表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
77/200

ファリス教VS営業マン

ファリス教総本部へ向かう速水と宰相。果たして......

 会議の後、ファリス教総本部に同行する事になった。仕方のない事だけど、俺が居ないとダメなの? と思いながら待っていると、準備の出来たスチュアート宰相がやって来た。手には書面も持っているので、取り決めでもするつもりなんだろうか?


「速水君、すまないな。では行こうか」


「はい。分かりました」


 このまま歩いて行くのかと思ったのだが、やはりこの距離でも馬車だったよ。こういう感覚が貴族なんだよね。そういう見栄はいらないと思う。勿論、国の中枢で働いているので、立場は分かるんだけどね。



◇◇◇



 ファリス教総本部~


 馬車から降りると、案内の方が待っていた。連れられて行ったのは、昨日と同じ部屋だ。暫く待っているとドアがノックされ、アナマリア様と男性が1人入って来た。


「お待たせしました。速水さん、やっぱりお会いしましたね」


 やっぱりと言われて昨日の事を思い出した。『また会いましょう』って言ってたよね。


「は、はい。お会いできて光栄です!」


「う、うほん。私はファリス教総本部大司教ストラス・パ-ジである」


「ご存知かと思いますが、私はアルメリア王国宰相ブラウン・スチュワ-トです」


「信頼雑貨株式会社の速水 慎一です」


 大司教と名乗ったパ-ジさん。入って来た時から俺を見る目が怖いんだけど? スチュワ-ト宰相なんか無視されている気がするし。


「で? 国の宰相殿が今日は何用かな?」


「はい。パ-ジ大司教殿。本日は昨日、隣の速水殿が参った件でございます」


「ああ。学校の新設と教師の派遣であったな」


「速水殿からの報告ですと、ファリス教が全面的にご協力頂けると聞きましたもので」


「そうだな。アナマリア教皇から聞いている」


「国と致しましても建物の建築全般、或いは必要であれば人材の派遣も考えています」


「そうか。その条件であればこちらも異存はない。だがこちらも教えを説くわけなのだ。分かるな?」


 うーむ。パ-ジ大司教の言葉尻から考えて、お金要求してるよね。大司教の言い方は気に食わないけど。さてどうするんだろ?


「ええ。我が国の発展の為にご協力いただくのですから、お任せください」


 ちょっと宰相も弱腰過ぎない? そこまで下手に出なくて良いんじゃないのか?


「速水さん? 先程からお顔が怖いですよ?」


 ニッコリ笑顔でそう言うアナマリア様。ドキッとしました! ......って駄目だ!


「発言宜しいでしょうか?」


「速水さん、何かしら?」


 さっきまで黙って聞いていたアナマリア様は、俺が喋ると話し出すんだけど? 


「先程からお二人がお話されているのをお聞きして、とても不思議に思ったんですよ」


「あらあら、どう不思議なのですか? いつもと同じですよ?」


「これは私の居た世界の感覚なんですが、協力して国の事を行うんですよね? 何故、ファリス教は上から物を言うんですか?」


 俺の発言に部屋の中が凍り付く。スチュワ-ト宰相に至っては、蒼白になっている。


「はっきり言われるのですね。ですがファリス教の影響力はご存知でしょう?」


「勿論存じ上げております。しかしそれと事業は関係ありませんよね? これはビジネスです」


「うふふ。やっぱり素敵ですね。それで速水さんは、どうするべきだと思われるんですの?」


「とても簡単なお話です。ビジネスである以上、金銭は発生します。しかし一方が負担するのはおかしい」


「それは私共ファリス教も、金銭を出せと仰っているのでしょうか?」


「ええ。ですがこの場合は約束通り人を出すが正解です。こちらは建物を建てますから」


「そうですか。パ-ジ大司教の言い方が悪かったのかしらね。私もそのつもりですよ」


 アナマリア様も怖いな。顔はにこやかなのに、喋る言葉は迫力がある。でも営業なんだよ? 俺も。


「ではその内容で取り決めましょう。教師となる人材はファリス教が。建物はアルメリア王国負担。人材の食費などは、ファリス教負担でお願いします。その代わり布教は認めるんですから」


 俺のその言葉にパ-ジ大司教が何か言おうとしたのだが、アナマリア様に止められた。アナマリア様はジッと俺を見つめる。めちゃくちゃ美人だけど、負けないよ? た、たぶん。


「負けましたわ。その内容で取り決めましょう。速水様には嫌われたくありませんからね」


「アナマリア教皇! それはファルス教として納得が......」


「お黙りなさい! 大司教の立場で私に意見など許しません!」


 あら-。アナマリア様怒ってます。怒ってても美人なんて素敵......って俺は何を⁈ 


「アナマリア様、ありがとうございます。スチュワ-ト宰相殿、契約書お持ちですよね?」


 俺の言葉にハッとした表情のスチュワ-ト宰相。慌てて持参した書類を出してきた。念の為、俺も内容を確かめたのだが、こらこら何でこんなに空白が多いんだよ? これだと相手に何書かれても何も言えないよ?


「申し訳ありませんが、この場で先程の内容を記入させて頂いて宜しいでしょうか?」


「ええ。私が同意したのです。普段なら許しませんが」


 俺は皆の前で正確に同意内容を記入する。それを2通用意し双方がサイン、捺印を押す。俺は立会人として両方の書類にサインした。最後にもう一度内容を確認し、漏れが無いかチェック。双方に書類を渡しこれでこの契約は完了だ。


「速水さんには負けましたわ。これからも仲良くしてくださいね」


「こちらこそよろしくお願いします!」


 こうしてやるべき事は終わったのだが、帰り道でスチュワ-ト宰相からこう言われた。


「速水殿。私の部下にならないか?」


「光栄なお話ですが、お断りいたします。私は信頼雑貨株式会社の営業マンですから」


 やっと終わった! 宰相とは途中で別れ、急遽宿をとりに行った。結構時間が掛かったから乗れるトロッコが無かったんだよ。さて、明日の朝は早く出て街に帰ろう!

ファリス教の階級では教皇→枢機卿→大司教→司教→司祭(神父)となります。


いやぁ、アナマリア様美人だった。次話はグランベルクの街で計画が動きますよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ