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数分間しか、いれません!  作者: うちの生活。


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64 買いすぎじゃないの

「佐藤さん、ミラさんの服の事なんだけど⋯」

「ん?服??」

「そう。買うのはもう仕方ないとして、通販でいいかな?」

「うーん、確かに今までは通販だけど」


 できれば試着してもらったほうがいいんじゃないかな。


「少し時間延びてるし、前半後半でしっかり時間を管理すれば、通販じゃなくてもいけるんじゃないかな?」


 というわけで、休日のショッピングモール。さながら仕事のように事前に綿密な打ち合わせを行い、今日を迎えている。きっとうまくいくはずだ。


 まず、女性ものの服を扱っている店の隣にあった空きスペースに二人を連れてきた。ミラさんに服を買うのが主な目的だが、サシャさんを避けては通れない為、残念ながら二人分買うのが既定路線となっている。


「今から十分間、この店で服を見てください」

「やらいでかっ!」

「がってん!!」


 やる気充分といった雰囲気で二人は店に乗り込んでいく。サシャさんには自分が、ミラさんには近藤さんがサポートにつく。サポートといっても、時間の管理と荷物もち程度だが。正直、何か聞かれても女性ものの服はよく分からない。


「⋯ふんふん。これは⋯⋯ちょっと短いかなぁ」

「あ、こんなの着てみたいかも」


 最初の十分間、気になるものを選んでもらってカゴに入れていく。


「⋯あと八分」

「むむ⋯⋯こんな色が⋯⋯。これとこれ、変ですかね?!」


 真っ赤なシャツと真っ青なパンツを見せられる。自分なら選ばない色だけど、別にいいんじゃないか。日本人とは違う容姿だし、すごく合いそうな気もする。


「気に入ったならいいんじゃないかな。試着用にとっとく?」

「お願いします!」


 サイズがよく分からないから、一つ上のサイズもカゴにいれておく。


「さ、あと五分」

「じゃあ、次は⋯」


 ミラさん近藤さんペアに目をやると、既にカゴがいっぱいになっている。


「え、もうあんなに⋯?」


 後半に試着と会計のつもりでいたけど、あんなに試着できるんだろうか。


 若干、近藤さんの顔が強張っているように見える。仮にあれを全部買いたいと言われたら、いくらになるんだろう。


「⋯よし、そろそろ十分経つね」

「え、もうですか?!」

「うん。店の中で消えられるのは困るし、一旦外に出るよ」


 近藤さんにカゴを預けて店内に残し、店の隣の空きスペースに二人を連れて行く。


「打ち合わせした通り、次にこっちに着て試着して買うという予定だけど大丈夫だね?」

「そうですね⋯。でも別に試着しないで買ってもいいんですけどね」

「そうだね。試着してる時間がもったいないかも」

「いや、ほらサイズが合わないとさ⋯」


 もちろんサイズもそうだけど、あれを全部買われたら⋯⋯いくらになるんだろうか。特にミラさんのカゴはかなりの量になっていた。


「サイズ?大丈夫じゃないですか?」

「うん、大丈夫じゃないかな。直せばいいし」

「あー、直す⋯」

「うん。だから全部欲しいなぁ」


 ⋯⋯あー、これはダメだね。


「⋯⋯⋯⋯そっか。じゃあ、次は向かいの靴屋さんに行こうか?」

「「くつっ!!」」


 もう抗わないと決めたら二人とも消えてった。

 と思ったら、二人とも都合よく靴屋の前に現れた。


「よし!ミラ!今度は靴ですよ!」

「がってん!!」


 服屋で待機していた近藤さんに、全部会計するよう伝える。「は?ちょっと⋯」とか何やら言われたけど、聞こえてないふりして靴屋に逃げた。


「靴はちゃんと履いてみないといけませんね!」

「これ、大きいなぁ⋯。ちょっと、サシャそれちょうだい」

「これですか。あ、これ私も気になりますね!」

「ね、いいよね」


 靴はどれくらい買うつもりなんだろうか?ちゃんと履いて確認してるし、そんなに買わないはず⋯だよね?


「これは背が高くなったような?!」

「でも、足が痛くなるんじゃない?」

「確かに⋯」


 会話には参加せず、時間だけ伝える。


「あと五分で会計します」

「むむ?!」

「じゃあ、次はこれかな」


 そこに服の会計を終えた近藤さんが合流した。


「あ、無事に買えたんだね」

「え、靴⋯?」

「え?あぁ、靴だね」

「え⋯⋯?」


 近藤さんにとって、いや自分にとってもだが、完全に予定外の買い物になっている。事前の打ち合わせはなんだったのかという声が聞こえてきそうだ。⋯⋯まぁ、現場での流れというものがあるんだから仕方がない。


「これ、買うんだよね⋯??」

「え?あぁ、そうだろうね」


 そりゃあ買うに決まっている。これで買わないとなったらどんな反応をされることやら。


「さ、そろそろ時間だし、もういいかなぁ?」

「仕方がない!これとこれにします!」

「私はこの二つかな」

「はいよ。じゃあ、近藤さんとさっきの服の確認してて。会計してくるから」


 それぞれから靴を受け取り、レジに行く。


「袋はいりますか」

「いらないです」

「かしこまりました。では、39,650円です」

「⋯⋯はい。じゃあカードで」

「では、こちらに差し込みお願いします」


 カードと靴を受け取り、店をでる。最初の空きスペースにいる皆と合流した。


「はい、これ」

「やったー!!ありがとうございます!」

「ありがとう!!」


 二人ともあまり見たことのない、いい笑顔をしている。近藤さんもなんだか嬉しそうにしている。女性二人からこんな笑顔を向けらればそうなってしまうのもわかる。


「じゃあ、今度着てる姿見せてね」

「はい!」

「わかった!」


 ちょうどよく時間になったようで消えてった。


「⋯⋯なんであんなに買ってあげる事になったんだろうね?」

「え?佐藤さんが靴屋に連れてったからじゃない」

「⋯⋯うん、まぁ、そうだね。どうしてかな⋯」

「⋯⋯でも、あんなに喜んでくれたからよかったのかもね」

「⋯⋯それはそうかもしんない⋯」


 そういえば気になる事が。


「⋯ちなみに服はいくらぐらいだったのかな?」

「え?あぁ、50,000円ちょっとかな⋯」

「⋯そっかー⋯」

「いい金額だったね」

「そうだね⋯」


 ⋯⋯まずい、稼がねば。


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