表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

100/105

第100話 観測


 闇。



 黒球の内部。


 外界の光はない。


 だが蒼だけが、静かに燃えている。



視聴者:1,285,002,441

【100話到達】

【真っ暗で何も見えん】

【耳をすませば】



 レインの足元から蒼が広がる。


 攻撃ではない。


 流路。



 原脈の微細な流れを、外へ逃がすための紋様。



 黒が、それを見ている。



「……始めたか」



 レインは答えない。


 蒼を深く沈める。



 原脈の圧が、黒球の内部に満ちている。


 濁った古い力。


 溜まりきった流れ。



 それを――


 少しずつ、逃がす。



 蒼が、吐き出す。



 ドクン。



 原脈の鼓動が、一瞬だけ整った。



視聴者:1,289,441,882

【お?】

【流れた】

【ガス抜きプー】



 黒の輪郭が、僅かに揺れる。



「……流量、変化」



 黒は沈黙する。


 計算している。



「局所臨界値」


「0.002低下」



視聴者:1,292,002,441

【効果ある】

【黒も驚いてる】

【細かい】



 レインが息を吐く。



 蒼の流路が広がる。


 さらに深く。



 だが、次の瞬間。



 ドクン。



 原脈の圧が跳ね上がる。



 流れが、暴れる。


 黒球が軋む。



視聴者:1,296,441,882

【反動】

【暴走】

【ゔぉぉぉ】



 レインの蒼が一瞬だけ乱れる。



 黒が言う。


「均衡が崩れる」



 蒼を、さらに広げる。


 黒球の内側に、蒼い網が張られる。



 逃がす。


 流す。


 削る。



 それでも。


 圧は強い。



 黒が、静かに言う。


「お前は」


「なぜ止めようとする」



 レインは即答する。


「そこに人がいるからだ」



 黒は理解できない。



「星の維持が最優先」


「文明は副次」



 レインは笑った。


「だろうな」



 蒼がさらに広がる。



「でも、俺は違う」



 黒が問う。


「なぜ」



 レインは言う。


「人間だからだ」



視聴者:1,301,002,441

【主人公回答】

【シンプル】

【でも強い】



 黒は沈黙する。



 計算。


 比較。


 過去の干渉個体。



 だが。



 レインの行動は、どれとも一致しない。



 破壊しない。


 封じない。


 均さない。



 流す。



 黒の輪郭が、わずかに歪む。



視聴者:1,304,441,882

【黒バグった】

【初めてのケース】

【アルゴリズム困惑】



「……可能?」



 黒が初めて言った。



 原脈の鼓動が、また一拍整う。



 ドクン。



 流量が、少し下がる。



視聴者:1,308,002,441

【効いてる】

【ガチで効いてる】

【星の呼吸安定】



 黒が言う。


「観測を継続する」



 レインは頷いた。


「好きにしろ」



 蒼がさらに広がる。



 その瞬間。



 原脈の奥で、巨大な波が生まれる。



 臨界。



 星の圧力。



 レインの目が見開かれる。


「……来る」



 黒が静かに言う。


「予測値上昇」



 蒼が爆発的に広がる。



 レインが叫ぶ。


「まだだ」



 流す。


 さらに。



 黒が、それを見ている。



 初めて。


 ほんの僅か。



 期待するように。



視聴者:1,312,441,882

【黒が期待してる】

【観測者モード】

【ガンバリスト】



 だが。



 圧は、まだ増え続けている。



 原脈の深層で、


 巨大な再置換の波が、ゆっくり広がり始める。



 ドクン。


 ドクン。


 ドクン。



 原脈の光が、急激に濁る。



 蒼の流路が、一瞬だけ押し戻された。



視聴者:1,314,882,441

【来た】

【臨界】

【ヤバい】



 黒が言う。


「再置換波、発生」



 遠く。


 光の河の奥。


 巨大な“壁”が立ち上がる。



 それは波だ。


 だが水ではない。


 星そのものの圧力。



 原脈の深層から、押し寄せてくる。



 レインの蒼が、軋む。



「……でかすぎる」



 蒼をさらに広げる。


 流す。


 逃がす。



 だが。



 圧が、桁違いだ。



 蒼が、逆流する。



視聴者:1,318,002,441

【逆流】

【止まらんま】

【レインピンチピンチ】



 レインの体が震える。



 原脈の圧が、


 直接、核へ流れ込んでくる。



 ドクン。



 蒼が、爆発的に膨張する。



 黒の輪郭が揺れた。



「……干渉値」


「急上昇」



 蒼が、黒球の内側を埋める。



視聴者:1,321,441,882

【暴走】

【キター】

【怖くない怖くない怖くない】



 レインが低く呟く。



「……流す」



 その声は、


 さっきまでの声ではない。



 原脈の波が、目前まで迫る。



 黒が、それを見ている。



 計算ではない。



 観測。



「……未知」



 次の瞬間。



 レインの視界が、蒼に染まる。



 その蒼は、


 もう――


 彼自身の色ではなかった。



 蒼が、原脈へ突き刺さった。



(第100話・完)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ