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スライム娘の恩返し~転生して錬金術師になった不遇外科医は尽くし系美少女と平和な生活を送りたい~  作者: 砂礫零
第5章 スライム娘の大変身

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第75話 してやられたのも悪くはなかった

5-14.(75話)

「まあ、信じないかもしれないが……」


 俺はソフィア公女とグロア女皇に、カラヴァノ(カゲ太郎)との会食からの経緯を、かいつまんで話した。


「―― で、最初は、俺たちは軍部長官を脅し、皇子とグロア女皇から手を引かせる計画だったんだが…… 結局カラヴァノ(カゲ太郎)はキレて軍部長官たちを全員砂に変え、義勇軍のボスらしき男に拾われて逃げた、ってわけだ」


「まあ……!」


 ソフィア公女が絶句し、グロア女皇はためいきをつく。


「以前から、カラヴァノは 『逆心をいだく部下など全員滅ぼせば良い』 と言っていましたからね…… そのような簡単な問題でしたら、どんなに良かったでしょう」


「まあ現実には、軍部長官含め4人が同時に消えるだけでも、大問題だよな」


「ほんとうに……」


 グロア女皇はもう一度、深々とためいきをついて俺を見た。


「で、ショービン…… 義勇軍のボスは、この件に関して、なにか言っていませんでしたか?」


「そういえば 『義勇軍はこの地を去るのでもう関係ない、好きにしろ』 みたいなことを言っていたな」


「なんって、無責任な……!」


 ソフィア公女が顔をしかめた。


「いくら、彼らがグロア様や皇子に危害を加え、脅そうとしていたと言いましても…… 証拠もなしに滅ぼしてしまっては。上手に立ち回らなければ

、こちらが悪者になってしまいましてよ?」


{ほんとに、ひどいのです!}


 イリスがぷるぷると震える。

 グロア女皇は無言でこめかみを押さえ、3度めのためいきをついた。

 ―― まあ、グロア女皇がしっかりと義勇軍やカラヴァノを御していれば、こうはならなかっただろうから…… 女皇が力不足だった面も、もちろんある。

 だが、俺にも、カラヴァノが後先(あとさき)考えずに暴走するとは思わず、一緒に計画練っちゃった責任があるんだよな……

 なら、俺が提案できることは1つだ。


「―― ともかくも、グロア女皇は事件を徹底解明する姿勢を見せたほうがいい」


「わかっています」


「そこで、だ。とりあえず、俺を被疑者として拘束しておいて、カラヴァノの逮捕に動くのは、どうだ?」


{「「…………!?!?!?」」}


 イリス、グロア女皇、ソフィア公女の3人ともが、びっくりした顔を俺にむけた。

 ―― 間違ったことは、言ってないつもりだが?


「リンタロー、熱でもありまして!?」


 ソフィア公女の手が俺のひたいに伸びる。

 {はぅわっ!?} と、イリスがへんにあわてた声をあげた。


{あっ、なんでもなくてっ…… ううぅ、リンタロー様! とにかく、牢屋はダメなのです!}


「と言ってもな。俺も、カゲ太郎(カラヴァノ)と計画立てた責任があるし」


{リンタロー様が牢屋に入るのなら、わたしも一緒に入るのです!}


 ぷるんっ

 イリスが俺に抱きついて、グロア女皇をきっ、とにらんだ。


{さあ! 連れていくといいのです! わたしとリンタロー様は、ぜったいに引き離せないのですから!}


「…… 落ち着いてくださいな、イリス様」


 グロア女皇が深々と息をついた。


「リンタロー様もイリス様も、私と皇子の恩人です。逮捕など、させません」


「いやそれだと、グロア女皇の立場が」


「いま、私が切るべきは…… ォロティア義勇軍の、ほうです」


 水色の瞳に、並みならぬ決意をたたえて。

 グロア女皇は、そう言いきった。


「そしてこの機会に、軍部を改革し皇帝に忠実な組織に変えるのです」


 ―― その後のグロア女皇の動きは、見事というほか、なかった。

 血液検査の結果、グロア女皇にはやはり、ジギタリス (この世界では 『悪魔の指(ディアブフィン)』 というらしい) の毒が盛られていたことが判明。10日ほどの療養を経て復帰したわけだが、その後すぐに、2つの情報を同時に公表 ――

 2つの情報とはすなわち、グロア女皇が倒れ、その血液から毒が検出されたことと、軍部長官と使用人3人の行方不明のことだ。

 そして、()()()()()()に復帰した女皇は、行方不明の軍部長官に代わり、臨時の総帥権を得た。

 それからさらに10日後 ―― 3人の使用人たちの部屋と軍部長官の執務室から、()()と 『悪魔の指(ディアブフィン)の毒』 が見つかったことを公表。

 ―― その頃にはもう、宮廷内には 『軍部長官たちは女皇に毒を盛り、危害を加えようとした反逆者であり、捕まるのを恐れて姿をくらました』 という噂が、あたかも真実であるかのように、流れていた。

 具体的なことはなにも発表していないにも関わらず、情報を出すタイミングを操作することによりグロア女皇は、人々に()()()()()()()()()()()()()()()()のだ。

 さらにその後、長官たちはォロティア義勇軍に惨殺されたことを発表。

 グロア女皇は 『たとえ逆心を抱いていたとしても、私の臣下には違いありません』 と憤ってみせ、ドゥート皇国内にあったォロティア義勇軍本拠地に制裁をくだした。

 実質は義勇軍はすでにこの地から撤退しており、事情を知っている俺たちから見れば、明らかに出来レースなわけだが……

 この制裁の成功と 『己を殺しにかかった臣下のために弔い合戦をした不死身の皇帝』 という評価でもって、グロア女皇は軍部の総帥権を永久にもぎとることに成功 ――

 もちろん、そのための根回しが事前にしっかりとできていたからこその成功でもある。

 ―― このときに備えて、これまでグロア女皇はパーティーを頻繁(ひんぱん)に開き、ひそかに反軍部の人脈をがっつり築きあげてきたのだ。


 

== なろう版はここまでです ==

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