第101話 潜入作戦を開始した
{ほらっ、この髪の毛が揺れるときのツヤが、証拠なのですよ……! こう、濡れたようにキラキラリン、と光るのは、まさしく両親ズの特徴なのです……!}
「ほう! そうなのか!」 「ちょっと私には、わかりづらいですね……」
真剣に主張するイリスに、竜神族の親子は、それぞれの反応を見せる。
俺はといえば、ミア寄りか……
わかってあげたいが、正直、さっぱりわからん。スライム特有の感覚なんだろうな、きっと。
{実際に会ってみれば、すぐにわかるのですよ!}
「それはそうだが」 「会えますかね」 「寝こみを襲えば、確実だな!」
ミリンに運ばれて、リエンタ山脈のなかに逃げこんだあと ――
俺たちは、山のなかで一夜を明かしていた。
いまはちょうど、簡単な夕食を済ませたところだ。
―― 夕食の準備は携帯用コテージと簡易キッチンを出し、興味津々なミアとミリンに味噌汁の作り方を教えたりしながら行った。
イリスは相変わらず味噌の醸造と米の釜炊きに熱意を見せてくれ、おかげで、食事は竜神族もビックリ、激ホメてくれる出来のものになった ――
そして夕食後。
俺たちは文字どおり額を寄せて、オーエドのショーグンと愛人(?)が写された画像をチェックしていたのである。
(ここでやっと冒頭の会話だ)
けど…… かなり画像を拡大しても、ショーグンたちがイリスの両親とは言い切れないのでは、と俺は思う。
「イリス。スライムだってわかるの、髪の毛だけか?」
{いちばん、わかりやすい特徴だと思うのです! ほかは、皮膚のハリツヤですとか、弾力ですとか…… もしかしたら、わたしでないと見分けがつかないかも、な感じです!}
「うん、たしかにな…… 俺には、さっぱりだ」
「すみません、私も」 「面目ない! 余もだ」
ミアとミリンにも、まったく見分けがつかないらしい。
結局のところ ―― 真実は、イリスでないとわからない、か……
だが、イリスが言うのなら。
本当に 『いまのオーエドのショーグン = イリスの両親』 で、間違いないんだろう。
明日はまず、イリスの両親と再会を果たし、ショーグンに変身している理由をきくことになりそうだ ――
そんなことを考えながら、俺はイリスと一緒のベッドで眠りについたのだった。
次の日の夜 ――
〔ヘイ、マスター! オーエド城のマッピング、できたねー!〕
ウィビーが、くにゃんと身体をそらして、自慢げに言った。
その画面には、かなり精緻なオーエド城の地図が表示されていた。
しかもストリートビューつきで、かなり見やすい…… ウィビーがドヤるだけ、あるな。
{すごいのです!} 「うむ、前代未聞だな!」 「本当に……」
イリスも、ミリンとミアも、改めて驚いているな。
「さすがは俺の、ドローン蚊メラだ……」
〔マスター、ひどいのねー! ワタシもがんばったのねー! どーせ、どーせ、なのねー!〕
俺がつい、前世の最新鋭技術を搭載した超小型ドローンを先にほめると、ウィビーはちょっとだけ、いじけた。
「すまん、ウィビーもよくやった」
〔ォフコース! もちろんなのねー!〕
「まあ、ともかく。今夜のショーグンの寝所、どこかわかるか、ウィビー?」
〔ウェイトァミニッツ! ちょっと待つのねー! ショーグンの位置を、検索するのねー! …… できたのねー!〕
「はやっ」
〔イッツァピースォブケイク! かんたんなのねー!〕
ウィビーがふたたび、コンニャクみたいに身体をそらしてドヤる…… 画像、見にくいよ!
イリスがぷにゅっと首をかしげた。
{ここ…… お城の、メインの建物じゃないんですね? ショーグンとかがいるのに?}
〔そのとーりねー! ここは、ショーグン・イエツネの愛人のために、かなり前に新築されたのね! 通称、オツタ御殿ねー!〕
「よし、じゃあ、さっそく転移するか…… 《転移陣》」
俺たちの足元と、ウィビーが示すドローン蚊メラの画像。
両方に、大魔族の紋章を組み合わせた円陣が展開される……
俺は 《ヒツジさんの着ぐるみ》 を着て、その円陣に魔力を注いだ。
全身から力が抜けていくような、重だるさが次第に増していく感覚 ―― 膨大な量の魔力を使うからこそだが、いまだにちょっと心配になる。このまま、死にそうな気がして。
―― 転移が終わったら、すぐにポーションを飲まなきゃな。
「《転移》 開始」
転移陣から放たれる魔素が光となって俺たちを包み、スキャンし、魔素情報へと変換していく ……
数瞬ののち。
俺とイリス、ミア、ミリンの4人は、オツタ御殿の奥 ―― ショーグンとオツタの寝所にいた。
「《転移》 完了」
{すごいのです、リンタローさま!} 「いっぺんに我々まで…… やりますね、リンタロー」 「ふん、多少は、できるのだな!」
イリス、ミリン、ミアが口々に誉めてくれるなか、俺は 《ヒツジさんの着ぐるみ》 を脱ぎつつ、ポーションをあおる。
―― ふううう……
ウィンナー製造機(肉として)体験、今回も無事クリアできて、よかったな……
そして、そんな俺たちの前には ――
ネマキっていうのか? 白いキモノ姿のショーグン・イエツネと愛人のオツタが、寄り添ってこっちを見ていた。
驚いているのだろう。声ひとつ、たてない。
== なろう版はここまでです ==
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