第100話 観測
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闇。
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黒球の内部。
外界の光はない。
だが蒼だけが、静かに燃えている。
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視聴者:1,285,002,441
【100話到達】
【真っ暗で何も見えん】
【耳をすませば】
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レインの足元から蒼が広がる。
攻撃ではない。
流路。
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原脈の微細な流れを、外へ逃がすための紋様。
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黒が、それを見ている。
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「……始めたか」
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レインは答えない。
蒼を深く沈める。
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原脈の圧が、黒球の内部に満ちている。
濁った古い力。
溜まりきった流れ。
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それを――
少しずつ、逃がす。
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蒼が、吐き出す。
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ドクン。
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原脈の鼓動が、一瞬だけ整った。
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視聴者:1,289,441,882
【お?】
【流れた】
【ガス抜きプー】
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黒の輪郭が、僅かに揺れる。
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「……流量、変化」
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黒は沈黙する。
計算している。
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「局所臨界値」
「0.002低下」
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視聴者:1,292,002,441
【効果ある】
【黒も驚いてる】
【細かい】
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レインが息を吐く。
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蒼の流路が広がる。
さらに深く。
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だが、次の瞬間。
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ドクン。
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原脈の圧が跳ね上がる。
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流れが、暴れる。
黒球が軋む。
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視聴者:1,296,441,882
【反動】
【暴走】
【ゔぉぉぉ】
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レインの蒼が一瞬だけ乱れる。
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黒が言う。
「均衡が崩れる」
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蒼を、さらに広げる。
黒球の内側に、蒼い網が張られる。
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逃がす。
流す。
削る。
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それでも。
圧は強い。
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黒が、静かに言う。
「お前は」
「なぜ止めようとする」
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レインは即答する。
「そこに人がいるからだ」
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黒は理解できない。
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「星の維持が最優先」
「文明は副次」
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レインは笑った。
「だろうな」
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蒼がさらに広がる。
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「でも、俺は違う」
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黒が問う。
「なぜ」
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レインは言う。
「人間だからだ」
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視聴者:1,301,002,441
【主人公回答】
【シンプル】
【でも強い】
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黒は沈黙する。
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計算。
比較。
過去の干渉個体。
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だが。
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レインの行動は、どれとも一致しない。
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破壊しない。
封じない。
均さない。
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流す。
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黒の輪郭が、わずかに歪む。
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視聴者:1,304,441,882
【黒バグった】
【初めてのケース】
【アルゴリズム困惑】
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「……可能?」
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黒が初めて言った。
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原脈の鼓動が、また一拍整う。
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ドクン。
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流量が、少し下がる。
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視聴者:1,308,002,441
【効いてる】
【ガチで効いてる】
【星の呼吸安定】
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黒が言う。
「観測を継続する」
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レインは頷いた。
「好きにしろ」
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蒼がさらに広がる。
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その瞬間。
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原脈の奥で、巨大な波が生まれる。
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臨界。
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星の圧力。
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レインの目が見開かれる。
「……来る」
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黒が静かに言う。
「予測値上昇」
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蒼が爆発的に広がる。
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レインが叫ぶ。
「まだだ」
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流す。
さらに。
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黒が、それを見ている。
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初めて。
ほんの僅か。
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期待するように。
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視聴者:1,312,441,882
【黒が期待してる】
【観測者モード】
【ガンバリスト】
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だが。
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圧は、まだ増え続けている。
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原脈の深層で、
巨大な再置換の波が、ゆっくり広がり始める。
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ドクン。
ドクン。
ドクン。
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原脈の光が、急激に濁る。
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蒼の流路が、一瞬だけ押し戻された。
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視聴者:1,314,882,441
【来た】
【臨界】
【ヤバい】
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黒が言う。
「再置換波、発生」
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遠く。
光の河の奥。
巨大な“壁”が立ち上がる。
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それは波だ。
だが水ではない。
星そのものの圧力。
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原脈の深層から、押し寄せてくる。
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レインの蒼が、軋む。
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「……でかすぎる」
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蒼をさらに広げる。
流す。
逃がす。
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だが。
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圧が、桁違いだ。
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蒼が、逆流する。
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視聴者:1,318,002,441
【逆流】
【止まらんま】
【レインピンチピンチ】
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レインの体が震える。
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原脈の圧が、
直接、核へ流れ込んでくる。
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ドクン。
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蒼が、爆発的に膨張する。
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黒の輪郭が揺れた。
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「……干渉値」
「急上昇」
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蒼が、黒球の内側を埋める。
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視聴者:1,321,441,882
【暴走】
【キター】
【怖くない怖くない怖くない】
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レインが低く呟く。
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「……流す」
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その声は、
さっきまでの声ではない。
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原脈の波が、目前まで迫る。
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黒が、それを見ている。
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計算ではない。
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観測。
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「……未知」
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次の瞬間。
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レインの視界が、蒼に染まる。
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その蒼は、
もう――
彼自身の色ではなかった。
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蒼が、原脈へ突き刺さった。
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(第100話・完)




