表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
数分間しか、いれません!  作者: うちの生活。


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

26/45

26 あ、ダンジョンですね

 洞窟と聞いていた。そう聞いていたから、急いでホームセンターでヘルメットとライトを買ってきた。⋯⋯結果、今のところライトは必要なかったようだ。外と同じくらい、すごく明るい。


 ⋯⋯あーー、これはあれだな。うん。


 ゲームやマンガなど創作物の知識しかないが、間違いなくここはダンジョンだと思う。


 最初は洞窟という言葉のとおりに、ゴツゴツとした岩肌の壁だった。そこに魔物も出てきた。危なげもなく倒した後、そのまま進んでみると集落の廃虚みたいなとこにでた。空があるようにも見える。単に洞窟を抜けただけなような気もしてくる。


「⋯洞窟を抜けたわけじゃないんだよね?」

「そう言われると⋯ちょっとわかんないですね」

「なんだ?!もう終わりなのか?!」


 ここでも魔物が出てきた。でもそれは洞窟の外でも同じ事。そうなるとここは洞窟の中なのかわからなくなってきた。


 わからないと言えば、もう一つ。どう考えてももう二十分経っている。それなのに日本に戻らない。


 え、もしかして時間延びた?⋯確認してみるか。


『状態』


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


    ユウジ・サトウ


職業  無職

位階  六

体力  中

魔力  中

能力  世界移動 十分間+十分間

    学習

     学習による効果 回復

             解毒

             防御力上昇

             突進

             炎

             水

    経験増


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


 知らない内に位階が六になっていたが、それ以外に変化はない。


「何か変わってますか?」

「位階は上がってるけど、他には変わってないよ」

「うーん、おかしいですね。時間はもう過ぎてると思うんですけど」

「やっぱりそうだよね⋯」

「おっと、気を抜くなよ!」


『炎』


 ダヌさんの放った炎が、近づいてきた魔物を燃やしていく。


「ありがとうございます!」

「さすが!ダヌさん!」

「惚れるなよ?!」

「「それはありません」」

「お、おぉぅ⋯⋯そうか」


 聖女二人は容赦なくぶった斬る。と、そこで、


 ピロン♪


「え?!」


 こちらは電波がないどころか世界が違う為、カメラや時計などの最低限の機能しかスマホは使えない。それなのに鳴るはずのない、メッセージが届いた通知音が鳴った。


 ⋯届いてたけど確認してなかったから、今のタイミングで通知だけ鳴ったとか?


 そう思いスマホを見てみると、今の時間でメッセージが届いている。差出人は通知不可能となっていた。開いてみると、


『ダンジョン内は時間が止まっています』


「は??」


 時間が止まってる??


「ユウジさん?」

「いや、ダンジョン内は時間が止まってるって書いてある⋯」

「ダンジョン??」

「多分、魔物の洞窟の事だと思う。でも、時間が止まってるって⋯」

「!!?!ヒィーハァーッ!!!それが!本当なら!魔物倒し放題じゃないですかっ!!ヒィーヤッホォーッ!!」


 サシャさんがそうなるのはわからなくはないけど、ここでそのテンションはやめてほしい。魔物がよってくるじゃないか。って、早速来たわ。


『炎』


 今度は自分で攻撃した。ダヌさんだけに任せておくわけにはいかない。魔力には限りがあるのだから。


 倒せた、かな?


「倒し放題じゃないよ。時間が止まってるなら、体力と魔力が回復するかわかんないじゃん。それとも、回復できる道具でもあんの?」

「そんなのはありません!!」

「長くても二十分のつもりでいましたからね」


 威勢よく言うサシャさんにミラさんが続ける。


 ⋯そうでしょうね。軽い気分で来てるよね。


 まぁ、自分も数分間頑張れば戻れるしって思ってたからここに来た。それなのに時間が止まってるなんて思ってもいなかった。こんなにガチで攻略ができる状況だとは思わなかった。


 あ、そういえば。


 もう一度スマホを確認してみると、通知不可能のメッセージ以外に通知がきている。その通知をタップしてみると、マップデータを更新しましたとポップアップが表示された。


「⋯更新?どこのだよ?」


 そのまま起動してみると、読み込みに多少の時間がかかったものの、現在地を示すマークと付近の地図が表示された。


 あれ、これって⋯?いやいやいやいや!?


 そんな馬鹿なと思いつつも、画面の表示と周りの景色を確認する。ここに来るまでの道を思い浮かべながら、地図を少し動かしてみる。


「へあっ?!!」

「どうしました?!ユウジさんにしては珍しい声がしましたが!?」

「⋯⋯⋯えーと⋯⋯この洞窟の地図が見れるようになった、かもしんない?」

「「「っ!!??」」」


 三者三様とはこういう事なのか。奇声をだして叫ぶ人、その場でオロオロする人、変なものを見たような顔をする人。そんな人達を見ていたら少し落ち着いてきた。


 サシャさんの奇声にまた呼ばれたのか、魔物が近づいてくるのが見えて皆も落ち着きを取り戻した。


「⋯あのさ、一旦帰ろうか」

「⋯そうですね。あ、ダヌさんお願いします」

「はいよ!」


『炎』


 危なげもなく、魔物は燃えていく。もう見慣れた光景だ。


 誰かが怪我をしたわけでもなく、魔力がなくなっているわけでもない。ただ、いろいろ情報を整理して準備をしてから来たい。強くそう思った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ