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数分間しか、いれません!  作者: うちの生活。


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77 上にいったら、下にいく

「いやぁ、あんなに近くで見れるなんてなぁ」

「他にも見たいなぁ」


 しっかりと恐竜を見たせいか、ビルの中に入ったからなのか、皆の緊張感がなくなってしまったようだ。⋯サシャさん以外は。


「な、なにもなかった?!もう着いちゃった?!」

「うんうん。そうだねぇ。着いたねぇ」

「ユウジさんどうしたんです?!おじいちゃんみたい?!」

「えぇ?そんな事はないよぉ」


 サシャさんが油断したところで、肩をガシッと掴んでおく。


「⋯ふふふ、逃がさないよぉ?」

「な、なにを⋯?!」

「ふふふ⋯」


 言わなくても分かってるでしょう?


 ビルの内部は、いつぞやのように石像が並んだり⋯といったこともなく、なんてことのない普通のビルだった。


「皆さん!こっちです!」


 展望台に上がるためのエレベーターの前へ案内する。ここのエレベーターは複数あり、この人数でもわずかな時間差で全員が乗れるだろう。ボタンを押すとすぐに扉が開いた。同時にサシャさんのガクブルが増していく。


「⋯⋯ひぃ⋯⋯」

「近藤さん。先に行くから、残りのメンバーをお願いできるかな?ほら、操作できる人がいないとさ」

「え?⋯あー、そうだね。了解」


 そんなに難しい操作ではないと思うが、それでも普段から使ってる人の方がいいだろう。書いてある文字も日本語だし。


 ちょうど半分くらいの人数で乗り込み、展望台のある階、すなわち最上階のボタンをぽちっとした。扉が閉まって上にあがっていく。


「サシャ?怖いんでしょ?」

「そ、そんな事はありません!!」


 そう言いつつも、逃がさない為に掴んだこちらの手に逆にしがみついている。その様を見てミラさんはニヤニヤしている。


「なんだ、この箱は?!」

「え?飛んでる⋯?」

「建物があんなに小さく⋯」


 ここのエレベーターは外が見えるタイプ。騎士団の皆さんの反応も様々だ。ただ、子の人がこうなるとは思わなかった。


「⋯⋯⋯⋯む⋯」

「ボブカットさん?」

「⋯⋯⋯た、高いところはダメだ⋯」

「⋯⋯え?」

「ユウジ?!これは落ちないのか?!」

「え、えぇ。大丈夫ですよ」

「本当にか?!」

「そう言われると、洞窟内だからなんとも⋯」

「なっ!?!?降りる!!降ろして!!」

「いやぁ、降りると展望台行けないんで」

「⋯⋯⋯くっ!!」


 殺せとでもいいそうな雰囲気だ。そんなボブカットさんに騎士団の皆さんが戸惑っているのがわかる。だが、踏み込むような真似をする人は誰もいない。⋯そう思っていた。


「ふふふ。私を見ているようですね」

「サシャさん!?」

「団長さん、大丈夫です。お、落ちる時は⋯⋯落ちる時は皆一緒ですから」

「それはなにも大丈夫ではないだろう?!⋯⋯だが、そうか!皆が一緒なら怖さも和らぐと!」

「そういう事です!」

「さすが聖女⋯」


 何も解決してないのに、解決した雰囲気になるのは流石としかいいようがない。


 今回は途中でエレベーターが止まりそうになったりすることなく、一気にあがっていく。


『最上階です』


 アナウンスが流れて扉が開いた。


 前に来た時となんら変わりのない空間だ。⋯つまり、とても眺めのいい展望台だ。サシャさんと、そしてボブカットさんのガクブルが最高潮になっている。


「佐藤さん。何かありそう?」


 ほんのわずかな時間差で近藤さん達も到着していた。


「いやあ、どうだろうね。とりあえずサシャさん連れてくればなんか起きるかと思ったんだけど⋯」


「おい?!あれはなんだ?!」

「浮いてるぞ?!」


 騎士の何人かが外を見て騒いでいる。また恐竜かと思いきや、ドローンが浮いていた。


「⋯ドローン?何か表示されてる?」


 タブレットのようなものがついており、そこにはこう書いてあった。


『サシャ?展望台楽しんでる?』


 内容をサシャさんに伝えると、わかりきっていた答えが返ってきた。


「こんなとこ!楽しんでなんていられませんよ!!」

「そ、そうだそうだ!」


 サシャさんとボブカットさんの答えに反応するかのように表示が切り替わった。


『残念』

「えーと、残念」

『⋯じゃあ、またね』

「じゃあ、またねだって」

「二度と来ませんよ!こんなとこ!」


 サシャさんの返答が合図だったのか⋯⋯⋯床がなくなった。


「「「「「は?」」」」」


 せっかく展望台に着いたのに、そこからの景色を楽しむことはなく、一階に落ちるまでの景色を強制的に見せられた。


「ちょっとまたですかーー??!!」

「お、落ちるーーー!!!」

「ヒ、ヒィーーッ!!」

「サシャのせいだね⋯」


 落下中に皆がおもいおもいに騒いで数秒後、地面に叩きつけられた。


「げふっ!!」

「痛い?!」

「あれ⋯?」


 あの高さからの落下なのに、思っていたより痛くない。いや、それよりも⋯


「⋯⋯ここ、洞窟の入り口じゃないか?」


 冷静さを取り戻したボブカットさんが発した言葉、この状況に既視感を覚えた。


 ⋯ここは外か、外じゃないのか。


 皆がそう思っただろう。しかし、近藤さんが消えていったことで、その疑問は解消された。


「⋯⋯よし、戻るぞ」


 ボブカットさんの一言で、魔物の洞窟攻略は達成できないまま終了となった。


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