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数分間しか、いれません!  作者: うちの生活。


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76 ポイ捨て、ダメ、ゼッタイ

 モグモグモグ⋯ムシャムシャムシャ⋯。


 コンビニから持ち出した食料を、サシャさんは走りながらも器用に食べてはゴミを道端にポイっと捨てていく。


「ちょっと?!ポイ捨ては⋯⋯あ、いいか」


 ここは日本じゃなかった。もし、日本でやりやがったら全力で他人のふりをしてやる。


「また魔物です!!」


 展望台までの道中、魔物がでてくるけどサクッと倒せる程度だから蹴散らしていく。ただ、それでも移動のスピードは落ちてしまい、望まないものまでやってきてしまった。


 ⋯ズン⋯⋯ズンッ!⋯ズズンッ!!


 振動がどんどん強くなっていく。振動の主は、会社から見ていたものよりは小さく見える。とはいえ、それでも自分たちの倍以上の大きさ。それが、スピードをあげて追いかけてきた。


「映画で見た事がある!!あれさ、肉食で獰猛なやつじゃなかった?!」

「あー⋯」


 そんなやりとりをしてる間に騎士団の皆さんが襲われてしまっている。


「⋯ぐはっ!?」

「恐竜!!ヒィーーハァッ!!」

「⋯え?あれ⋯?」


 奇声の主がサシャさんではなかった事に、一瞬ポカンとしてしまったけど気を取り直す。


「あれはヤバいぞ!!」


『回復』


『防御力上昇』


 襲われた騎士にミラさんがすかさず回復をかける。あわせて、全体の防御力も上昇させる。


「ユウジ?!距離はまだあるのか?!」


 チラッと目的地の方向を見ると、展望台があるビルが目に入った。ここからならさほど時間はかからないだろう。


「あと数分てとこです」

「そうか。こいつを倒せるなら倒しておきたいが、簡単には倒せそうにない。襲ってくるのを対処しながら目的地に向かうぞ!」


「「「「「は!!」」」」」


「いいか?死ぬなよ!」


「「「「「は!!」」」」」


 緊張感が漂う中、近藤さんがぼそっと呟いた。


「⋯写真撮ったり、恐竜に乗ったりしたかったな⋯」

「写真くらい撮ればいいじゃん。いや、動画の方がいいんじゃない?」

「え、そう?じゃあ⋯」


 近藤さんがスマホを構えたら、恐竜がこちらを向いたような⋯⋯??


 ⋯ズン⋯⋯ズンッ!⋯ズズンッ!!


「あれ?ズームしてないのに大きくなって⋯??ってこっち来てんじゃない?!」


 ポンッ。


「しっかり録画開始してんじゃん!!いや、それよりも⋯ダヌさん!!壁のイメージで!」

「よしきた!」


『『炎』』


「グギャ?!」


 ゴォーッ!!と激しく燃える火の壁が恐竜の行く手を阻む。その光景を、気合が空回りになった騎士団の皆さんがポカンとした顔で見ている。


「今のうちに!」


 恐竜からは後退して、目的地に向かっては前進する。⋯⋯が、恐竜は火の壁を抜けてきた。


「グァーーッッ!!!」


 プスプスといった表現があっているのか、少し焦げているように見えなくもないが、大きなダメージを与えたようには見えない。恐竜の怒りをただただ増大させただけな気がする。


「くそっ!ドラゴンみたいに頑丈だな⋯」


 ダメージを通すにはもっと火力を⋯攻撃力をあげたい。いっそ、いつぞやのように爆発させたい。


「あ⋯?いけるかな⋯?」


 探せば小麦粉とかありそうだけど、そんな暇はない。思いついた事を試してみる。


「ダヌさん!恐竜の前に水の玉をだします!それに思いっきり高温の炎をぶつけてもらえますか?!」

「水に⋯?消えないのか?!」

「いいから!思いっきりの高温ですよ?!」

「わ、わかった!」


『水』


 恐竜の顔と同じくらいのサイズの水の玉が飛んでいく。


『炎』


 水の玉と同じくらいのサイズの火の玉が飛んでいく。


「ちょっ?!佐藤さん、それって⋯」

「うまくいくかっ?!」


 ⋯⋯ッドンッッ!!!


 狙ったように水蒸気爆発を起こせたみたいだったけど⋯


「⋯ギャギャ⋯⋯ギャ⋯」


 恐竜は五体満足という状態。あ、尻尾含めると六体?⋯いや、グロいのは嫌だからよかったような、そうでもないような⋯?


 それなりにダメージは与えたはずだけど、全然倒れてくれない。あの威力でもこの程度ってことは、残念ながら騎士の攻撃は通らないだろう。


「よし、逃げよう」


『土』


 目隠しの意味も兼ねて壁を作る。それでもぶつかっているのか、ガンガンと音をあげて壁にヒビが入る。


「よし、もう一回」


『土』


 こちら側にもう一つ壁を作る。


「あれはダメです。とっとと行きますよー!!」

「お、おう⋯そうだな⋯」


 あの壁だって長くはもたないだろう。あれを倒す手段がない以上は先を急ぐべきだ。いつもの魔物はともかく、他の恐竜まできたらますます手に負えなくなる。


 向かってくる魔物を倒しつつ進んでいると、展望台があるビルがもう目の前というところまで辿り着いたけど⋯⋯入り口付近に恐竜がいるのが目に入った。さっきのよりかなり大きい。


「また恐竜?!⋯⋯あれ?でもあれは草食のじゃ⋯」

「多分そうだったような⋯?」

「⋯襲ってくるかなぁ」


 ⋯ズン⋯ズン⋯ズン⋯


 後ろからさっきの恐竜と思われる振動を感じる。このままここで立ち往生しているよりは、と進む事にした。


「ここが目的地です!さっきのが追ってきているし、中に入ります!」

「ユウジさん?!あの恐竜は大丈夫なんですか?!」

「わかんねぇっ!!」

「えぇ?!」


 だってそんなの知るわけないじゃない。


 恐竜は長い首の上からこちらを見下ろしている。その高さから攻撃されたらと思うとゾッとする。ただ、肉食の恐竜に直接噛みつかれるよりはいい気がする。⋯なんとなくだけど。


 いずれにせよ、攻撃をくらいたいわけではないので刺激しないようにゆっくりと進んでいく。でも、後ろから来る事も考えて急ごうとしてたら、なんでか普通に歩いているスピードに落ち着いた。


「ちょっと?!急がないんですか?!」

「え?⋯あぁ、まぁまぁまぁ」


 騒ぐサシャさんを適当に流して歩いていく。恐竜は変わらずこちらを見下ろしているが、動きそうにはない。大丈夫っぽい。


「⋯いやぁ、近くで見ると大きいなぁ」

「ユウジ!この恐竜の名前わかるか?!」

「なんだったかなぁ⋯」

「あ、こいつは写真で撮っておこうかな」


 カシャ。カシャ。カシャ。


「団長!あいつに乗ってみたいです!」

「そうだなぁ。乗ってみたいなぁ」

「コウツウセイリでなんとか⋯」

「さっきのと違っておとなしいっすね!」

 

 やっぱり皆、恐竜が大好きなんだろう。なんでかわからないけど不思議と観光気分になっている。とはいえ、後ろから変わらず振動を感じているから立ち止まることはなくビルの中に入っていった。


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