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思わぬ方向へ巻き込まれる男

今日は公爵邸に行かねば......

 会社の方で騒ぎがあったのは露知らず、速水は宿屋で目覚めた。昨日の事もあり精神的に疲れていたのか、貪る様に寝てた様だ。眠い目を擦りながら朝食を取り、約束のある公爵邸に向かう。



◇◇◇



 王都サダラ-ク公爵邸~


「おはようございます! 信頼雑貨の速水です」


「速水様、ご苦労様です。直ぐにご案内します」


 執事に方に案内され応接室に通された。暫く待っていると、サダラ-ク公爵が夫人を伴い入って来た。


「速水君。久しぶりだね。ご苦労様」


「今日は無理言ってごめんなさいね」


「いえ、私も王都へ来る用事もありましたもので。それで御用と言うのは?」


「先ずは私からだ。名刺や時計から始まり色々とありがとう。それでな今回のお願いなんだが、時計が普及した事で生まれた規律に関してなんだ。スケジュ-ルを管理しやすい方法は無いものかと」


「スケジュ-ルですか? 単純にカレンダ-、もしくは掲示板の活用ですかね」


「カレンダ-? それは何だね? それに掲示板の活用と言っても、張り付けるだけではいけないのかね?」


「カレンダ-は月と日付けを1枚の紙にしたものです。例えば今は3の月ですよね。3の月だけの一覧を作ってしまうんですよ。それと新たに(しゅう)と言う単位を作っては如何でしょうか?」


 この世界ではひと月は30日なんだが、周と言う単位は無い。単純に30日を5週に分ければわかりやすいだろう。周6日制で5週間だ。その事を説明すると公爵は目が輝きだした。


「なんと言う事だ! これなら分かりやすいな! それに周と言う単位は面白い!」


「掲示板もそれを活用すれば見やすくなりますし、効率も良くなるかと」


 決まった休日すらないのだ。国王とか国の重鎮が亡くなった時ぐらいしか、身体を休める事は無い。それならこれを機に休日も設定するべきだろう。


「それで私からの案なのですが、1週を6日で割るとして、何処かに休日を設定すれば効率よくなりますよ。例えば周の頭か最終を休みにするとか」


「ふむふむ。だが休みに設定した日が、どうしても休めない日はどうするのだ?」


「その場合は振替の休日をですねぇ......」


 とこんな風に説明をして行ったんだが、不思議だったよ。民衆は生きるために働き詰めだった。それを知ろうともしない貴族達。これは絶対に変えないといけないだろう。


「これは私達の世界での話なのですが、民衆の不満がたまって暴動が起きることもあるんです」


「暴動か。それは聞きたいな」


 少し時間は必要だったが、知っている範囲で話をした。日本の一揆とか西洋の革命の話をね。サダラ-ク公爵は、難しい顔をしながらも真剣に聞いてくれた。


「そうか。この世界の常識は危ういのだな。君の話はいつも考えさせられるよ」


「とんでもない。ですがこの国だけでも少し考え方を変えれば、良い方向に進むんじゃないですかね」


「一度、リアンにも話をしてみよう。それに宰相殿にもな」


 この話はそこまでにして、昨日の報告もしておく。後でわかる事なんだろうけど。


「話は変わりますが、昨日ですねぇ......」


 俺の話を聞きながら公爵の表情が驚きに変わる。一緒に聞いていた夫人が喰いついてきた。


「ちょっと! アナマリア様に直接お会いしたの⁈ なんて羨ましい!」


「え、ええまぁ。そ、そんなに人気なんですね」


 話を聞けば聞くほど、凄い人物に会ったんだと実感した。どんだけファリス教って人気あるんだよ?


「ふむ。学校の新設にファリス教が動くとなると、我々も協力せねばな」


「やはり教会の影響力は大きいのですね。まだ宰相様にはお伝え出来てませんが」


「それはいかん! すぐに行こう!」


「え⁈ 今すぐにですか?」


「当り前だ! それを早く言ってくれ! 貴族の沽券に係わる!」


 あれ? やらかしましたかね。公爵は慌てた様子で準備を始めた。その間に夫人に頼まれていた女性用の衣類と化粧品などを手渡した。夫人はそれを受け取ると、うっとりした様子で満面の笑みだった。


「速水君、ありがとうね! これを待っていたのよ! またお願いするわ」


 準備の出来た公爵と共に馬車で王城へ向かう。まさかの2日連続だよ。




◇◇◇



 アルメリア王国王城応接室~


「サダラ-ク卿、何を慌てているんだね」


 スチュワ-ト宰相が驚いた表情で入って来た。


「スチュワ-ト殿。学校の件聞きました。それでですねぇ......」


 昨日の件を公爵が説明すると、宰相も開いた口が塞がらない様子になっていた。そんなに驚く事なのか? 昨日行くって言ったよね? 


「そ、そうか。教会トップが出て来たとなると直ぐに動かねばならん。緊急で貴族を招集する!」


「私もリアンに伝えて来ます! 速水君。すまないが君にも会議に同席してもらう」


「うむ。その方が良いな。集まる間、ここで待機していてくれ。私は国王に声を掛ける」


 その後、王都に滞在している貴族、国王並びに国の中枢で働く者が招集される事になった。俺はあまりの勢いに心底驚いていた。これって絶対何かあるパタ-ンだよね?



 

思っていなかった展開になった。さてどの様な会議になるのだろうか?

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