第103話 合体したのだった
地面を揺らし、膨大な魔力が、迫ってくる。
見えない壁に高速で押しつぶされそうになる…… そんな感覚だ。
本能で危険を感じたときには、もう遅い……!
―― それでも俺は、避けようとした。
こんなところで死ぬわけには、いかないからな。
数秒後 ――
俺は 「あれ!?」 と間抜けな声をあげていた。
いきなりの強力な魔法攻撃に晒されたにも、関わらず。
痛みはないし、何度、見直しても俺の手足は無事だ……
「嘘だろ。なんで、よけきれたんだ俺!?」
『結界を張ったんですよ』
とつぜん。
金属をこすりあわせたような独特な声が、俺の脳内に直接、響くように割り込んできた。
これ、龍化したミア…… だよな?
「ありがとう、ミア…… でも、どこにいるんだ? ミリンは?」
『ごちゃごちゃ言うな! ともかく反撃だ、リンタロー!』
ミリンの声まで、脳内に聞こえてきた、と思ったら……
―― 俺の腕は、自然に肩の高さに上がっていた。
手のひらは無造作に、さっき攻撃をしかけてきた、敵のいるほうに。
『ミリン、やめなさい!』
『いっけぇぇぇぇえ!!!』
ミアの静止を無視したらしい、ミリンの号令に従って ――
色のない、超高温の炎が、俺の手のひらから放たれる……!
「いや物理的に無理でしょ!?」
俺のツッコミに、ちっ、という鋭い舌打ちがかぶった ――
この舌打ち、ミリンじゃなく、敵のものだな……
失敗するとは考えてもいなかった、急襲が失敗。そのうえ反撃までくらって、苛立ってるんだろう。
ちょいザマァだな……
などと浸っている暇は、もちろんない。
まもなくすれば。
第2撃が、くるかもしれない……!
―― 俺は攻撃に備え、身構える…… だが。
「あれ? おーい? どうした?」
敵の気配は、完全に断たれてしまっていた。
―― ミリンの攻撃が、成功したのか?
それとも、逃げられたのか……?
『どうやら、敵は逃げたようですが…… 追いますか?』
『追うぞ、リンタロー! あんな小物、いくら人間のカラダでも、すぐに追いつける!』
ミアとミリンの声が、ふたたび俺の脳内に響く。
「ちょっと待て! どういう状況だ、いま!?」
俺はチート能力で出した懐中電灯をつけ、周囲を見回した。
オーエド城の地下に、こんな洞窟があったとは ――
12、3mはありそうな高い天井と、ゆったりと流れる幅広の川 ―― 水が青みがかって、おそろしいほどに澄んでいる。おそらく、地下水なんだろう。
川沿いに奥へと続く道と滑らかな岩壁は、黒っぽい石でできている。ただ、黒っぽいだけじゃない。
懐中電灯の明かりを反射して、ところどころ青や緑にきらめいている。
先ほどの戦闘のあとは、まったくない…… ずいぶんと頑丈な鉱石なんだな。
そして、懐中電灯の明かりをどこに向けても ――
ミアとミリンの姿が、見えない。
俺は、つい大声を出していた。
「ミア! ミリン! どこだ!?」
『ここですね』 『鈍いな、リンタロー!』
ふたりの声がふたたび、俺の頭のなかに響く……
== なろう版はここまでです ==
リンタローがはじめて、ヒーローらしい細マッチョに!?
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