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数分間しか、いれません!  作者: うちの生活。


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71 あー、またなの?

 先にいった二人の聖女には城壁のあたりで追いついた。そこは城壁の一部分があいていて、壁の向こうに行けるようなっていた。


「サシャ、ここって⋯」

「やっぱりそうですよねぇ?」


 二人の会話も気になるけど、実際にどうなっているのか覗いてみると目に入ってきた光景は⋯


 複数の人々が行き交っていて、今までに見てきた町のように見える。遠くに城のようなものもあるようだ。


「なっ?!」


 ボブカットさん達も追いついてきて、城壁の中を見て驚いた声をだした。


「お、王都なのか?!」

「王都ですよねぇ?!」


 サシャさんが興奮したような、でも戸惑っているような珍しい反応をしている。


「⋯人がいるぞ?!」

「洞窟じゃないのか?」

「戻ってきたのか?!」


 騎士団の皆さんももれなく混乱しているようだ。


「佐藤さん。洞窟を出たわけじゃないよね?」

「多分ね。洞窟の外なら日本に戻っちゃうだろうし」


 平原にでてから既に数分は経っている。手元のスマホを確認するも時間は進んでいないから洞窟の中なのは間違いない。


「ボブカットさん、前にもこんな事ありました?」

「森とか廃墟はあったが、これは初めてだ」

「そうですか。俺も日本の町がでてきた事はありますが、人までいるのは初めてです」

「⋯王都にある城壁はこんなものではない。ここは洞窟の中なのは間違いないはずだ」

「となると、見える範囲にいる人は魔物ですかねぇ」

「その可能性は高いな⋯」


 以前、動物達が黒いモヤをまとって襲ってきたことを思い出した。今回もきっとそうなるんだろう。


「これ、入ったら皆襲ってくるのかな⋯」

「いつぞやの猫のように?!」

「建物の扉があいて、そこからいっぱいとか⋯」

「あれは⋯ちょっと大変でしたよね⋯」


 サシャさんが少し遠い目をしている。その後にあった、高いところから落ちた事も思い出していそうだ。


「どうしますか?この二人も流石に走っていかなさそうですし」

「ここで走っていかれると困る。⋯そうだな。ひとまず入ってみないと反応がわからんから入ってみるか。

⋯よし、テクノ」

「はっ!」

「まず、お前を含めた五名で城壁内に入ってみてくれ。人に見えるが襲ってくる事を想定して動け」


 テクノさんがメンバーを選び始めると、ミラさんがその中に割って入っていく。


「え、ちょ⋯」


 最初に入るメンバーはミラさんを含めた五名になってしまった。テクノさんが困惑しているところを見るに、押し切られてしまったようだ。


「盾役は必要でしょ?」

「そうだけど、それは騎士の皆さんのほうが⋯」

「ほら、回復もできるし」

「そ、そうだね⋯」


 確かにそう言われるとミラさんでいい気もしてきた。ボブカットさんを見ると、別にいいんじゃないかって顔をしているし「テクノ!聖女さんに怪我させるなよ!」って言ってるし。


「じゃあ⋯」


『防御力上昇』


 今回はこれを忘れずにかけておく。あとは騎士の人達なんだし、わりと頑丈な盾もあるし大丈夫だろう。もしもの時はすぐに助けに行ける距離だし。


 とはいえ、実際に入るテクノさん達は流石に緊張しているように見える。


「⋯よし、では入るぞ」


 五人はゆっくりと城壁の内部に入っていく。すると、すぐに人の視線が彼らに向いたのがわかった。


「どうなるかな⋯」

「佐藤さん、魔物になるのってわかるの?」

「黒いモヤが漂ってくるのが合図かな」

「黒いモヤか⋯」


 彼らは警戒しながらもゆっくり進んでいく。それにあわせて、人も彼らに近づいていく。


「特に変わらないね。⋯ってか、なんか話しかけられてない?」


 近藤さんの言葉にそんな馬鹿なと思いつつも見ていると、確かに会話をしているように見える。


「魔物じゃないのか⋯?」


 ボブカットさんの発した言葉にそうかもしれないと思ってしまった。それくらい普通の光景に見えるからだ。


 数分後、テクノさん達は一度戻ってきた。


「ええと⋯見ていただいた通り、会話して戻ってきました」

「ちゃんと会話できたのか?何かわかったか?」

「はい。やはりここは王都でないそうで、あの城は領主の城だとか」

「そうか⋯。ご苦労だった」


 王都にそっくりだけどそうじゃない。洞窟内なのは確かだけど襲ってこない。どうなっているのか。


「地図にあった何かはあっちの方向です。それがなんなのかはわかりません。でも、経験上、目的地にしておいていいかと思います」

「このままここに居続けても仕方ない。それを目指して進むか」

「じゃあ、今度は全員に⋯」


『防御力上昇』


「本当に普通の町でした。ってことはないだろうし⋯」

「佐藤さん?!それフラグでは⋯」

「⋯⋯⋯まぁまぁまぁ」


 いや、どうせ絶対そうなるって。


 全員が城壁内に入ると、視線がまたこっちに向けられたのがわかった。お互いに近づいていき、また会話になるかと思いきや⋯


「お、お仲間かい⋯ま゛まままっ!!!!」

「ようこ⋯そぞぞっ!ヴォーーッッ!!」


「「「「「え?」」」」」


 さっきまで会話してた人達が黒いモヤを漂わせて一気に襲ってきた。


「⋯くっ!!」

「危なっ?!」


 突然の襲撃に騎士の皆さんはそれぞれ剣と盾を使って応戦している。さすがである。こっちはちょっとビビってしまった。⋯さて、気を取り直して⋯


「ダヌさん!火の玉をたくさんで!」

「わかった」

「みなさん、一旦離れて!」


 タイミングを見計らって放つ。


『『炎』』


 二人で放った無数の火の玉が魔物達に向かっていく。


「ぐぎゃゃ⋯」

「げげべぇ⋯」

「いだだだ⋯」


 土煙の中からキモい声が聞こえてくる。多少はやれただろうか。


 ⋯⋯にゃーん⋯。

 ⋯にゃーん⋯⋯。

 にゃーん。


 キモい声に混じって、かわいい声が聞こえてきた。


「サシャさん?!また?!」

「だから真似してませんよ!?」

「そうじゃなくて⋯」


 どこからともなくたくさんのかわいい猫が現れた。


「にゃーん」

「にゃーん」

「っ?!佐藤さん!あの猫ちゃん達を助けないと!!」

「あ、だめ⋯」


 近藤さんは猫を保護しようと近づいていく。その猫は魔物に変わって近藤さんを襲った。


「にゃあああああっ!!!」

「猫ちゃ⋯⋯痛いっ!なになにっ?!」

「近藤さん!離れて攻撃して!」

「えぇ?!かわいい猫ちゃんを⋯⋯ってかわいくねぇっ!!」


『扇風機』


 近藤さんは自分に向かってくる魔物に向けて魔法を放った。何体かには当たっているが、動きが素早くて避けられてしまっている。ちなみに、騎士の皆さんも同じ状況のようだ。


「当たらないんだけど?!」

「またですかぁ?!」

「⋯これ、逃げた方がいいんじゃないかな。ダヌさん!もっかいさっきのやりますよ!」

「よしきた!」


『『炎』』


 先ほど同様に無数の火の玉が向かっていく。また土煙があがった。


「この隙に目的地に進みますよ!」


 急いでその場を離れるも、何匹かはついてきている。逃げながらも各自撃退していく。


「ハァハァ⋯」

「はっ⋯はっ⋯はっ⋯」

「ふーー⋯」


 広場みたいなスペースで一息つけるかと思っていたら⋯


 ガチャ。


 近くの家の扉があく音が聞こえた。


「え?」


 ガチャ、ガチャ、ガチャ。

 ガチャ、ガチャ、ガチャ。


 見える範囲にある家の扉がどんどん空いていく。


「お?あんたらどうじだのぉぉぉ???」

「ぐげぇぁぁぁぁあっ!!」

「おおおおおお⋯」

「ももももま⋯⋯」


 疲れていて反応が遅かったというのもあるだろう。あっという間に囲まれてしまった。


「どないしよ⋯あ、皆の怪我治さないと⋯」

「がってん!!」


『『回復』』


 聖女二人の魔法でここまでに受けた傷を治す。一体一体はさほど強くはないようだから、回復出来ればなんとかなるだろう。


「ユウジ!目的地までどれくらいだ?!」

「歩いて十分くらいだから、走っていけば数分かと」

「よし、魔物は騎士団で引き受ける!ユウジ達は先行してくれ!離れない程度についていく!」

「わかりました。じゃああっちに進みます!」


 指を差した方向にいる魔物に騎士の皆さんが向かっていく。回復できたからか、スムーズに魔物を倒せている。


「走るよ!!」


 マップアプリに従い、目的地を目指して走っていく。途中、何度もガチャって音が聞こえて魔物がでてきたけど、騎士の皆さんが相手してくれたから進む事に集中できた。


 走ること数分後、それっぽいところを見つけた。


「多分、あそこだな」

「え?!教会じゃないですか?!」


 何があるかわからない。ただ、魔物が延々と襲ってくるし、マークが示すからには入らないという選択肢はない。


「入るよ!警戒して!」

「⋯でも佐藤さん。これ、とんで火に入る夏の虫ってやつになるんじゃ⋯」

「そうならないことを祈る!」


 今回はガチャっと自分で扉をあけて、おそるおそる入っていく。魔物に襲われるかと思っていたけど中には何もいない。何度も見た事がある普通の教会だ。


「もしかして安全地帯ですか?!」

「それなら何か食べ物とかあるかな?!」

「どうかな。奥に行ったら魔物がってことも⋯」

「⋯⋯確かに。先に行くのはやめときます」

「え?いいの?サシャ」

「⋯ぐぬぬっ」


 騎士団の人も全員教会の中に入った。ボブカットさんと合流する。


「ほら、ぐぬぬってしてないで皆の回復して」

「あ、そうですね⋯」


『回復』


「っふぅ⋯⋯。ここには何かあるんだろうか?」

「多分⋯」


 改めてマップアプリを確認しようとしたところで⋯⋯⋯床がなくなった。


「「「「「え?」」」」」


「えええええ?!」

「おちるー??!」

「ヒーーキャアァァァッ!!」

「またかよぉっ!!?」


 全員、真っ逆さまに落ちていった。


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