第98話 星の記憶(前)
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落ちている。
だが風はない。
重力もない。
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闇。
蒼が、かすかに足元を照らしている。
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視聴者:1,209,882,441
【宇宙?】
【深層きた】
【ここが原脈?】
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やがて、足が触れる。
硬さはない。
だが確かに“地面”。
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そこは、光で出来た大地だった。
脈打つ線が無数に走り、
それらが遠くで巨大な流れへと合流している。
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原脈。
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レインの蒼が、自然に静まる。
干渉ではない。
むしろ――
蒼が、この流れの一部のように馴染んでいく。
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ドクン。
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足元の光が波打つ。
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次の瞬間。
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視界が、反転した。
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◆ 第一の記憶
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空。
白い塔。
空を渡る巨大な船。
蒼い結晶で構成された都市。
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視聴者:1,213,002,441
【未来都市?】
【文明レベル高すぎ】
【これ過去?】
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街は繁栄している。
市場。
笑う人々。
子供の声。
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レインは気づく。
都市の下。
地面を走る巨大な紋様。
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都市全体が、原脈と繋がっている。
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「……利用している」
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文明は、星の力を借りている。
それは王都と同じ。
ただ規模が違う。
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だが――
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ドクン。
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原脈の鼓動が、急に強まる。
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都市とは無関係に。
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ドクン。
ドクン。
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レインの目が細くなる。
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「……違う」
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都市が原因ではない。
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原脈そのものが、脈打っている。
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限界が近い。
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次の瞬間。
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空が、白く裂けた。
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視聴者:1,218,441,882
【きた】
【再置換ちゃう】
【逃げろ】
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光が降る。
だが熱はない。
音もない。
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塔が、消える。
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崩れない。
砕けない。
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ただ、
存在が抜け落ちる。
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都市の一部が、空白になる。
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人々が光に溶ける。
悲鳴も残らない。
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やがて、
何もなくなる。
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そのあと――
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大地が、動いた。
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山脈が変わる。
川の流れが変わる。
海岸線が書き換わる。
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まるで星が、
地形を作り直している。
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視聴者:1,224,002,441
【文明消えた】
【星の再構築】
【代謝】
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やがて。
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森が芽吹く。
草原が広がる。
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何千年も後。
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そこにまた、
新しい文明が生まれる。
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◆ 第二の記憶
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別の時代。
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石造りの王国。
巨大な城壁。
戦争。
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原脈を奪い合う軍勢。
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火。
血。
略奪。
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視聴者:1,229,441,882
【歴史繰り返してる】
【人類変わってない】
【学ばない猿】
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だが――
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ドクン。
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再び、星の鼓動。
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戦争とは無関係に。
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空が、白く染まる。
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今度は、
もっと広い。
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王都が沈む。
山が削れる。
海が生まれる。
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そして、
また静寂。
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再構築。
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森。
草原。
新しい文明。
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何度も。
何度も。
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繰り返される。
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視聴者:1,233,002,441
【周期】
【自然現象?】
【文明は関係ないのか】
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レインの拳が握られる。
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「……再置換は」
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文明を滅ぼす為の現象ではない。
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星が、溜まった古い力を吐き出しているだけ。
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代謝。
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その途中に、
文明があるだけ。
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その時。
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背後から声。
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「理解が早いな」
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振り向く。
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そこに、黒が立っていた。
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仮面も鎖もない。
ただ黒い輪郭。
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視聴者:1,238,441,882
【本体】
【キター】
【蒼黒対話】
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黒が言う。
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「これは滅びではない」
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「星の呼吸だ」
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レインの蒼が、わずかに揺れた。
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(第98話・完)




