第6話
*(採血したお姉さん)*
血が動く。そして光る。
明らかに異常。誰がどう見ても異常。
そんな不思議な血を持つ少女が、私の目の前にいる。
あまりの異常さに恐怖すら覚え、つい叫んでしまった。
目の前にいる少女は何者なのだろう。
嫌、そこを詮索するのは警察の仕事だが......
最初、私はこの子を見たときは、ただの好みの女の子としてみていた。だが、この人は女の子、嫌、人としての枠組みに入れるのはだめなことなのかもしれない。
怪物、変異体、神、あるいは神に与えられた者。
好奇心と恐怖が共存するぐちゃぐちゃとした感情。
今、私はどんな顔をしているのだろうか。
*(夜目)*
僕は直感で橋田という生徒の家へ訪ねた。
刑事の勘といったやつだろうか、こいつは何かを隠していると、会った瞬間にわかった。
ただの女性、あるいは男の娘にしては佇まいが戦いを知る人のそれだ。
闘い慣れした警察、あるいはヤクザのそれだ。
その証拠に、手にはマメがある。
TS病に何か特殊な力があるとしたら、ズルヴァンを名乗る女はこいつなのでは、なんて考えていた。
そう。こいつはもしズルヴァンではなかったとしても、そのまま放置するのは危険な存在だ。
たった今確定した。
こいつは人間ではない。
というか、現在の日本の科学兵器が通用するかわからない。
もしかしたら、生物兵器とかそういった類なのだろうか、
個人的な趣味とか、優先している場合ではない。
最悪日本がひっくり返るぞ...
こいつは危険監視対象か重要保護対象かどっちだ?
*(樹)*
いやーやっちまった。
想像以上に頭おかしい反応を血液が示してしまった。
こりゃバレたか?
いやーバレなかったとしても大変なことになっちゃうなー
最悪細胞とか採取されるだろ、これ、マスコミとかも大量に来ちゃって...
いやー人気者はつらいぜ...
そーいえば、この2人はどうしたんだろう。ずっと固まっている。
「あの...大丈夫?」
「「嫌、大丈夫なわけないでしょ?!」」
そろって返事された...
「だって、血液が動いてるんだよ?!さすがに異常だよ?!」
「お前はいったい何者なんだよ?!TSってなんなんだ!そんなに体の構造が変わるものなのか?!」
質問は一つずつにしてほしいかもです。はい。
「嫌、知りませんよ。TSしたばっかですし。」
「そ、それもそうなのか?」
「それにしたっておかしいよね...」
「ちょっともう少し協力してもらうよ?」
「あーやっぱか...」
ダルッ!!
「ちょっとだけ、細胞一つだけ取らせてくれる?」
「怖ッ!」
「大丈夫だよ。痛いのは一瞬だけだから。」
「その一瞬が嫌なんだよ?!」
しょうがねえなぁ...
同じくらいエネルギー込めるか...
【最適化】....あ、ちょっとまずい。
触手が...出てくる。まずい。
あれだ。感覚的には便器に座って糞我慢してる時のそれだ。
特別きついわけじゃないけど気持ち悪いアレ。
さっさと細胞とってくれぇ...
触手を抑えるのに必死になっていたら、部屋の奥から異常なほど大きい、でも繊細なごついマシンが出てきた。
え?これ使うの?大きくない?さすがに。
私はさすがに目をつむった。
怖いもの。
チクッとした感覚に再び襲われた。
やはり特別痛くはなかった。
目を開けると、お姉さんは顕微鏡とにらめっこしていた。
「スゴッ、嫌、すごいで済ませたらだめだ。これ、分裂して増殖してるよ。細胞。」
あれか、細胞を見ているのか。
じゃあ、もう最適化は解除しておこう。
「あ、分裂が止まった...」
え?そっちも普通の細胞に戻ったの?
お姉さんは、次にパソコンが置いてある席に座った。
記録をとっているようだった。
「細胞を採取しただいたい30秒ほど、分裂と再生、増殖の反応が見られたが、しばらくしたら反応が停止、体からエネルギー体を得て細胞が再生していると仮定。っとぉ...ありがとうねぇ...えっと樹ちゃんだっけ?」
「あ、はい。」
ひと段落ついたようだ。
さすがに帰らせてもらおう。
疲れた。
なんで、細胞を採取されるなんて、少しSFっぽいことをされないといけないんだ。
嫌、TSも十分SFか...............




