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数分間しか、いれません!  作者: うちの生活。


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75/78

75 泥棒じゃないんです

 恐竜が本当にここまでくるかはわからない。でも、こちらの方向に来ているのは確かだ。そうなるとここに居続けるわけにもいかないので、ボブカットさんが言ったとおりに撤退したほうがいいとは思う。


 問題なのは、どこに行くのか?という事。


 次の目的地となりそうなものは、地図に表示されていない。ただでさえ恐竜がいるのに、魔物も出てくる可能性を考えると何も目的地を定めずに出ていくのはどうだろう。


「⋯⋯展望台。行ってみるかぁ?」

「わざわざ書いてあるってことは何かありそうだしね」


 サシャさんがビクっとしているのが見えた。『展望台』に反応しているんだろう。


「ユウジさん⋯そこは⋯」


 サシャさんはきっとわかっている。それでも確認せずにはいられないようだ。だからちゃんと答えてあげよう。


「前に見てもらった展望台だよ。あの高いとこ」

「⋯あ!⋯や⋯ヒュッ⋯⋯むぁ⋯⋯」


 わかっていて聞いただろうに、その答えがお気に召さないのか、まともな返事が返ってこない。どうしたのか。


「ユウジ!何かわかったのか?!」

「えぇ。地図にはなかったんですが、サシャさんに⋯サシャさんに見てもらいたいって書いてあったとこを見つけまして」


 大事なことなので、サシャさんってとこを強調する。すると、ボブカットさんがサシャさんを見ながら行動を決めた。


「そうか!!では、そこに向かおう!恐竜が向かってきている!!」


 サシャさんがなんともいえない顔して肩をガクッと落としているのが目に入ったが、見てないふりをして急いで階段を降りていく。


 ⋯⋯ズーン⋯ズーン⋯ズーン⋯


 ⋯⋯ガタガタガタ!!ガタガタガタ!!⋯⋯


 ⋯ガクガク⋯ブルブル⋯といった表現が当てはまりそうなサシャさんから、往生際が悪い言葉がでてくる。


「こ、ここから出たほうがいいとは思いますけど!!て、展望台ってのはどうなんでしょう?!ユウジさんの家とか⋯」

「あ、サシャ怖いんだよね〜?」


 おっと?ミラさん?


「ふへぇぁ?!そ、そそそ、そんなことないですけど?!」

「えぇ?怖いって言ってたじゃん?」

「な、何を言ってるんですか?!よ、余裕です!!ほら!展望台に行きますよ!!」

「へぇ〜?」


 ⋯ミラさん、グッジョブです。


 二人のやりとりを温かい目で見ていたダヌさんと騎士団の皆さんは、展望台に行ったらどんな反応をするんだろうか。サシャさんのようにならないか少しだけ不安である。


 展望台までは、会社からだと歩いて二十分くらいの距離。今は恐竜がいるし、魔物もでてくるならもっと時間はかかるだろう。


「どのルートで行くべきか⋯」


 考える時間を与えてはくれないようだ。近くにあったコンビニの自動ドアが開いた。前と同じように猫かなんかが出てくるかと思いきや、洞窟の外でも見るオーソドックスな魔物が出てきた。⋯かなりの数だけど。


「むっ!?恐竜がきては困る!速やかに退治だっ!!」

「「「「「はっ!!!」」」」」


 騎士団の皆さんは剣で、ダヌさんは火で、近藤さんは扇風機で、自分は土で攻撃していく。聖女二人は待機、もしくは賑やかし要員だ。


「⋯本当にいろいろ使ってるな」

「え、あ、はい。そいや、皆さんの能力は?」

「あぁ、能力があるものもいるが、使わなくても問題ないだろう。⋯⋯あっても戦いに使えるのかわからないのもあるがな」


 ボブカットさんはそう言ってマッシュさんをチラ見した。


「あぁ、そうですね⋯」

「ちなみに自分のはまだ内緒だ」

「そっすか」


 いつもの魔物だからか、危なげなくサクサクと倒していく。


「このっ!!このっ!!」

「ヒィーハァッ!!」

「てやんでぃっ!!」


 ⋯皆さんが今までの憂さ晴らしをしてるように見えなくもない。


 ⋯⋯ズーン⋯ズーン⋯


「よし、倒せたな!?速やかに移動するぞ!!ユウジ!先行してくれ!!」

「わ、わかりました!!」


 急いで出発しようとしてるところに、魔物がいなくなったコンビニの中から声が聞こえてきた。


「ちょ、ちょっと待ってくださいー!」


 いつの間にやら、サシャさんは両手いっぱいにお菓子や飲み物を持っていた。


「この先、何があるかわからないんだから持っていかないと!!」

「⋯⋯もっともらしい事を言うよね⋯」

「え?万引き⋯⋯じゃないの⋯?」

「本当のコンビニじゃないから大丈夫でしょ」


 サシャさんが言ったことに少し納得してしまった。してしまったからには、さっき休憩した時に消費した分くらいを手にとる。それをそのまま、支払いをしないで外に持っていく。⋯⋯ものすごく罪悪感を感じる。


 ⋯⋯ガタガタガタガタガタガタ⋯⋯


 サシャさんが震えているわけではない。コンビニの棚が振動に震えている。早く移動しないと。


「飲み物など補充が必要な人は持っていって下さい!サシャさんみたいに欲張ってはダメですよ!急いで!!」


 騎士団の皆さんはパンや水といったものならわかるようで、それぞれ必要な量を持ち出していく。


「おい?!これ水なのか?!」

「パンがこんなに柔らかい⋯?」

「ヒィーハァッ!!チョコッ!!」


 見かたによっては、強盗団に見えるんじゃないだろうか??


「⋯いや、本当のコンビニじゃないし」


 いいでしょ!!


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