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数分間しか、いれません!  作者: うちの生活。


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74 あの場所へ

『今度はサウルスだ!!』


 ここにあるパソコンの画面全てに同じように表示されている。ちょっとしたホラーのようだ。


「は?⋯サウルスってトカゲとか⋯⋯恐竜⋯⋯?」

「今度は⋯?」

「ユウジ、なんて書いてあるんだ?」


 さっきとは逆に、こちらが読んで皆に教える。


「恐竜?!」

「いや、トカゲかもしれませんし⋯」

「⋯⋯トカゲだとして、わざわざ表示させるか?それに今度はって⋯」

「それは⋯」


 さっきのドラゴンに対して、今度はという表示だとしたら⋯


「いやぁ、見たいけど見たくないなぁ⋯」

「私は見たいですっ!!ミラもですよね?!」

「えー?私は別にいい」


 ⋯⋯カタカタカタカタカタカタ⋯⋯


「ん?⋯地震?」

「収まった?」


 ⋯⋯ズーン⋯


「なんか聞こえません?」


 ⋯⋯カタカタカタカタカタカタ⋯⋯


「また揺れているな」

「まさか本当に⋯?」

「佐藤さん、ちょっと上から外を確認してみようよ」


 近藤さんの部署がある三階まで上がり、窓から外を見てみると⋯⋯なんかいた。


「⋯⋯家と同じようなサイズのやついない?」

「⋯⋯いるねぇ。あれは重機じゃないよねぇ」


 ドラゴンよりは小さく見えるけど、家と同じようなサイズの生き物なんて⋯いないわけじゃないけど街中で見かける事はない。そして、それらは映画とかアニメとかでしか見た事がない姿をしている。肉食のだったり、草食のだったり。


「ッ!?⋯⋯ヒィーーーーーハァッッ!!!!本当に恐竜?!ヒィーーーーーハァッッ!!!」

「ドラゴンに続いて恐竜まで見れるなんて⋯なんて日だっ!!」

「おい!マッシュ!!見てみろよ!」

「おいおいおいおい?!」


 サシャさんだけでなく、ボブカットさんをはじめとした騎士団の皆さんも興奮している。


 ⋯⋯皆、男の子だなぁ。⋯⋯聖女もいるけど。


 自分だって本当ならはしゃぎたい。でも、この見慣れた景色の中に恐竜がいるという、現実離れしている景色が逆に冷静にさせる。そしてそれは近藤さんも同じだったようだ。


「あれ、今のところはこっちにこなさそうだよね」

「っていうか、そう願いたい。こないでくれ」


 そんな会話をしていると、ミラさんがはしゃいでいる皆のところに近づいていった。そして一言⋯


「いや、恐竜なんて危ないんだけど」

「「「「「⋯⋯⋯⋯⋯⋯」」」」」


 やっぱり恐竜はミラさんの趣味ではなかったようだ。そういえば、ドラゴンにもあまり反応してなかったような気がする。


 ⋯⋯ズーン⋯


 ⋯⋯カタカタカタカタカタカタ⋯⋯


「それはそうと地図地図⋯」


 恐竜がどう動くのかわからない。こっちがどう動くべきか地図を確認しておこう。恐竜に何か動きがあれば皆が反応するだろう。


 マップアプリを起動してみる。相変わらず読み込みには時間がかかるが、表示された地図は普段の会社近辺と同じであろうものが表示されている。逆に、何か気になるようなものは表示されていない。


「あれ、この先どうすんのよ⋯」

「何もないの?」

「ない⋯」


 例によって、地図を拡大縮小、上下左右してみても何も見つけられない。


「ここにきたのも突然だったし、また何かあんのかなぁ」

「そっか。そうかもね。⋯⋯⋯あれ、そういやここはパソコンついてないね。操作できんのかな」


 そう言って近藤さんが自分の席のパソコンをいじりだした。


「あ、ついた。⋯⋯え、ログインIDとパスワード?」


 若干戸惑いながらも、慣れた手つきで入力していく。


「あ、いつも通りので入れた」

「え、なんでだよ⋯」

「何か表示は⋯⋯んん?」


 画面を見る近藤さんの動きが止まった。


「どうしたの⋯?」


 画面を覗き込んでみると、いくつかのフォルダがある。普段もよく見るものだけど、フォルダ名がおかしい。


『サトウユウジの黒歴史!!』

『コンドウタクミの秘密!!』

『あの時、ダヌが見たものは?!』

『サウルスってなーに??』


「なん⋯だよ、これぇ⋯」

「全部気になるけど、見たら負けな気がする。今はサウルス一択じゃないかな」

「そ、そうだよね⋯」


 そう言いながらも、黒歴史をクリックしそうにしている近藤さんからマウスを奪った。


「近藤さん。それはいけない。これだよ、これ」


 近藤さんのを開くぞと思わせつつ、サウルスのフォルダを開く。


「さてさてさーて⋯」


 ⋯⋯カタカタカタカタカタカタ⋯⋯


『サウルスはっ!!ご存知の通り、恐竜ですっ!!好きでしょう?!』


「⋯⋯は?バカなの?」

「さ、佐藤さん?!⋯まぁ、わかるけど」


 表示された内容にイラッとしてしまい、思わず悪態をついてしまった。


 ⋯⋯ズーン⋯ズーン⋯


 ⋯⋯ガタガタガタガタガタガタ⋯⋯


 ⋯⋯んん?


『あと、企画書をアップしておきます↓↓↓』


「ん、企画書?」


 矢印に従って画面を下までスクロールさせると、うちの会社の企画書がでてきた。それに書いてあった内容は⋯


『展望台、サシャにもう一度見てほしい』


「は?企画書なめんなよ。ってか、企画書じゃねぇだろ、こんなん」

「うん。ふざけてんね」


 おっと、またイラッとしてしまった。


「⋯ふぅーーー⋯。落ち着け、俺。⋯⋯って展望台?」


 もう一度ってことは、前にサシャさんを連れてったところか?


 ⋯⋯ズーン⋯ズーン⋯


 ⋯⋯ガタガタガタガタガタガタ⋯⋯


「お、おい。こっちに来ないよな?!」

「そんなわけないだろ?!」

「こっち見てる?!」

「ヒィーーッッハァッ!!」


 騎士団の皆さんがざわついている。彼等から聞こえてくる内容が本当だとしたらのんびりなんかしていられないぞ。


 ⋯⋯ズーン⋯ズーン⋯ズーン⋯


 ⋯⋯ガタガタガタ!!ガタガタガタ!!⋯⋯


「佐藤さん。なんかヤバそうだよ」

「そうだね」


「あ、ヤバいって!!」

「団長?!ここ危ないんじゃないですか?!」

「あれも俺が誘導できないか⋯?」

「ヒィーーッッハァッ!!じゃない!ユウジさん?!」


 騎士団の皆さんは、さっきまで恐竜を見て喜ぶ男の子みたいだったのに、恐竜に恐れおののく成人男性になってしまった。


 ⋯⋯ズーン⋯ズーン⋯ズーン⋯


 ⋯⋯ガタガタガタ!!ガタガタガタ!!⋯⋯


「いかんっ!!総員撤退だっ!!」


 ボブカットさんが勢いよく叫んだ。でも、それに対して思わず呟いていしまった。


「どこにだよ⋯」


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