第2話
気がついたら姉の胸に顔を埋めていた。
息が苦しい。
甘い匂いが頭の中を溶かしていくようだ。
できるならずっとこのままでいたくらい、心地が良かった。
窓から日光がチラチラと見える。
もう朝なのだろう、もし今姉が起きたら、俺は夜中にベッドに潜り込む変態紳士になってしまう。
もう少し堪能したら、自分の部屋に戻ろう。
「あれ、樹くんちゃん?」
起きちゃったよ。
名残惜しいが、さっさと起き上がるとしよう。
........起き上がれない。
姉がガッチリと腕と足でホールドしている。
柔らかい感触が全身に押し付けられる。
ダメだ。意識すると危険なやつだ。
私がまだオトコだったら、私のオトコがオトコしちゃうところだぜ...
「まだ、起きちゃ駄目だよ。」
ゆっくりと、猫なで声で指示をされた。
......下着変えたほうが良いかな
取り敢えず、こういった時って抱き返したほうが良いのかな?
クソッ!ツイてないのが恨めしい.......
そんな事を考えていたら、急に扉が開き、母の声が聞こえてくる。
「コラッ芽依、そろそろ起きなさ.........」
扉はゆっくりとしまった。
「ちょッ!!」
***
姉と一緒にリビングに行くと、両親はもうテーブルに座っていた。
父と目が合うと、
「昨晩はお楽しみでしたね?」
馬鹿野郎....ッ!!
「お父さん!!たいしたことはしてないよ!!」
「そ、そうだよ!!」
「まだ。」
「これからもする予定はないからね?」
姉は本気でショックを受けた顔をした。
そんなに?
姉の思考がわからない。
机に座り、トーストにハチミツをかけ、齧る。
「あっま」
甘さに頬が緩む。
おいしい。
「樹くんちゃんが笑っている?!ご飯が進むぅーーーーッ!!」
私を副菜にしている?!
私も対抗しておこう。
よく考えたら姉も美形なんだよな......気弱系の女子だから....最高だぜ。
ご飯が進む進むぅぅぅーーーーーーーーーーーッ!!!
......ま、パンだけどね。
***
私は今、近所の公園にいます!!
.........学校をサボって。
「だって、性転換した後に学校に行くほど、私は図太くないよ!!」
虚空に向かって言い訳をしていると......
「お母さん、あのお姉ちゃんってなにいってるの?」
「シッ見ちゃ駄目よ!!」
バッチリ聞こえてるんだけど..........
「お母さん、なんであのお姉ちゃんないてるの?」
「さっさと行くわよ?!」
逃げられた........
悲しい.....幼気な少女アピールしていただけなのに.......
ま、まあ、そんなことは置いといて............
オマケに関してはもうなんか、何ができるのかはわかる。
頭に刷り込まれている。
【変装】と【最適化】だ。
うーん、この響きよ。
【最適化】とか、生物兵器みたいな響きだよね。
まず試したいのは変装かな。
何かしらの方法で顔を隠したら発動可能になるらしい。
手のひらで顔を隠して、
「【変装】」
........体感、何も変わった気がしない。
顔をペタペタと触ると.....やはり何も変わっていない。
なんだ、ただの夢か。
「はぁ.....」
近くにあったベンチに腰を下ろすと、髪が揺れ、視界に入る。きれいなしっとりとした黒髪。
...違和感を覚えた。そう、私の髪は金髪のはずだ。自分好みのロリっ娘に興奮していたのも覚えている。
髪の色が変わった。
「.......いやしょぼいよッ!!」
もうちょっと劇的に変わったりしないのだろうか、
いや、違うな、今のは私に問題があった。
そうだ。使い方が違うんだ。
変装後の自分の姿を明確に思い浮かべないと。
獣耳獣耳獣耳獣耳獣耳..........
「【変装】」
....頭の上とお尻に温かい感覚が生えた。
恐る恐る頭の上に手を置くと......
「やったぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!」
私の長年の夢は叶った。
ひゃっほい。
「ねえねえお母さん。なんであのお姉ちゃんは『さっさと行くわよっ!!』――はーい。」
***
変装の能力は確認できた。
問題は最適化だ。
相変わらず生物兵器みたいな名前をしてらっしゃいますが、発動方法は単純に意識するだけでいいらしい。
.......どっかのアメコミの鉄男なヒーローみたいに寝てるときに能力(アメコミの鉄男ryの場合はスーツ)、暴走しないだろうな?
その効果は形状だけでなく、性質すらも自分の思うがままに変えたり、環境に速攻で対応できたりするもの。
...つまり、頑張れば溶岩の中で1時間耐えることができる。
(デデンデンデデン)ごっこができるということだ。
いやー、金髪ロリが服を溶かしながら浴槽に体を沈めていくシーンは涙(意味深)無しでは見られなかった。
(閑話休題)
さて、【最適化】を発動させよう。
どんな体にしようか、
ふと、チラリと記憶の片隅から顔を出したのは、男の時に一番使ったイラストだ。
触手生やすか。あのてかてかしたピンク色のアレ。ピク●ブで何万回も見るアレ。
あれ絶対なんか変な液体だろ。
私は詳しいんだ。
さて、
形状変化、形状変化、形状変化..........
「ヒュッ冷たッ!!」
右の脇腹に何か液体が触れた。
温度は夏の中5分間放置した保冷剤くらいの冷たさだ。
右わき腹を見たら..............
ピンク色だった。
しかも、うねうね動いてる。
............今晩のお供は決まったね★




