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異世界闇金 ~元ヤクザ幹部、剣と魔法の世界で闇金始めました。~  作者: と゚わん


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夜明けの誓いと、蛇の呪縛

ドワーフ・マウンテンが轟音と共に崩れ落ちた後、俺たちは夜明け前の薄明かりの中、言葉もなくその光景を見つめていた。

鉱山は完全に土砂に埋まり、神嶺組の圧政と、「黄昏の蛇」の禍々しい儀式の痕跡は、地中深くに葬り去られた。

だが、俺たちの戦いは終わったわけじゃねえ。


麓の、かつてドワーフの隠れ里があった場所に、俺たちは新たな野営地を築いた。

解放されたドワーフたちは、最初こそ故郷と仲間を失った悲しみに打ちひしがれていたが、生き残った長老やバルガンを中心に、少しずつ気力を取り戻し始めていた。

俺たち柳瀬組は、彼らのために食料を調達し、傷の手当てを手伝った。ヤクザが慈善事業なんざ柄じゃねえが、こいつらは、俺たちと共に死線を潜り抜けた「戦友」だ。見捨てるわけにはいかねえ。


数日後、野営地の広場で、ドワーフたちの手によって、ささやかな、だが厳粛な弔いの儀式が執り行われた。犠牲になった同胞たちの魂を、山の精霊へと送るための、古くからの習わしらしい。

その場で、ドワーフの長老は、集まった全てのドワーフと、俺たち柳瀬組のメンバーに向かって宣言した。

「……我らドワーフは、この地で全てを失った。だが、誇りまでは失ってはおらぬ。柳瀬虎之介、そして柳瀬組の者たちよ。お前たちは、我々の同胞を救うために命を張ってくれた。この恩義、我らドワーフは決して忘れぬ。今日この日より、柳瀬組と我らドワーフは、血よりも濃い絆で結ばれた『兄弟』だ。お前たちの戦いは、我々の戦いでもある。この山の怒りと共に、必ずや神嶺組と、全ての悪しき者どもを滅ぼそうぞ!」

「「「オオオオオッ!!」」」

ドワーフたちの雄叫びが、夜明けの空に響き渡った。

こうして俺たち柳瀬組は、ドワーフという、頼もしい「兄弟分」を得た。


ベイルは、早速ドワーフの生き残りの鍛冶師たちと意気投合し、玄武が持っていた巨大な戦斧や、鉱山から持ち出せたわずかなオリハルコン鉱の研究に没頭し始めた。

「組長、こいつはとんでもねえ代物だぜ! ドワーフの技術と、この鉱石がありゃ、神嶺組の連中が持ってるどんな武器よりも強力なモンが作れるかもしれねえ!」

その目は、ゼニスで俺たちの武具を打った時以上に、ギラギラと輝いていた。


そんな中、俺はミリアと共に、玄武が死に際に残した言葉について考えていた。

『……氷川の小僧……奴は……蛇に……魂を……喰われて……』

「ミリア、どう思う? 氷川は、『黄昏の蛇』に操られているってことか?」

俺の問いに、ミリアは難しい顔で首を捻った。

「……断定はできません。ですが、『黄昏の蛇』は、古来より人の魂を操り、利用することに長けた術を使うと伝えられています。氷川という人物が、強大な力を求めるあまり、自ら魂を差し出したのか、あるいは、気づかぬうちに彼らの術中に嵌ってしまったのか……。いずれにしても、今の彼は、もはや私たちが知る人間とは別の、何か恐ろしい存在に変貌している可能性があります」


蛇に魂を喰われた人間。

もしそれが本当なら、氷川との戦いは、ただのヤクザの抗争じゃ済まされねえ、もっと厄介なもんになるかもしれねえな。


そんな時、ゼニスに残してきたロレンゾから、ゴードンが危険を冒して持ち帰った連絡が届いた。

『組長、ご無事と伺い、安堵しております。ゼニスは、組長の威光と、我々の活動により、少しずつですが落ち着きを取り戻しつつあります。しかし、神嶺組本隊の動きが活発化しているとの情報が入りました。氷川は、ドワーフ・マウンテンでの敗北に激怒し、残る全ての戦力を、大陸中央の「大障壁」付近に集結させている模様です。目的は、おそらく「ゲート」の確保と、そこを通じた大規模な増援、あるいは最終兵器の投入かと……!』


大障壁のゲート。計画書にもあった、奴らの命綱だ。

氷川の野郎、ドワーフ・マウンテンがダメなら、次はゲートを使って、一気に形勢を逆転させようって魂胆か。


「……行くしかねえな、大障壁へ」

俺の言葉に、ミリアも、ゴードンも、そして話を聞いていたベイルも、覚悟を決めた顔で頷いた。

ドワーフたちも、俺たちの新たな戦いに同行することを申し出てくれた。バルガン率いる数十人の屈強なドワーフ戦士たちが、柳瀬組の新たな戦力として加わることになったのだ。彼らは、故郷を奪われた怒りと、解放された喜びを胸に、神嶺組への復讐を誓っていた。


俺たちは、数日かけて傷を癒し、ベイルとドワーフたちが新たに鍛え上げた武具で装備を整えた。

それは、ゼニスで手に入れたものとは比較にならねえほど強力で、俺の新しい戦斧には、わずかながらオリハルコンが練り込まれ、ミリアの杖には、ドワーフのルーン文字が刻まれて魔力が増幅されていた。


そして、再び旅立ちの日が来た。

目指すは、大陸中央にそびえるという「大障壁」。

そこには、神嶺組の、そして氷川の、最後の切り札が待ち受けているはずだ。

「黄昏の蛇」の影も、ますます色濃くなってきている。


「いいか、お前ら。今度の喧嘩は、これまでのどれよりもデカいヤマになる。生きて帰れる保証なんざ、どこにもねえ。だがな、俺たち柳瀬組は、ここで引くわけにはいかねえんだ」

俺は、集まった仲間たち――ゴードン、ミリア、ベイル、そしてバルガン率いるドワーフ戦士たちを見渡し、最後の檄を飛ばした。

「氷川に、そしてこの世界を食い物にしようとしてる全ての外道どもに、俺たちの生き様を、ヤクザのケジメを、見せつけてやろうぜ!」

「「「オオオオオオッ!!」」」

柳瀬組とドワーフたちの雄叫びが、ドワーフ・マウンテンの麓に響き渡った。


俺たちの、最後の戦いが始まろうとしていた。

その先に何が待っていようと、俺は、この仲間たちと共に、最後まで足掻き続けてやる。

それが、この異世界で俺が見つけた、新しい「シノギ」であり、生きる意味なのかもしれねえな。

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