騎士の力も使ってきただろうよ」
「そう言う事よ」
ほんの僅かな邂逅だったが、ブルブレイヴの性格は大よそ把握していた。
ブルブレイヴの目的は至って単純だ。戦いを楽しむ。これに尽きるのだ。
デュオとウィルのそう説明されたが、ローズマリーはブルブレイヴの思考回路を理解できなかった。と言うか理解したくなかった。
「まずはこの区画にある銅像からと言いたいところだけど、今は騒ぎが大きくなり過ぎているわ。
最初の勇者街に戻って先に勇者の像から剣を拝借するわよ」
「了解」
「言っておきますけど、わたくしは釈明する為に付いていくだけですからね」
デュオ達は来た道を戻って最初の区画――デュオ達が住んでいた勇者街へと向かう。
道中、久々に現れた日曜創造神の反逆者に街中は湧いていた。
まぁ、どちらかと言うと反逆者ではなく、それを退治するブルブレイヴの出現に賑わっていたと言うのが正しいが。
ほどなくしてデュオ達は勇者街に戻り、目的の勇者の像の前に辿り着く。
「この剣がブルブレイヴの対抗手段ね。ウィル、早速拝借するわよ」
「おう、って、む? 結構がっちり固められているな。どうやってとるんだ? もしかして銅像を壊さないとダメか?」
ここに盗賊でもいれば簡単に仕掛けを見破り取り外すことが出来たのだが、いかせんデュオ達の中には盗賊の技術を持ち合わせている者は誰も居なかった。
ウィルは銅像によじ登りあれこれと弄り回すがどうやっても取れず、最終手段として銅像を破壊してでも剣を取ろうとした。
だが運の悪い事に、巡回中の衛兵たちに見つかり不審人物として目を付けられてしまった。
「おい貴様らそこで何をしている!」
「直ちに銅像から降りてこちらの指示に従え!」
そうは言われてもはいそうですかと従う訳にはいかない。
この剣の入手いかんではデュオ達の今後が決まるのだ。
「ウィルはそのまま像を破壊し出でも剣を手に入れいて。
その間にあたしとローズマリーで衛兵を抑えておくわ」
「ちょっと待って下さい。わたくしまで勘定に入れないで下さいますか? わたくし犯罪者になりたくはありませんので」
「あたし達と一緒に行動している時点で既に手遅れだと思うけどなぁ・・・
まぁいいわ。じゃあローズマリーは他にウィルの邪魔をする奴が居たら排除をお願いね。
あたしが衛兵を押さるわ」
そう言ってデュオは静寂な炎を宿す火竜王を構え、穏便に制圧しようと呪文を唱えようとしたが、新たな出現者に目を奪われ慌てて警戒を最大限にする。
「おい、貴様ら逆らうの―――」
「大人しくしないのなら―――」
衛兵の背後に現れた者から首に手刀を浴びて衛兵の2人は倒れる。
その者は人の形をしているが明らかに人間ではなかった。
表現としては人の形をした光と言った方がいいのか、全身が薄っすらと光っている。
唯一の特徴は目の位置にあたるところに2つの緑色の宝石が嵌められている事だった。
光の男は明らかにデュオ達を狙っており、敵であるのに間違いはない。
「何者? って、聞くまでも無いわね。出来れば名乗ってほしいところだけど、どうやら答えてくれそうには無いみたいね」
日曜創造神に居るのはブルブレイヴとJudgementだけだ。
ならばこの光の男はJudgementなのだろうか。
デュオは改めて光の男に戦闘意識を集中し、呪文を唱える。
次回更新は3/10になります。




