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第82話 黄が照らす層


 夜の王都は、静まり返ってはいなかった。


 砲声が遠くに響く。


 だが塔の周囲だけは、不自然なほど整っている。


 中央塔へ続く石畳は掃き清められ、血痕ひとつない。


 まるでここだけが“別の街”だ。



視聴者:582,441,882

【不自然に綺麗】

【隠してる感】

【黒幕の匂い】



 塔の入口は重い鉄扉。


 両脇に立つ兵は、目の焦点が合っていない。


 胸元の鉱石片が、淡く明滅している。



 レインが止まる。


「数は?」


 残響の斥候が低く答える。


「地上十。地下は不明」



 エルフィナが目を閉じる。


 そして――開いた。


 瞳が、黄色に淡く光る。



 空気が、変わる。


 光ではない。


 解析だ。



「地下三層」


 彼女は言う。


「一層目は貯蔵。二層目が精製。三層目が原脈」



視聴者:586,002,441

【マップ見えてる?】

【黄チート】

【解析つよ】



「警備は?」


「地上は通常兵。地下は……適合強化型」


 黄色が、揺れる。


「出力が不安定。暴走前提」



 ミナの赤が、微かに灯る。


「なら、速く」



 レインは頷いた。


「静かにいく」



 蒼は出さない。


 地上での干渉は最小。



 次の瞬間。


 残響の斥候が影のように散る。


 兵の背後へ。


 喉元へ刃。


 無音。



 レインも動いた。


 一人目の剣を掴み、引く。


 肘で沈める。


 二人目の足を払う。


 三人目の顎を打ち上げる。


 四人目の胸元に触れ――


 干渉。


 鉱石の光が、消える。



視聴者:590,441,882

【静音制圧】

【必殺仕事人】

【チャララ〜チャラチャラチャラ チャララ〜】



 十人。


 数十秒。


 塔の前が静かになる。



 鉄扉を押し開く。


 内部は白い。


 白い石。


 白い壁。


 白い階段。


 だが冷たい。



 エルフィナが先に進む。


 黄が、淡く揺れる。


「こっち」



 地下へ。


 一層目。


 棚に並ぶ鉱石片。


 加工済み。


 小さく削られ、番号が振られている。



 ミナの赤が、強くなる。


「これが……」


「予備」


 エルフィナが答える。


「消耗品」



視聴者:594,002,441

【消耗品扱い】

【胸糞更新中】

【壊してくれ】



 レインは触れない。


 今壊せば、波及する。


 狙いは原脈。



 二層目。


 空気が変わる。


 熱。


 薬品の匂い。


 鉄の音。



 部屋の中央。


 台に縛られた若者。


 胸元に鉱石を埋め込まれようとしている。



「止めろ!」


 ミナが叫ぶ。



 白衣の技師が振り向く。


「邪魔をするな。適合済みだ」



 レインが動く。


 一瞬。


 床が歪む。


 蒼が、わずかに滲む。



 技師の背後に生成兵が現れ、拘束。


 装置を破壊。


 若者を解放。



視聴者:598,441,882

【救出成功】

【局所生成便利】

【怒り抑えてるの怖い】



 エルフィナが装置を覗き込む。


 黄が走る。


「やはり濁してる」


 彼女の声は静かだが、冷たい。


「原脈から抽出後、純度を下げてる」


「わざと?」


「暴走を促進するために」



 レインの拳が鳴る。


 だがまだだ。



「三層目」


 エルフィナが言う。


「ここから下」



視聴者:602,002,441

【いよいよ原脈】

【ボス前感】

【蒼解放くる?】



 階段は狭い。


 温度が下がる。


 壁の奥から、脈動。


 淡い光。



 黄が、強くなる。


 エルフィナの瞳が、はっきりと輝く。


「……濃い」



 最下層。


 広い空洞。


 巨大な鉱脈が広がる。


 透明に近い結晶が、地面から伸びている。


 濁りは、薄い。


 本来の姿だ。



視聴者:606,441,882

【原脈きた】

【でかい】

【これが源】



 だが、その前に。


 一人の男が立っていた。


 白と金の軍服。


 胸元には、精製前の純度の高い鉱石。


 安定して光っている。



「侵入者か」


 落ち着いた声。



 エルフィナの黄が、強く揺れる。


「軍務卿……」



視聴者:610,002,441

【黒幕登場】

【上層部きた】

【ボス戦開始】



 軍務卿は、微笑んだ。


「侵入者か。鼠にしては、よくここまで来た」


 視線が、レインに向く。


「王都を荒らす輩は許さん」



 胸元の純度の高い鉱石が、静かに光を強める。


 安定した出力。


 濁りのない力。


 だが――


 それだけだ。



視聴者:610,002,441

【知らないな?】

【これ舐めてる】

【死亡確認】



 レインは、何も言わない。


 一歩、踏み出す。



 蒼が、足元に滲む。


 静かに。


 重く。



 ミナの赤が燃える。


 エルフィナの黄が輝く。



 三色が、原脈を照らす。



 軍務卿は、まだ気づいていない。


 自分が何の前に立っているのか。



(第82話・完)

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