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第99話 星の記憶(後)


 黒は、そこに“立っている”。


 影でもない。


 人でもない。


 ただ輪郭だけが、原脈の光を吸い込んでいる。



視聴者:1,242,002,441

【本体こわ】

【喋った】

【神様】



「これは滅びではない」


「星の呼吸だ」



 レインは一歩、踏み出した。


 蒼が足元に薄く滲む。


 攻撃ではない。


 接続のための紋様。



「なら、なぜ――人が消える」



 黒は即答しない。


 原脈の鼓動に合わせて、沈黙が一拍置かれる。



 ドクン。



「星は、均す」


「均衡が崩れれば、流路を再編する」


「その過程で、地表は書き換えられる」



視聴者:1,246,441,882

【均す=再置換】

【合理すぎ】

【でも人消える】



 黒の言葉には、善悪がない。


 ただ、手順があるだけだ。



 レインは歯を食いしばる。


「手順のために……文明を消すのか」



「文明が悪いのではない」


 黒の声は淡い。


「文明が生む偏在が、古い力を沈殿させる」


「使われなかった力」


「偏って溜まった力」


「歪んだ力」



 黒が指を動かす。


 原脈の光が線になり、空間に“図”を描く。



 渦。


 溜まり。


 詰まり。


 そして、臨界。



「臨界に達すれば、流路再編の為に再置換が起動する」


「それが星の代謝だ」



視聴者:1,251,002,441

【完全に自然現象界隈】

【でも人類は巻き添え】

【詰まりでリセットてか】



 レインは、問いを変える。


「じゃあ、お前は何だ」



 黒は一瞬だけ、止まった。


 “計算の間”のような沈黙。



「均衡化アルゴリズム」


「原脈深層で発生した、調整意志」


「再置換の発動管理」


「暴走抑制」


「破壊規模の最適化」



 淡々と並ぶ機能。


 それは名乗りではなく、仕様だ。



視聴者:1,255,441,882

【黒=システム】

【半自我】

【役割説明きた】



 レインは、もう一歩踏み出す。


「破壊規模の最適化だと?」



「大破壊を防ぐために、小破壊を起こす」


 黒が言い切る。


「局所戦争」


「局所崩壊」


「エネルギー消費の促進」


「臨界の先送り」



 言葉が、胸を抉る。


 あの戦争も。


 黒鎖の干渉も。


 全部――“ガス抜き”。



視聴者:1,259,002,441

【最悪の正義】

【黒の目的ヤバ】

【戦争はバッテリー消費】



 レインの蒼が、わずかに濃くなる。


「……それで、助けたつもりか」



「助けるという概念はない」


「均衡を維持する」


「星を維持する」



「人間は?」



 黒は、答えを変えない。


「星の上の現象」



 冷たい。


 だが、嘘はない。



 レインは、拳を開いた。


 蒼が揺れる。


 怒りと、理解が、同時にある。



「……なら、俺は別の方法を取る」



「別の?」



 黒の輪郭が、僅かに揺らいだ。


 それは初めての“反応”だった。



視聴者:1,263,441,882

【揺れた】

【黒が興味持った】

【ここ伏線】



 レインは言う。


「均すんじゃない」


「流す」



 蒼が、原脈の光へ触れる。


 奪わない。


 壊さない。


 繋ぐ。



「古い力は、吐き出せばいい」


「吐き出す場所がないから溜まる」


「なら、俺が作る」



 黒が静かに返す。


「……非効率だ」



「かもしれない」


「でも、壊さなくて済むなら、それでいい」



 原脈の鼓動が、一拍強まる。



 ドクン。



 黒の声が続く。


「過去にも、干渉個体はいた」


「結界で守ろうとした者」


「選別で残そうとした者」


「だが、どれも根本を変えない」



視聴者:1,268,002,441

【アルヴェルトと造形師?】

【黒は見ていた】

【やべぇ】



「お前は、違うと言うのか」



 レインは即答する。


「違う」


「俺は、核に触れて」


「俺を介して、外へ流せる」



 黒が僅かに首を傾ける。


「……三回目の解放か」



 知っている。


 この“星”は知っている。


 レインが二度、潜り続けたことを。


 三年と、二年。


 爆発の危険を抱えて。


 生成ダンジョンの中で、吐き出し続けたことを。



視聴者:1,272,441,882

【長すぎておじいちゃんになる】

【あと何回できるか】

【星に記録されてる】



 黒は言う。


「だが、今の臨界は過去最大だ」


「局所補正では足りない」


「均衡は崩れている」



 原脈の光が、一瞬だけ濁った。


 遠くで、別の流路が波打つ。


 まるで星が寝返りを打つように。



「再置換予測値、上昇」


「臨界まで――近い」



 レインが問い返す。


「どれくらいだ」



 黒が答える。


「……まだ確定ではない」



 その一言に、レインは気づく。



 黒が、初めて“曖昧”を口にした。



視聴者:1,277,002,441

【迷い!?】

【黒が確定って言わない】

【半自我】



 黒の輪郭が、ほんの僅かに揺れる。


 計算できないものがある。


 それは――


 レインの存在だ。



「お前の方法は、想定外だ」


「だが……」



 黒が、言葉を探すように間を置く。


 “迷い”だ。


 確かに。



 黒は沈黙する。


 原脈の鼓動だけが響く。



 ドクン。



 そして黒は、視線を上げた。



「確認する」



 次の瞬間。



 黒い鎖が、原脈の光から“立ち上がった”。


 ここが起点だ。


 鎖は地上で見たものより、遥かに太い。


 遥かに古い。



視聴者:1,281,441,882

【本丸の鎖】

【また縛られちゃう♡】

【太い】



 レインの周囲に、黒が球状に絡み始める。


 閉じ込めるためではない。


 “接続”のためだ。



「星の呼吸の中で、お前が何をするか」


「直接、観測する」



 レインは蒼を広げる。


 逃げない。


 引かない。



「見ればいい」



 黒球が完成する。


 闇が閉じる。



 レインの蒼が、闇の中で燃え上がる。



(第99話・完)

いつも有難うございます!ラストスパートです!

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