第83話 紋様は静かに広がる
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最下層の空洞。
原脈が、透明な脈動を刻んでいる。
その前に立つ軍務卿は、まだ余裕を崩していない。
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視聴者:614,882,441
【始まる】
【相手まだ舐めてる】
【蒼来い】
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「王都を荒らす鼠風情が」
軍務卿は胸元の純度の高い鉱石に触れた。
濁りのない光が広がる。
足元の床石に、淡い紋様が走る。
制御式。
安定出力型。
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地面が震える。
周囲の壁面から、同調するように鉱石の光が滲む。
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「原脈は国の柱だ」
軍務卿の声は冷静だ。
「鼠ごときに渡すわけにはいかん」
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レインは何も言わない。
ただ、一歩踏み出す。
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蒼が、足元に滲む。
薄く。
だが確実に。
石床に、円環の紋様が浮かび上がる。
紋様は、静かに広がる。
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視聴者:619,002,441
【めっちゃ久しぶりやん】
【紋様演出好き♡】
【描いて描いて】
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軍務卿が手を掲げた。
「制圧せよ」
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左右の壁が裂ける。
現れたのは――
純度安定型の強化兵、六。
濁りがない分、暴走はしない。
が、出力は高い。
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ミナの赤が燃える。
エルフィナの黄が走る。
「右三、出力安定。左は一人、波形が揺れてる」
「分かった」
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レインは、蒼を一段だけ上げる。
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紋様が、広がる。
円環が三重に重なる。
生成。
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床が、割れる。
石が隆起する。
重い影が、ゆっくりと立ち上がる。
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視聴者:624,441,882
【でかい】
【単騎か!?】
【主役きた】
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それは、石と金属が組み合わさった巨躯。
鈍い灰色。
胸部に蒼い核を宿す。
四腕。
圧倒的な質量。
静かに、立つ。
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蒼い紋様が、その巨体に走る。
紋様が広がる。
床から脚へ。
脚から肩へ。
肩から腕へ。
そして、核へ。
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「……なんだ、それは」
軍務卿の声に、初めてわずかな警戒が混じる。
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レインは短く言う。
「重装破砕型ゴーレム」
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視聴者:628,002,441
【ゴーレム単騎】
【ムキムキ】
【圧ぱねー】
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戦闘が始まる。
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強化兵が同時に突撃。
六方向からの斬撃。
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ゴーレムは避けない。
四腕が横に振られる。
質量。
風圧。
衝撃。
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強化兵三体が吹き飛ぶ。
壁に叩きつけられ、動かなくなる。
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【圧殺】
【避けないのかっこいい】
【質量正義】
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残る三体が同時に核を狙う。
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その瞬間。
ゴーレムの核が、蒼く脈打つ。
紋様が一瞬で収束。
表面装甲が硬化。
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刃が弾かれる。
火花。
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四腕のうち二本が、同時に敵を掴む。
握る。
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砕ける音。
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視聴者:637,002,441
【握り潰した】
【シンプルに強い】
【単騎で十分】
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最後の一体が背後から跳ぶ。
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だが。
ゴーレムは振り向かない。
背面装甲に紋様が走る。
衝撃を吸収。
そのまま後方へ肘打ち。
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終わる。
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視聴者:640,441,882
【瞬殺】
【これ他いらんわ】
【完成してる】
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軍務卿が動く。
安定型鉱石の出力を最大へ。
踏み込み。
剣が閃く。
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ゴーレムの腕とぶつかる。
轟音。
床が陥没する。
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だが――
止まる。
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質量が勝つ。
蒼が補強する。
紋様が広がる。
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軍務卿の剣が、軋む。
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視聴者:644,002,441
【押し負けてる】
【出力差見せつけ】
【まだ本気じゃない】
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レインは、軍務卿の鉱石を見ている。
鑑定。
蒼が、瞳に滲む。
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「純度八十七。安定型」
低く呟く。
「だが出力の天井は固定」
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エルフィナの黄が応じる。
「原脈と直結してない」
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なら。
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レインは足元の紋様を拡張する。
円環がさらに重なる。
生成ダンジョンの気配が、空洞に広がる。
空間そのものが、わずかに歪む。
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視聴者:647,441,882
【空間支配】
【ボス戦本番】
【紋様が広がる演出最高】
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紋様が、原脈の足元まで走る。
だがまだ触れない。
奪わない。
制圧する。
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ゴーレムの四腕が、紋様で繋がる。
蒼が集中。
収束。
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叩き込む。
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轟音。
軍務卿の身体が後方へ弾き飛ばされる。
壁が砕ける。
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視聴者:651,002,441
【これぞ無双】
【北斗感出てきた】
【お前はもう】
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煙の向こう。
軍務卿は、まだ立っている。
口元から血。
だが笑っている。
「面白い……」
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胸元の鉱石が、強く光る。
出力上昇。
限界へ近づく。
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エルフィナの黄が警告する。
「過負荷に入る!」
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レインは静かに目を細めた。
蒼が、濃くなる。
紋様が、再び広がる。
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生成ダンジョンが、この空間を飲み込もうとしていた。
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(第83話・完)




